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395 愛しの泡沫アルバム(その56)

ホワイトウォーター

1972年にニューグラスの旋風を受けてデビューしたのが「ホワイトウォーター」(Whitewater)なるグループでした。ホワイトウォーターとは「激流」という意味がありますが、その名前の通り随所に若さほとばしる演奏を聴かせるバンドです。

彼らの出身地は西海岸とはいえオレゴン州とアイダホ州という、ブルーグラスが盛んなアメリカ南東部からは少し離れた地域というのが特徴的です。彼らはワシントン州シアトルにあるノースウエスト大学周辺で演奏活動を行っていました。

メンバーはベースとリード・ヴォーカルを担当するアルデン・イエーツ(Alden Yates)、マンドリン、ギター、ベースのポール・スミス(Paul Smith)、この二人がオレゴン州の出身。

フィドル、ギター、ベースとヴォーカルのテディ・ジョーンズ(Teddy Jones)、バンジョーのマイケル・ウェンドリング(Michael Wendling)の二人がアイダホ州の出身。

a0038167_08380711.jpgアルバムはアメリカン・ヘリテイジ社から『白い雲の中の春』(Springtime In The White Clouds)といういささかメルヘンティックなタイトルでリリースされ、全10曲のうち5曲がメンバーによるオリジナルでした。

A面4曲目「5つの雨の日」はポールの作。同5曲目「Gマイナー・ブレイクダウン」(G Minor Breakdown)とB面2曲目「チューナー・ソング」(The Tuner Song)がマイケルの作です。B面1曲目「もう一つの歌」(Another Song To Sing)はテディ作、同5曲目のアルバムのタイトルにもなった「白い雲の中の春」はアルデン作となっています。

インスト曲ではA面3曲目ロッシーニ作の「ウィリアム・テル序曲」(Ballad Of The Lone Ranger)でしょうか? クラシックの名曲をバンジョーとマンドリンが上手くブルーグラスにアレンジして聴かせます。また同5曲目の「Gマイナー・ブレイクダウン」も三味線を聴いているようで面白い作りの曲です。

全曲聴いてみて、歌ものよりインスト曲に興味をかき立てられるバンドでした。

音源はYoutubeにて佐生武彦さんがアップして下さってる「Take’s Bluegrass Album Channel」で聴くことが出来ます。

https://www.youtube.com/watch?v=tRopCz-Ox_4/


by scoop8739 | 2019-06-27 08:39 | 泡沫アルバム探訪 | Comments(0)

394 愛しの泡沫アルバム(その55)

ビル・グラントとデリア・ベル

デリア・ノウェル(Delia Nowell)はテキサス州ボーナムで1938年に生まれ、子供の頃にオクラホマ州ヒューゴに移住します。彼女はスタンレー・ブラザーズやビル・モンローのブルーグラス音楽に触発されて10代の頃から歌い始めました。大人になってボビー・ベル(Bobby Bell)と結婚した彼女は、1959年にボビーの友人で歌の上手いビル・グラント(Bill Grant)と親しくなります。

ビル・グラントは1930年、オクラホマ州に住むインディアンのチョクトー族(Choctaw)に生まれヒューゴ近くの牧場で育ちます。彼は成長するとビル・モンローに触発されマンドリンを弾き始めました。そのうち彼らは一緒に歌い始め、すぐにラジオKIHNヒューゴ局で「リトル・デキシー・ヘイライド」(Little Dixie Hayride)という番組の常連になります。

1960年の後半には二人はボナム兄弟(The Bonham Brothers)と一緒にバンドを組んで各地のブルーグラス・フェスティバルに出演し人気者になりました。彼らはバンド名を「キアミチ・マウンテン・ボーイズ」(The Kiamichi Mountain Boys)と名乗ります。この変わった名前は、グラントとベルの家の近くにあるキアミチ山脈にちなんだものでした。また、商才のあるビルは独自のレーベル「キアミチ・レコード」を主体に数多くのレコードをリリースしています。

