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407 「and」(アンド)の曲(その6)

足かせと鎖(Shackles and Chains)

前回の「金の懐中時計」(Gold Watch & Chain)の「chain」は時計に付いた鎖のことで、その形状から「懐中時計」の鎖のことと考えられますが、今回の「chain」はまさに「鎖」そのものです。「shackle」が「足かせ」という意味を持つので、牢獄で使われる「鎖付きの足かせ」と訳せます。

 私は長い寂しい旅に出ます
 ああダーリン、泣かないでください
 私は足かせと鎖とで連れて行かれます

 私は死ぬまで刑務所にいることでしょう

 夜は鉄格子の隙間から星を見つめます
 そして、あなたにキスする夢を見ます

 石の枕で眠っている間中

 足かせと鎖で苦しみます

 最愛の人が鉄格子のすき間から、

 腕を差し入れてくれたなら

 愛する人の唇に甘いキスをします

 あなたが心の痛みをやわらげてくれます
 悲しむ私の心に安らぎを

この曲の作者は「ユー・アー・マイ・サンシャイン」(You Are My Sunshine)の大ヒットで有名なカントリー・ミュージックのシンガー・ソングライター、そしてその曲が選挙のキャンペーン・ソングとして有名となり、ルイジアナ州の知事になったジェイムズ・デイヴィス(James Houston Davis)でした。

「ユー・アー・マイ・サンシャイン」は1999年にグラミー賞の殿堂賞を受賞し、アメリカのレコード業界協会はこの曲を世紀の歌の1つに指定されています。

このように、デイヴィスは1930年代から1960年代にかけてアメリカ中でとても人気があり、また彼はハリウッド映画にも出演したこともあって、カントリー・ミュージック界を始め、サザン・ゴスペル音楽協会、そしてルイジアナの音楽業界を含む6つの殿堂入りを果たしています

さて、そんなデイヴィスが作った「足かせと鎖」は1937年にデッカ・レコードよりシングル盤としてリリースされました。

https://www.youtube.com/watch?v=Z_-Jy2o_3iI/

a0038167_08295032.jpgマック・ワイズマンが1957年にリリースしたアルバム『覚えておくべき甘いこと』('Tis Sweet To Be Remembered)中でこの曲を歌っています。

https://www.youtube.com/watch?v=aXtPXyJBwWg/

a0038167_08300538.jpgスタンレー・ブラザーズは1966年リリースのアルバム『みんなのカントリー有名曲集』(Everybody's Country Favorites)の中でこの曲を取り上げていました。間奏のギターはビル・ネイピアが弾いています。

https://www.youtube.com/watch?v=BVviwSNLXeE/

a0038167_08301957.jpgジミー・マーチンも1969年リリースのアルバム『自由人』(Free Born Man)の中でこの曲を歌っています。

https://www.youtube.com/watch?v=_6DmS5aLDck/


by scoop8739 | 2019-07-31 08:32 | 「and」の曲 | Comments(0)

406 「and」(アンド)の曲(その5)

金の懐中時計(Gold Watch & Chain)

a0038167_09443348.jpg前回で書かせていただいた、城田じゅんじと坂庭省吾のアルバム『力をあわせて』の中の4曲目にも「アンド」のつく曲がありました。それが「金の懐中時計」です。彼らはこの曲を上手く訳詞を付けて歌っています。




 いつまでも貴方のそばに、私を置いて欲しい

 貴方のいない暮らしなど、私にはできないの

 ダイヤの指輪も時計も、私のときめく胸も

 貴方の愛が戻るなら、神のそばに預けます

 貴方の残した手紙を、何度も読んでみたけど

 寂しい私の心が、貴方にわかるのかしら?

 ダイヤの指輪も時計も、私のときめく胸も

 貴方の愛が戻るなら、神のそばに預けます

 せめて私の心に、思わせて欲しい

 貴方の愛した人は、私一人だけだと

 ダイヤの指輪も時計も、私のときめく胸も

 貴方の愛が戻るなら、神のそばに預けます

a0038167_09445436.jpgこの曲のオリジナルはカーター・ファミリーで、作者はA.P.カーターでした。カーター・ファミリーはアメリカ南部の山岳地帯で歌い継がれてきたバラッド等のイギリス系民謡や、それに即した自作の楽曲をレパートリーとしていました。

歌詞の内容は、宗教や家族を主題とした道徳的・保守的なものが多かったのですが、その歌唱法は伝統的な様式とは異なりゴスペルにみられるようなハーモニーを加えています。以来、ハーモニーは今日においてもカントリー・ミュージックの重要な特徴のひとつとなっています。

https://www.youtube.com/watch?v=3vEvcAKSs8s/

a0038167_09562059.jpgこの曲をエミルー・ハリスとリンダ・ロンシュタットが素敵なハーモニーで歌っていました。サポートするのは、ギターにトニー・ライス、バンジョーにリッキー・スキャッグス、マンドリンにアルバート・リー、ベースにエモリー・ゴールディ・ジュニアととても豪華です。

https://www.youtube.com/watch?v=3vEvcAKSs8s/


a0038167_10122452.jpg1998年リリースのラルフ・スタンレーの2枚組アルバム『クリンチ・マウンテン・カントリー』(Clinth Mountain Country)の1枚目14曲目にこの曲が収録されています。ラルフのリード・ヴォーカルにギリアン・ウェルチ(Gillian Welch)がハーモニーを付けていました。バッキング・ヴォーカルはデヴィッド・ロウリングス(David Rawlings)です。

https://www.youtube.com/watch?v=UZ0ykysbg7Q/


by scoop8739 | 2019-07-29 10:13 | 「and」の曲 | Comments(0)

405 「and」(アンド)の曲(その4)

風が強くて暖かい(Windy & Warm)

a0038167_13590743.jpg前回で書かせていただいたトニー・ライスのことですが、彼の初のオリジナル・アルバムは、我が国のレッド・クレイ・レコードから『マーチン・ギターを手に入れた』(Got Me A Martin Guitar)というタイトルでリリースされました。米国では味気なく『ギター』(Guitar)とだけのタイトルでリリースされています。そのアルバムのB面1曲目で披露したのが「ウィンディ&ワーム」でした。

https://www.youtube.com/watch?v=gr4JFR9XWjA/

この曲を作曲したのはアメリカのシンガー・ソングライター、ジョン・ロウダーミルク(John D. Loudermilk Jr.)という人で、1934年にノース・カロライナ州ダーラムというところで生まれ、1950年代から1960年代に活躍しています。

そんな彼はジョージ・ハミルトン4世のために書いた「アビリーン」(Abilene)や、エヴァリー・ブラザーズが歌った「タバコ・ロード」(Tobacco Road)などの名曲を残しています。

a0038167_13591656.jpgさて、この曲を訳すと「風が強くて暖かい」とでも言うのでしょうか、ギターの名手チェット・アトキンスの当たり曲ですが、ブルーグラスで古くはドク・ワトソンの演奏が有名でした。彼が1966年に発表したセカンド・アルバム『サウスバウンド』(Southbound)のA面6曲目に収録されています。

https://www.youtube.com/watch?v=cw2Dn9a8sQ4/

a0038167_13592542.jpgカントリー・ジェントルメンも『ロアノーク・ブルーグラス・フェスティバル』B面5曲目にライヴ音源として収録しています(日本盤には収録されておりません)。エディ・アドコックのギャロッピング・スタイルのバンジョーにとっては格好の練習曲でした。

https://www.youtube.com/watch?v=XP54oI-NV2I/

日本人でこの曲を得意としていたのは元ナターシャー・セブンで息の合った演奏を聴かせてくれた城田じゅんじと坂庭省吾の二人でした。彼らの1997年リリースのデュエット・アルバム『力をあわせて』の2曲目にも収録されています。


by scoop8739 | 2019-07-26 14:00 | 「and」の曲 | Comments(0)

404 「and」(アンド)の曲(その3)

オン・アンド・オン(On and On)