a0038167_08464204.jpgまず1972年にはバンド名でデビュー・アルバムをリリースします。メンバーはビルのマンドリンとリード・ヴォーカル、デリアのギターとテナー・ヴォーカルを中心に、バンジョーのベン(Ben Bonham)、ギターのグレン(Glen Bonham)、フィドルのオーヴィル(Orville Bonham)、ベースのヴァージル(Virgil Bonham)のボーナム兄弟を従えての6人編成でした。このアルバムはジャケットをカラフルにして1976年に再リリースされています。

a0038167_08490998.jpg続く1974年に『キアミチ・カントリー』(Kiamichi Country)をリリースしました。

https://www.youtube.com/watch?v=tcHCvEcf6VI/

a0038167_08342701.jpg翌1975年には『そこに泉あり』(There Is A Fountain)、同年『最後のクリスマス・ツリー』(The Last Christmas Tree)と、その勢いは止まりません。

https://www.youtube.com/watch?v=oSi9mF1d9pM/

さらに翌1976年には『14の思い出』(Fourteen Memories)、1978年には『オクラホマにつながる道』(My Pathway Lead To Oklahoma)、翌1979年には『マウンテン・スタイルのブルース』(The Blues - Mountain Style)と立て続けにアルバムをリリースしています。またボナム・ブラザーズ名義でも、1976年に『2世代』(Two Generations)というアルバムをほぼ同じメンバー編成でリリースしています。

こうして有名になった彼らでしたが、ボナム兄弟がツアーを嫌ったためにバンドは1980年に解散しました。その後、ビルとデリアの2人はジョンソン・マウンテン・ボーイズ(The Johnson Mountain Boys)と一緒に仕事をしたり、またその時々でいろんなミュージシャンと一緒に演奏活動を行っています。

それぞれの音源はYoutubeにて佐生武彦さんがアップして下さってる「Take’s Bluegrass Album Channel」で聴くことが出来ます。


by scoop8739 | 2019-06-24 08:57 | 泡沫アルバム探訪 | Comments(0)

393 愛しの泡沫アルバム(その54)

ウェンディ・ミラー&マイク・リリー

1970年あたりから本格的に若手ブルーグラス・ミュージシャンがベテラン・バンドへ加入するようになります。これは既成のブルーグラスがニューグラスの潮流に刺激されて現代的な新しい方向へと導かれる原動力となりました。

ウェンディ・ミラーとマイク・リリーもまたそういった動きをしてきます。彼らは若手トラディッショナル・ブルーグラス・ヴォーカリストのトップ・グループの一角を占めるラリー・スパークのロンサム・ランブラーズに加わり、バンドのサウンド作りに貢献してきました。

ウェンディ・ミラーはケンタッキー州キャプトンに生まれ、ビル・モンローに触発されてブルーグラスの道を歩むこととなります。彼のスタイルは新旧ブルーグラスのエッセンスを巧みにブレンドさせたソリッドな演奏が特徴です。

一方のマイク・リリーはウェンディと同じくケンタッキー州の出身で、彼のバンジョー・スタイルは古くはクローハンマーに始まり、スクラッグスからスタンレーのオーソドックスなものから、マール・トラヴィスのギターのリック、そして普通のバンジョー奏者なら避けて通るダン・リーノのスタイルまで、あらゆるスタイルに果敢に挑んでいます。

a0038167_08381468.jpgそんな彼らがユニットを組み作ったアルバムが、1972年にリリースされた『ニューグラス・インストルメンタル』(New Grass Instrumentals)でした。

このアルバムにはウェンディのマンドリンの直接の師匠であるノーマン・リー・フォルクナー(Nolan Lee Faulkner)がセカンド・マンドリンで参加しています。その演奏はA面4曲目「ツイン・マンドリン・ワルツ」(Twin Mandolin Waltz)とB面4曲目「金のスリッパ」(Golden Slippers)で聴くことが出来ます。

またギターのエディ・キャロル(Eddie Carroll)はこのアルバムのレコーディング当時はチャーリー・ムーアのデキシー・パートナーズで活躍しています。セカンド・ギターのジェイムズ・ミラーはノーマン・リー・フォルクナーと同じくミラー・ブラザーズで活躍していました。