「延々と」とでも訳すのでしょうか、この曲は最愛の人との別れを旅にたとえて歌われています。作詞作曲はビル・モンロー自身で、1954年7月に初めてレコーディングされました。

a0038167_09101851.jpgその時のメンバーが、モンロー(マンドリン、テナー・ヴォーカル)のほかに、ジミー・マーチン(ギター、リード・ヴォーカル)、チャーリー・クライン(フィドル、バリトン・ヴォーカル)、ルディ・ライル(バンジョー)、アーニー・ニュートン(ベース)でした。

ビルのマンドリン、チャーリーのフィドルに加えて、相変わらず良く整理された音を奏でるのがルディのバンジョーです。彼は1950年代初期のバンジョー奏者の中でも、アール・スクラッグスやダン・リーノを除いても最もスムーズに弾いているプレイヤーだと思います。

https://www.youtube.com/watch?v=UmngdU8huCs/

なお、ジミー・マーチンお得意のギター・フレーズももうこの時期にはっきり聴くことが出来ます。

https://www.youtube.com/watch?v=bf3gsWqmL3c/

a0038167_09104759.jpgトニー・ライスがこの曲をアップテンポで小気味良く演奏しているのは、彼が1993年にリリースしたアルバム『ブルーグラス、弾いたり歌ったり』(Plays And Sings Bluegrass)で、その6曲目に収録されています。

https://www.youtube.com/watch?v=Wd0NIeCTTsc/

a0038167_09110547.jpgトニーは以前に在籍していたデヴィッド・グリスマンのバンドでも歌っています。それが1976年リリースの『デヴィッド・グリスマン・ラウンダー・アルバム』(The David Grisman Rounder Album)のB面4曲目に収録されています。ヴァッサー・クレメンツによるイントロ、ビル・キースのバンジョー、グリスマンのマンドリンなどベテラン勢をバックに気持ち良さそうに歌っています。

https://www.youtube.com/watch?v=ej-Vabma9eM/

a0038167_09112380.jpg珍しい盤としては、フィドル奏者ライマン・エンローが率いる「ブルーグラス・アソシエーション」(The Bluegrass Association)が1974年にリリースしたアルバム『弦楽器の今昔』(Strings Today ... And Yesterday)の8曲目に、さらに同年、バンジョー奏者ウェイド・ヒルが率いる「ブルーグラス・プロフェッショナルズ」(The Bluegrass Professionals)がリリースしたアルバム『狐火』(Fox Fire)のA面1曲目にそれぞれ収録されています。

a0038167_09114729.jpg


by scoop8739 | 2019-07-24 09:12 | 「and」の曲 | Comments(0)

403 「and」(アンド)の曲(その2)

リヴ・アンド・レット・リヴ(live and let live)

映画『007 死ぬのは奴らだ』(1973年)の主題歌「007 死ぬのは奴らだ(リヴ・アンド・レット・ダイ)」(Live and Let Die)は、元ビートルズのポール・マッカートニーの自作自演曲でした。この曲はビートルズの活動後期のポールらしい曲の流れであると同時に、1980~90年代的感性をも先取りした音作りはいま聴いても何だか新鮮な気がします。このタイトルを訳すと「俺は生きる、死ぬのは奴らだ」となります。

ブルーグラスの世界にはこれとよく似たタイトルの曲がありました。それが「リヴ・アンド・レット・リヴ」です。映画風にタイトルを付けるなら「生きるのはお互いさまだ」とでも言いましょうか、また「互いのことに口を出さずにやっていく」という意味もあります。

a0038167_08522499.jpgこの曲はビル・モンローが1961年11月にレコーディングし、翌1962年にリリースしたアルバム『ブルーグラス・ランブル』(Bluegrass Ramble)のA面5曲目に収録されていました。

https://www.youtube.com/watch?v=3v1LS85vzS0/

作者はウィリー・ウォーカーとジーン・サリヴァン(Wiley Walker&Gene Sullivan)のコンビです。この二人はかつてカントリー・デュエットとして活躍していました。

当初二人は別々に活動していましたが、1939年にデュエットを組み、フォートワースのラジオ局で働き出します。そして1941年にコロンビア・レコードから「青い月が再び金色になる時」(When My Blue Moon Turns To Gold Again)とのカップリングでシングル盤をリリースしました。それぞれの曲は後に多くのプレイヤーによって歌われるようになります。

a0038167_08524934.jpgオリジナル盤はともかく、やはりこの曲はビル・モンローに限ると思われがちですが、実はデル・マッカリーがビル・モンローをトリビュートした2011年のアルバム『古い記憶:ビル・モンローの曲』(Old Memories : The Songs of Bill Monroe)もなかなかのものです。この曲はそのアルバムの2曲目に収録されています。

https://www.youtube.com/watch?v=3aDIPy2yB5U/

a0038167_08530571.jpg珍しいヴァージョンを2曲ほどご紹介しましょう。まずは1976年リリースの「ハーヴェスト」(Harvest)というバンドのヴァージョンです。ニューグラス時代のアレンジで聴かせてくれます。アルバム『割れる地面』(Breaking Ground)のB面1曲目に収録されていました。

https://www.youtube.com/watch?v=5Kn5gpfUN8I&t=266s/

a0038167_08532050.jpgまた2011年に「日本のブルーグラス・バンド」(Japanese Bluegrass Band)がこの曲を含む全11曲のアルバムをリリースしています。その1曲目に収録されていました。

https://www.youtube.com/watch?v=j76nobYl6IE/


by scoop8739 | 2019-07-22 08:54 | 「and」の曲 | Comments(0)

402 「and」(アンド)の曲(その1)

ボディ・アンド・ソウル(Body and Soul)

ジャズ・スタンダードの中でよく歌われる曲に「ボディ・アンド・ソウル」というものがあります。ジャズの世界ではそれを「身も心も」と訳しています。

その曲が誕生したのは1930年のことでした。作曲はジョニー・グリーン、作詞はエドワード・ヘイマン、フランク・アイトン、ロバート・サウアの共作で、イギリス出身の女優&シンガーのゲートルード・ローレンスのために用意されたのですが、最初に披露されたのはリビー・ホルマンによるブロードウェイ・レヴューでのことでした。

1940年代になると映画の挿入曲として使われ、これによって広く知られるようになり、ジャズでもスタンダードとして扱われるようになります。

「身も心もあなたのものだと思っているのに、なんで私はこんなに寂しい想いをしているの?」という身につまされるような内容の詞と、波瀾万丈な生涯を送ったビリー・ホリデイのイメージが重なり、彼女の代表的なパフォーマンスとして記憶されています。

a0038167_08290418.jpgさて、ブルーグラスの世界でも同じタイトルの曲がありました。ビル・モンローの歌で有名な「ボディ・アンド・ソウル」(With Body And Soul)です。

https://www.youtube.com/watch?v=mSZiiXz1DvQ/

「彼女の美しい体はまだ地球上にあるのに、魂は天上に呼ばれています。肉体と魂、肉体と魂。太陽が沈むと、彼女の身体は地面の下に埋められます。そして私の涙は雨のように落ちています」という、愛する者を亡くした悲しい気持ちを歌うのですが、歌詞の切なさと「ハイ・ロンサム」な歌声がよく合って、モンローのヒット曲となりました。

作者はバージニア・メイ・ストーファー(Virginia Mae Stauffer)という女性シンガー・ソングライターで、彼女はモンローにこの曲のほか数曲ほど提供しています。

1965年3月に「過去に生きて」(I Live In The Past)、1969年4月にこの曲「肉体と魂」(Body And Soul)を、1970年3月には「人生の道」(Road Of Life)、1975年3月には「道を教えて」(Show Me the Way)、そして1977年7月に「それが私のクリスマス」(That’s Christmas Time to Me)と、私の知るだけで5曲ほどありました。