全12曲の収録曲のうち5曲が彼らのオリジナルとなっています。

ウェンディとマイクはこのアルバムを始め3枚のアルバムをリリースした後、本格的に彼らのバンドを結成しました。

音源はYoutubeにて佐生武彦さんがアップして下さってる「Take’s Bluegrass Album Channel」で聴くことが出来ます。

https://www.youtube.com/watch?v=acOgHwTvhmo/


by scoop8739 | 2019-06-20 08:39 | 泡沫アルバム探訪 | Comments(0)

392 愛しの泡沫アルバム(その53)

ポニー・エクスプレス

1972年、当時ブルーグラス・アライアンス在籍中だったサム・ブッシュは、バンド・マスターのロニー・ピアースを除く4人のメンバーと共にアライアンスを退団し「ポニー・エクスプレス」というバンドを立ち上げます。

しかしすぐにこのバンド名は既に他のグループによって使われていることが判明し、「ニューグラス・リヴァイヴァル」と名を改めます。その「ポニー・エクスプレス」という名で活動していたのが、テネシー州在住の3人の常駐医師と法律を勉強中の学生が加わった素人バンドでした。

a0038167_09360218.jpgこのバンドは1970年にメンバーたちがテキサス大学医学部に通っていた折に結成され、1972年にはメリーランド州マウント・レイニアに本拠を置くレベル社から1枚のアルバムをリリースしています。そのアルバム・ジャケットに映る4人はいささか古めかしい衣装を纏って、まるでたった今、田舎から出てきたようにも見えます。

4人は、バンジョーとギターとヴォーカルのジム・アーサー(Jim Arthur)、ギターとヴォーカルのフィル・ロウ(Phil Roe)、マンドリンとギターとヴォーカルのスティーヴ・バーンズ(Stave Barnes)、そしてベースとヴォーカルのトム・イーデス(Tom Eades)でした。

ケンタッキー州の丘陵地帯、ジョージア州の山岳地帯、そしてテネシー州のデルタ地帯で育った彼らの作る音楽は、ニューグラス時代を反映して古き良き音楽からの選曲に現代的な表現を加味したものとなっています。

A面4曲目にはセルダム・シーンのデビュー・アルバムA面1曲目の「レイルロード・ライン」(Raised By The Railroad Line)を収録しています。さすがにシーンには敵いませんが、こういったチャレンジ精神は若者の特権なのでしょう。

ところでこのアルバムをリリースした後に、メンバーの一人フィル・ロウは1973年から1974年まで陸軍医療隊に入隊し韓国の基地に駐留します。そのためバンドは個々のキャリアを追求するために解散しました。

参考までに、ロウは1974年まで陸軍の軍医を務め、その後は勤務医として働いていたのですが、2003年から2007年まではジョンソン・シティの副市長、2007年から2009年までは市長を務めた後に共和党より出馬して、現在テネシー州第1区選出の下院議員として活躍しています。

もしもこのバンドが解散せずに、それぞれがキャリアを重ねながらバンド活動を維持していたのなら、第2のセルダム・シーンになっていたのかもしれません。

音源はYoutubeにて佐生武彦さんがアップして下さってる「Take’s Bluegrass Album Channel」で聴くことが出来ます。

https://www.youtube.com/watch?v=6n9-3a5Z7l0&t=543s/


by scoop8739 | 2019-06-18 09:38 | 泡沫アルバム探訪 | Comments(0)

391 愛しの泡沫アルバム(その52)

ダグ・グリーン

通称「レンジャー・ダグ」と呼ばれているダグラス・グリーンは、1977年に結成された「ライダー・イン・ザ・スカイ」(Riders in the Sky)の創設メンバーとして有名です。

彼は1946年の生まれ、高校生の時にブルーグラスに出会います。1968年にミシガン大学に通っている間は映画やテレビ番組で出会った「歌うカウボーイ」に魅了され続け、そこを卒業した後はテネシー州ナシュヴィルにあるヴァンダービルト大学で「歌うカウボーイ」を研究し文学修士号を取得したほどでした。