モンローは彼女が黒髪だったことから「ジプシー」と呼んだり、「ミシガン州の小さな老婦人」と称したりして、彼女に「ヴァージニア・ダーリン」という曲を書いています。

https://www.youtube.com/watch?v=oHKM8HPxxRs/

a0038167_08294073.jpgブルーグラス・プレイヤーの多くがレパートリーに加えていますが、モンロー異端の弟子、ピーター・ローワンの歌はハイ・ロンサム感が強く出ています。これは2011年のトリビュート・アルバムに収録されました。

https://www.youtube.com/watch?v=s4y2rTgrp_w/

a0038167_08390480.jpg1973年にリリースされたアルバム『カントリー・ストア・ライヴ!』の中でキース・ウィットリーが味のある歌声を聴かせてくれます。

https://www.youtube.com/watch?v=CC1kI_3rgJ8/

a0038167_08392397.jpgニューグラス・リヴァイヴァルが1972年のデビュー・アルバムの中で、サム・ブッシュがロック・フィーリングで歌い上げています。カーティス・バーチの弾く切なく響くドブロの音色が何ともいい味を出しています。

https://www.youtube.com/watch?v=e1S5EKH9GRA/

a0038167_08463703.jpgしかし何といっても極めつけはセルダム・シーンが1972年にリリースした彼らのデビュー・アルバムに収録したものでしょう。やはり格が違います。

https://www.youtube.com/watch?v=Jep3JZwfPrA/


by scoop8739 | 2019-07-19 08:48 | 「and」の曲 | Comments(0)

401 「and」(アンド)の曲(序)

英語を知った中学生の頃から「&」という記号が好きでした。何となくト音記号にも似てたりして、ひっくり返すと筆記体の「S」にも見える魅力的な記号です。この「&」は正式には「アンパサンド」と言うらしく、「…と…」を意味する記号です。つまりは英語の「and」に相当するということで、この記号を知ったときからよく使うようになりました。

最近知ったことですが、浜崎あゆみのシングル曲だとか、一青窈のアルバムにもこの「&」が使われていて、私同様に彼女たちもこの記号が好きなのかな?なんて思ったりもしています。

さて、ブルーグラスのスタンダード曲の中には、「and」乃至は「&」がタイトルに含まれる曲が何曲もあるのを知り、嬉しくなってついつい調べてみると、「ポールとサイラス」(Paul & Silas)や「モリーとテンブルックス」(Molly & Tenbrooks)にような「AとB」という関係ばかりでなく、「オン・アンド・オン」(on and on)のように、副詞としての「アンド」があることにも気付かされます。


a0038167_08330928.jpgジャンルは変わりますが、「アンド」で思いつくのがサザン・ソウルの名曲「ミスター・アンド・ミセス・アントゥルー」(Mr. And Mrs. Untrue)です。キャンディ・ステイトン(Candi Staton)という女性シンガーが歌っていますが、「ミスターとミセスの不信」とでも訳しましょうか?https://www.youtube.com/watch?v=5BM1RXsB8To/

「毎週、同じホテルで密会する」というような歌詞でして、島津ゆたかの歌った「ホテル」を彷彿させる内容です。この場合の「アンド」には「夫婦」の意味が成立しません。やはり「ひとの夫」と「ひとの妻」、つまりはダブル不倫の歌なのですネ。

このように「アンド」を掘り下げてみますと、曲名も面白く感じられ、歌詞を知り、作者の意図を推察すれば、さらにブルーグラスの世界も楽しいものになります。

では次回から何度かに分けてタイトルに「アンド」を含む曲をご紹介させていただきます。どうぞお付き合いのほど、よろしくお願い致します。


by scoop8739 | 2019-07-17 08:35 | 「and」の曲 | Comments(0)

400 愛しの泡沫アルバム(その59)

ロイ・マクミランとハイ・カントリー・ボーイズ

マンドリン奏者のロイ・マクミランは1930年ヴァージニア州キャロル郡ファンシー・ギャップで生まれ育ちました。8歳の時にラジオで聴いたビル・モンローに感化されマンドリンを弾くことを始めます。モンローは常に彼のヒーローでした。

1950年にノース・カロライナ州ウィンストン・セーラムに移り、そこで彼はレストランの料理人として生活を始めます。後に転職して塗料と自動車修理の仕事を始めますが、彼にとってブルーグラスは常に人生の大部分であり、ブルーグラスのエンターテイナーになることが彼の夢でした。

1960年代初頭、ロイは遂に念願の夢であったプロのバンドに加入します。それがノース・カロライナ州のポフタウンで活動する「ラリー・リチャードソンとブルー・リッヂ・ボーイズ」(シリーズ16に既述)でした。

リチャードソンがバンドを去ってから、ロイは次の数年間「ワンダリング・バレー・ボーイズ」で働き、1968年になると彼は「ブルー・リッヂ・パートナーズ」(シリーズ33に既述)に加わりマンドリンと歌でその才能を開花させます。

1970年にブルー・リッヂ・パートナーズを辞し、自らのバンド「ハイ・カントリー・ボーイズ」(The High Country Boys)を結成しました。

バンドはロイのマンドリンとヴォーカルを筆頭に、ギターとヴォーカルにグラディ・バリンズ(Grady Bullins)、バンジョーにレイ・エドワーズ(Ray Edwards)でスタートし、フェスティバルやショーなどで演奏し始めました。

同年春にはフィドルにカール・ジョイナー(Carl Joyner)、さらに堅実なベース奏者で卓越したテナーと高いバリトン・ヴォーカルのダレル・ロウランド(Darrell Rowland)が加わります。そして最後にロイの息子ダグがギターとヴォーカルで参加しました。

1971年のノース・カロライナ州のカールトン・ヘイニー(Carlton Haney)主催のキャンプ・スプリングス・フェスティバルにおいて、レベル社々長のディック・フリーランド(Dick Freeland)はこのバンドのサウンドとプロ意識に非常に感銘を受けてレコード契約を結びます。

a0038167_08474331.jpgそして1972年の初めにファースト・アルバム『ハイ・カントリー』(High Country)のためにレコーディングを始め、翌73年にリリースされました。このアルバムには「コールド・ウィンド」を始め9曲のオリジナル曲とメンバー作曲の3曲、全12曲のすべてがオリジナルです。アルバムはリリースされるや人々から絶賛されました。

音源はYoutubeにて佐生武彦さんがアップして下さってる「Take’s Bluegrass Album Channel」で聴くことが出来ます。

https://www.youtube.com/watch?v=nsdcq5wHFBI/


by scoop8739 | 2019-07-11 08:49 | 泡沫アルバム探訪 | Comments(0)

399 愛しの泡沫アルバム(その58)

ジム・マッコール

オハイオ州シンシナティ周辺で労働者階級向けのバーを中心に演奏活動をしていたアール・テイラー(Earl Taylor)は、フォーク・リヴァイヴァルの恩恵を受け、1959年にアルバム『ブルーグラスからのフォーク・ソング』(Folk Songs From The Blue Grass)で思わぬメジャー・デビューを果たします。

このバンドにギターとヴォーカルで加わったのがジム・マッコール(Jim McCall)でした。ジムとアールの歌声はよくマッチし最強のコーラス・デュオとなります。このコンビで1968年から71年の間にルーラル・リズム社からリリースされたアルバムは3枚あります。

a0038167_08263968.jpgジムはこの間にソロ・アルバムのためのレコーディングを続け、1972年にヴェトコ社から『弾いて歌って』(Pickin’ & Singin')というアルバムをリリースしました。

https://www.youtube.com/watch?v=t2qHaDkUbLY&t=1073s/

アルバムはジムとバンド仲間のバンジョー奏者ヴァーノン・マッキンタイア・ジュニア(Vernon McIntyre Jr.)、エレキ・ベースにヴァーノンの妻のエリザベス(Elizabeth McIntyre)、マンドリンにフレッド・スペンサー(Fred Spencer)、サイド・ギターにロイ・リー・センターズ(Roy Lee Centers)という編成となっています。収録されている曲はブルーグラス・スタンダードが全18曲で、そのうち14曲をジムが一人で歌い、4曲がインスト曲でした。

a0038167_08272489.jpgこのアルバム発売を機にジムはヴァーノンと新たに「アパラチアン・グラス」(The Appalachian Grass)というバンドを組み、同年と翌1973年に同社よりアルバム2枚をリリースしています。そのひとつ、1972年のアルバムはジムの作品を5曲含む全11曲の意欲作となりました。