彼は学生時代の1967年と69年の一時期、ビル・モンローのバンドでベースを弾くなど演奏活動を手伝っています。また同時期にジミー・マーチンのバンドでも活動していました。

a0038167_08553679.jpgそんな彼が1972年にバンジョー奏者のヴィック・ジョーダンやバック・ホワイト・ファミリーのサポートを得て2枚のアルバムをリリースしています。まず1枚目がステート・フェア社からリリースされた『神 の目に』(In God's Eyes)という全19曲のセイクレッド集でした。

https://www.youtube.com/watch?v=v_DASk959a4/

a0038167_08554751.jpg続いて名門オールド・ホームステッド社から『ライザ・ジェーンとサリー・アン』(Liza Jane & Sally Anne)というアルバムをリリースしています。タイトルはブルーグラスでは有名な曲名ですが、彼の2人の娘の名前なのだそうです。

https://www.youtube.com/watch?v=cTDb5t3VqqM&t=7s/

両アルバムともメンバーはダグのギターとリード・ヴォーカルに、ヴィック・ジョーダン(Vic Jordan)のバンジョー、バック・ホワイト(Buck White)のマンドリンとヴォーカル、バックの娘シャロン(Sharon White)のギターとヴォーカル、シェリル(Cheryl White)のベースとヴォーカルとなっています。

それぞれの音源はYoutubeにて佐生武彦さんがアップして下さってる「Take’s Bluegrass Album Channel」で聴くことが出来ます。

余談ですが、ダグは2002年にヴァンダービルト大学出版「サドルの中の歌」という著書を出版しています。この本は1930年代に流行った「歌うカウボーイ」のことを書いていて、彼は第2次世界大戦以前の西部劇全盛期から今日までの、映画や音楽、さらに演奏者へのインタビューを含め、30年に亘って研究してきたのだそうです。


by scoop8739 | 2019-06-13 08:57 | 泡沫アルバム探訪 | Comments(0)

390 愛しの泡沫アルバム(その51)

ブルーグラス・タールヒールズ

ラルフ・スタンレーのバンド「クリンチ・マウンテン・ボーイズ」で1970年代前半に活躍したギター奏者のリッキー・リー(Ricky Lee)は、リード楽器としてのギターを新たな高みへ導くべく若い世代に多くのインスピレーションを与えました。

そのリッキーがクリンチ・マウンテン・ボーイズに加入する直前まで属していたのが「ブルーグラス・タールヒールズ」(The Bluegrass Tarheels)です。

バンドは以前には「ディキシー・ヒルビリーズ」(The Dixie Hillbillies)という名で活動していましたが、1971年9月頃ビル・モンローによって光栄にも、彼らがノース・カロライナ州の出身であることから、州に付けられたニック・ネーム「タールヒール」と改名させられます。

a0038167_09114556.jpgさて、そんな彼らのデビュー・アルバムが1972年にリリースされた『タールヒール・カントリー』(Tarheel Country)でした。

リード・ギターのリッキー・リーだけが目立ちますが、他メンバーはギターとリード・ヴォーカルのジェイムズ・ランドルフ(James Randolph)、マンドリンとテナー・ヴォーカルにロバート・マックドウガル(Robert McDougal)、バンジョーとバリトン・ヴォーカルにジェリー・エドマンソン(Jerry Edmunson)、フィドルにドイル・ドナヒュー(Doyle Donahue)、そしてベースにボブ・フォード(Bob Ford)の6人編成となっています。

このアルバムのハイライトはA面1曲目の「水はとても冷たい」(Water So Cold)です。アメリカ南北戦争中の南軍の将軍ストーンウォール・ジャクソンの逸話を基にハロルド・ハワードによって作られた曲でした。

そして同2曲目のラルフ・スタンレー作「ケティ・ダリー」(Katy Daly)、同4曲目のアール・テイター作「子どもたちが泣いている」(Children Are Crying)、B面2曲目のA.P.カーター作「私が恋しいか?」(Will You Miss Me)、同3曲目「砂糖まみれの恋」(Sugar Coated Lovre)、同6曲目「美しき人生」(Beautiful Life)などのスタンダード曲が巧みに歌われています。

またA面3曲目「45号列車」(Train 45)、同6曲目「ワシントン郡」(Washington County)、B面1曲目「ロンサム・ルーベン」(Lonesome Reuben)、同4曲目「スパニッシュ・グラス」(Spanish Grass)などのインスト曲も素晴らしく、リッキー・リーの演奏も聴きものです。

バンドはリッキー・リーが抜けた後の翌1973年と1975年に2枚のアルバムをリリースしています。

音源はYoutubeにて佐生武彦さんがアップして下さってる「Take’s Bluegrass Album Channel」で聴くことが出来ます。

https://www.youtube.com/watch?v=JnR55QXSyRQ/


by scoop8739 | 2019-06-10 09:15 | 泡沫アルバム探訪 | Comments(0)

389 ビートルズ・ソングをブルーグラスで(その3)

「ビートルグラス」と同じような楽器構成ながらよりポップであり、サイケデリックなのが「サージェント・ポップグラス」(Sgt. Popgrass)というバンドです。

このバンドは1981年にイリノイ州シャンペーンでスタートしたロック&ポップ・トリオ「エルヴィス・ブラザーズ」にいた奇才「グラハム・エルヴィス」(Graham Elvis)が主宰しています。

グラハムは現代クラシックやポップ・ソングをブルーグラスに合わせることによって、ユニークかつオリジナルな「ポップ・グラス」と呼ばれる新しいジャンルの音楽を生み出しました。

バンドにはグラハムの他に3人の非常に才能のあるミュージシャンが在籍しています。一人はベースのマイク・ブラッドバーン(Mike Bradburn)、もう一人はクリスタ・ハートマン(Krista Hartman)という女性シンガー・ソングライター、そしてマンドリンとバンジョーを担当するジョエル・シンプソン(Joel Simpson)でした。

a0038167_13532171.jpgバンドの選曲も一風変わっていて、誰も演奏することのないような曲、例えば「ただ眠いだけ」(I'm Only Sleeping)や「ヘルター・スケルター」(Helter Skelter)などを得意としています。彼らはこのような、新鮮、かつ魅力的なビートルズ・ソングの数々をライブで演奏し、観客に笑顔を届けています。

https://www.youtube.com/watch?v=186pjWzbIiQ/

https://www.youtube.com/watch?v=L_kTZllZ-c0/

彼らには珍しくおとなしい曲「レイン」(Rain)も演奏しています。ビートルズ・ソングを歌うバンドは数多くありますが、この曲を歌っているものはあまり聴いたことがありません。

https://www.youtube.com/watch?v=-ixBSDO5y-M/

a0038167_13533151.jpgあまり聴いたことがない中でも、1970年代から1980年代半ばにかけてワシントンD.C.を中心に演奏活動していた「アパラチアン・レイン」(Appalachian Reign)というバンドはこの曲をいち早くレパートリーにしていました。

https://www.youtube.com/watch?v=ZEzbkY_YAVs/

演奏を聴いてお判りのように、彼らによる素材の選択やそのアレンジ、そしてライヴながらこの安定した演奏テクニックなど、当時はたくさんの観客を満足させたようです。

バンドは1970年代半ばにトム・ノウルズ(Tom Knowles)によって結成され、ほぼ10年間、フェスティバルやライヴ・ハウスで演奏活動をしていました。ロックビルにあるレッド・フォックス・インでは8年間に亘りほぼ毎週のように演奏をしています。

しかしそんな活動にも関わらず、バンドはメリーランド州ベセスダにあったアーバン・レコーディング社に僅か1枚のシングル盤しか残していません。

当時のミュージシャンは、ギターとリード・ヴォーカルにトム・ノウルズ、マンドリンとテナー・ヴォーカルにネヴィン・ランバート(Nevin Lambert)、バンジョーにスタッフォード・マーカム(Stafford Markham)、フィドルにデイブ・ゴールドマン(Dave Goldman)、ベースにジム・デューク(Jim Duke)という5人編成でした。

バンドはメンバー・チェンジを重ね、一時期、ギターとテナーにデイヴ・オウルドリッヂ、フィドルにジョー・メドウスなども在籍しましたが、1980年代半ばまででその活動を終わらせています。


by scoop8739 | 2019-06-07 13:54 | ビートルズ・ソング | Comments(0)

388 ビートルズ・ソングをブルーグラスで(その2)

a0038167_09311292.jpg「ビートルグラス」(Beatlegras)の第1弾アルバムはややスローな曲が多かったのですが、翌2007年にはブルーグラスの魅力が全開のアップ・テンポな演奏を聴かせてくれる第2弾アルバムをリリースします。このアルバムは彼らのオリジナル曲を3曲ほど含んだ全12曲で、「プリーズ・プリーズ・ミー」を始め、前期から中期までの名曲で構成されています。