このアルバムの翌年にはメンバーを少し替え、ニューグラス時代を意識してかピアノとドラムを導入したアルバムをリリースします。

https://www.youtube.com/watch?v=MTe2BgmbVIM&t=742s/

B面2曲目にグラム・パーソンズの「ヒッコリー・ウインド」を加えるなど時代に合わせた選曲がなされています。

なおバンドはヴァーノンが引き継ぎ現在も活動中です。

それぞれの音源はYoutubeにて佐生武彦さんがアップして下さってる「Take’s Bluegrass Album Channel」で聴くことが出来ます。


by scoop8739 | 2019-07-08 08:29 | 泡沫アルバム探訪 | Comments(0)

398 ブルーグラスでベンチャーズ!(その2)

a0038167_12483271.jpgさてここで本命のアルバムをご紹介致しましょう。ジョー・ウィード(Joe Weed)という人がいます。彼はフィドルに留まらず、ギターもマンドリンも上手くこなす万能プレイヤーです。そんな彼が1995年にリリースしたのが『禿鷹』(The Vultures)でした。

https://www.youtube.com/watch?v=NiAhlZ_pG4c&t=364s/

このアルバムは全編ベンチャーズのブルーグラス版トリビュート・アルバムとでも言いますか、エレキ・サウンドを売り物にしているベンチャーズの曲をすべてアコゥスティック楽器で演奏していて、それだけでも驚きです。

テケテケサウンドの象徴でもある「パイプライン」(Pipeline)に始まり、「アパッチ」(Apache)や「急がば廻れ」(Walk Don't Run)「ワイプアウト」(Wipe Out)などベンチャーズの往年の名曲が並び、その他にもサーフ・サウンドの定番曲で彩られています。

さらに驚きはサポート・メンバーでした。ドブロにロブ・アイクス(Rob Ickes)、ベースにトッド・フィリップス(Todd Phillips)に加え、マンドリンに大御所デヴィッド・グリスマン(David Grisman)が参加しています。またハーモニカにはシンガー・ソングライターのノートン・バッファロ(Norton Baffalo)、ギターにリッチ・アーテルト(Rich Ertelt)、アコーディオンにジム・ボッジョ(Jim Boggio)、ドラムにスティーブ・ペフリー(Steve Pefley)、パーカッションにジョー・クレヴン(Joe Craven)も加わっています。

このアルバムの参加メンバーにバンジョー奏者が入っていなかったのが少し残念ですが、バンジョーが入ることにより、さらにブルーグラス・ファンにとって身近なアルバムとなったことでしょう。

a0038167_12491713.jpg最後に、前アルバムでバンジョーのないブルーグラスに少々もの足りなさを感じられた方のために、「チャタム・カウンティ・ライン」(Chatham County Line)というバンドをご紹介しましょう。彼らは1999年に結成され、これまでに7枚のスタジオ・アルバムをリリースするほどの若手人気バンドとなっています。

彼らがこの2019年にリリースした8枚目にあたるアルバム『カヴァーを共有する』(Sharing The Covers)は、ロックやポップスの世界で活躍するアーティストの曲をブルーグラス風にアレンジして演奏しています。

その中にはベンチャーズの「急がば廻れ」もちゃんとバンジョー入りでカヴァーされていました。

https://www.youtube.com/watch?v=cKeshVHr4qg/

我が国のブルーグラス事情はともかくも、本場アメリカでは次々と若手が台頭してきているようで、うらやましい限りです。


by scoop8739 | 2019-07-05 12:53 | ベンチャーズ・ソング | Comments(0)