さらに2008年には第3弾アルバム『完璧な世界で』(In A Perfect World)をリリースしました。

ところがデイヴは2011年にバンドを一旦解散し再出発を図ります。新生バンドは「サージェント・ペパーズ・ロンリー・ブルーグラス・バンド」(Sgt. Peppers Lonely Bluegrass Band)と名乗りメンバーを一新しました。

a0038167_09315465.jpgこのバンドも「ブルーグラス」とは謳っていますが単なるブルーグラスではありません。今回はジャズに加えクラシック音楽によるひとひねりがありとても新しいサウンドを創り出しています。

https://www.youtube.com/watch?v=YJZqHdqQ2KY/

新生グループの一人はバイオリンとヴォーカルのレジナルド・ルーファー(Reginald Rueffer)でした。彼は正式なクラシック・バイオリンのトレーニングを受け、高校時代にはオール・ステート・オーケストラのメンバーにまでなっています。

そしてノース・テキサス大学で音楽教育学位を取得した後に、突然フィドル・プレイヤーとしてチャーリー・プライドのバンドで13年間に亘りツアー・サポートとして過ごします。しかしこの間もクラシック音楽とビートルズへの愛を失うことはありませんでした。

二人目はベースとヴォーカルのバッハ・ノーウッド(Bach Norwood)です。幼い頃から歌と楽器演奏を始め、学校や大学ではクラシック音楽とジャズを学んでいます。

ジャズに対する愛が加速するにつれて、彼はノース・テキサス大学に転入してジャズ・スタディーズで学士号を取得しベースの演奏に集中しました。

彼は現在もテキサス、オクラホマ、そしてルイジアナのオーケストラやジャズ・バンドで演奏活動を続けながら、このバンドでも活動をしています。

さらにもう一人メンバーが、バンジョーやマンドリンなどを上手く操るブルーグラス界ではベテランの一人ジェラルド・ジョーンズ(Gerald Jones)でした。

彼はテキサスの音楽界で天才マルチ・プレイヤーとして有名です。ジェラルドはフルタイムの演奏家でマイケル・マーチン・マーフィー(Michael Martin Murphy)、ジョン・ハートフォード(John Hartford)、マーク・オコーナー(Mark O'Connor)、ヴィンス・ギルの所属していたレイジー・リヴァー(Lazy River with Vince Gill)、さらにカントリー歌手のウィル・バーンズ(Will Barnes)とレッド・スティーガル(Red Steagall)などさまざまなバンドで演奏していました。

このようなメンバーでスタートしたバンドはみるみるアメリカとイギリスで評判を集めるようになります。

さて、「ビートルズ・ソングをブルーグラスで」の最後にまた違った雰囲気を持つブルーグラス・バンドを2、3紹介しましょう。

a0038167_09323115.jpg一つ目はちょっと怖い面々「ヘイシード・ディキシー」(Hayseed Dixie)が2007年にリリースしたアルバム『ブルーグラス破壊兵器』(Weapons Of Grass Destruction)の5曲目に収録されている「いちご畑よ永遠に」(Strawberry Fields Forever)でした。

https://www.youtube.com/watch?v=nHIyi3Yo1g8/

a0038167_09330322.jpg二つ目は「グリーンスカイ・ブルーグラス」(Greensky Bluegrass)が2009年にリリースした2枚組ライヴ・アルバム『オール・アクセス・ヴォリューム1』(All Access Volume 1 11.27.09)の2枚目の3曲目に「日常の一日」(A Day In The Life)を収録しています。

https://www.youtube.com/watch?v=tE_q5wR-lDM/

a0038167_09332458.jpg三つ目は「リル・スモーキーズ」(The Lil’ Smokies)が2018年にストリーミング配信した「三文作家」(Paperback Writer)です。

https://www.youtube.com/watch?v=RxczRNFh_pM/

これらのバンドに共通しているのはブルーグラスの中にロックの雰囲気が感じられるということです。


by scoop8739 | 2019-06-05 09:37 | ビートルズ・ソング | Comments(0)

387 ビートルズ・ソングをブルーグラスで(その1)

本ブログでよく取り上げている中に、ビートルズ・ソングをブルーグラス・スタイルで演奏するというものがあります(特に通巻108回から127回において集中して書いています)。古くは「チャールズ・リヴァー・ヴァレー・ボーイズ」(The Charles River Valley Boys)あたりに始まり、ニューグラス時代には数多くのバンドがその演奏スタイルを競い合いました。

a0038167_10133551.jpeg最近ではバンジョー奏者のビル・エヴァンス(Bill Evans)が2012年にリリースしたアルバム『よい仲間で』(In Good Company)に「ルーシー・イン・ザ・スカイ・ウイズ・ダイアモンド」と「ハード・デイズ・ナイト」の2曲が収録されています。

https://www.youtube.com/watch?v=owquyytIC_Y/

https://www.youtube.com/watch?v=wzUiALTzhXg/

a0038167_10134300.jpg翌2013年には、フィドルを始めマルチ・プレイヤーとして有名なクレイグ・ダンカン(Craig Duncan)が『ブルーグラス・ビートルズ』(Bluegrass Beatles)というド直球タイトルのアルバムをリリースしています。

https://www.youtube.com/watch?v=tSN-YIo2FMM&list=PLnpXT8lxZ37poH-pZVQPk7GypPgC2DDK_/

参加メンバーは、フィドルとマンドリンがクレイグ、ギターにブライアン・サットン(Brian Sutton)、マンドリンとギターにロバート・ボウリン(Robert Bowlin)、バンジョーにスコット・ベスタル(Scott Vestal)、ドブロにロブ・アイクス(Rob Ickes)、ベースにマーク・ファイン(Mark Fain)という豪華な顔ぶれでした。

超絶技巧のパンチ・ブラザーズ(The Punch Brothers)もライヴで「ペイパーバック・ライター」を取り上げるなど、ありとあらゆる演奏者やバンドがそれぞれのスタイルで演奏しています。

https://www.youtube.com/watch?v=Fj8FIksqo7w/

その中にあって、ビートルズ・ソングを今までの手法とは異なるスタイルで聴かせるバンドがありました。その名も「ビートルグラス」(The Beatlegras)という革新的なバンドです。彼らは2004年に結成され、アメリカとイギリスのそれぞれの劇場などでビートルズ・ソングをブルーグラスとジャズというハイブリッドなスタイルで演奏しています。

このバンドの中心はギターとリード・ヴォーカルのデイヴ・ワルサー(Dave Walser)でした。彼は父親がギターを弾いているのに興味を覚え、6歳ギターを弾き始め、すぐにブルーグラスを演奏するようになります。10歳の時にエド・サリバン・ショーでビートルズを観てからはすっかり彼らの虜になってしまいます。

デイヴはブルーグラスに少しひねりを加えてビートルズの曲を演奏し始めました。成長してからはイースト・テキサス州立大学に通いながらも演奏を続け、卒業後も就職せずにプロとして演奏活動を始めます。そしてエド・サリバン・ショーを観てから40年後に彼のアイデアにふさわしいパートナーを見つけたのでした。それがベースとヴォーカルのジョージ・アンダーソン(George Anderson)と、マンドリンやフィドルやドブロなどなんでもこなし歌も歌うマイロ・ディーリング(Milo Deering)です。

マイロもデイヴのように長い間ブルーグラスを演奏していました。また当初はビートルズにそれほど慣れていなかったアンダーソンは、このバンドに即興的なジャズの感性をもたらします。それは以前からデイヴが捜していたスタイルだったのです。

https://www.youtube.com/watch?v=3wqs2W0ORXk/

a0038167_10135325.jpg豊かな音楽性と磐石の技巧を併せ持つ彼らは、ブルーグラス音楽の純粋さとジャズ的手法を交えてビートルズ・ソングを上手く表現しました。そして2006年に第1弾アルバムをリリースします。アルバムにはビートルズの中期から後期にかけての名曲が10曲収録されています。

(次回に続く)


by scoop8739 | 2019-06-03 10:17 | ビートルズ・ソング | Comments(0)