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カテゴリ:ビートルズ・ソング( 23 )

389 ビートルズ・ソングをブルーグラスで(その3)

「ビートルグラス」と同じような楽器構成ながらよりポップであり、サイケデリックなのが「サージェント・ポップグラス」(Sgt. Popgrass)というバンドです。

このバンドは1981年にイリノイ州シャンペーンでスタートしたロック&ポップ・トリオ「エルヴィス・ブラザーズ」にいた奇才「グラハム・エルヴィス」(Graham Elvis)が主宰しています。

グラハムは現代クラシックやポップ・ソングをブルーグラスに合わせることによって、ユニークかつオリジナルな「ポップ・グラス」と呼ばれる新しいジャンルの音楽を生み出しました。

バンドにはグラハムの他に3人の非常に才能のあるミュージシャンが在籍しています。一人はベースのマイク・ブラッドバーン(Mike Bradburn)、もう一人はクリスタ・ハートマン(Krista Hartman)という女性シンガー・ソングライター、そしてマンドリンとバンジョーを担当するジョエル・シンプソン(Joel Simpson)でした。

a0038167_13532171.jpgバンドの選曲も一風変わっていて、誰も演奏することのないような曲、例えば「ただ眠いだけ」(I'm Only Sleeping)や「ヘルター・スケルター」(Helter Skelter)などを得意としています。彼らはこのような、新鮮、かつ魅力的なビートルズ・ソングの数々をライブで演奏し、観客に笑顔を届けています。

https://www.youtube.com/watch?v=186pjWzbIiQ/

https://www.youtube.com/watch?v=L_kTZllZ-c0/

彼らには珍しくおとなしい曲「レイン」(Rain)も演奏しています。ビートルズ・ソングを歌うバンドは数多くありますが、この曲を歌っているものはあまり聴いたことがありません。

https://www.youtube.com/watch?v=-ixBSDO5y-M/

a0038167_13533151.jpgあまり聴いたことがない中でも、1970年代から1980年代半ばにかけてワシントンD.C.を中心に演奏活動していた「アパラチアン・レイン」(Appalachian Reign)というバンドはこの曲をいち早くレパートリーにしていました。

https://www.youtube.com/watch?v=ZEzbkY_YAVs/

演奏を聴いてお判りのように、彼らによる素材の選択やそのアレンジ、そしてライヴながらこの安定した演奏テクニックなど、当時はたくさんの観客を満足させたようです。

バンドは1970年代半ばにトム・ノウルズ(Tom Knowles)によって結成され、ほぼ10年間、フェスティバルやライヴ・ハウスで演奏活動をしていました。ロックビルにあるレッド・フォックス・インでは8年間に亘りほぼ毎週のように演奏をしています。

しかしそんな活動にも関わらず、バンドはメリーランド州ベセスダにあったアーバン・レコーディング社に僅か1枚のシングル盤しか残していません。

当時のミュージシャンは、ギターとリード・ヴォーカルにトム・ノウルズ、マンドリンとテナー・ヴォーカルにネヴィン・ランバート(Nevin Lambert)、バンジョーにスタッフォード・マーカム(Stafford Markham)、フィドルにデイブ・ゴールドマン(Dave Goldman)、ベースにジム・デューク(Jim Duke)という5人編成でした。

バンドはメンバー・チェンジを重ね、一時期、ギターとテナーにデイヴ・オウルドリッヂ、フィドルにジョー・メドウスなども在籍しましたが、1980年代半ばまででその活動を終わらせています。


by scoop8739 | 2019-06-07 13:54 | ビートルズ・ソング | Comments(0)

388 ビートルズ・ソングをブルーグラスで(その2)

a0038167_09311292.jpg「ビートルグラス」(Beatlegras)の第1弾アルバムはややスローな曲が多かったのですが、翌2007年にはブルーグラスの魅力が全開のアップ・テンポな演奏を聴かせてくれる第2弾アルバムをリリースします。このアルバムは彼らのオリジナル曲を3曲ほど含んだ全12曲で、「プリーズ・プリーズ・ミー」を始め、前期から中期までの名曲で構成されています。

さらに2008年には第3弾アルバム『完璧な世界で』(In A Perfect World)をリリースしました。

ところがデイヴは2011年にバンドを一旦解散し再出発を図ります。新生バンドは「サージェント・ペパーズ・ロンリー・ブルーグラス・バンド」(Sgt. Peppers Lonely Bluegrass Band)と名乗りメンバーを一新しました。

a0038167_09315465.jpgこのバンドも「ブルーグラス」とは謳っていますが単なるブルーグラスではありません。今回はジャズに加えクラシック音楽によるひとひねりがありとても新しいサウンドを創り出しています。

https://www.youtube.com/watch?v=YJZqHdqQ2KY/

新生グループの一人はバイオリンとヴォーカルのレジナルド・ルーファー(Reginald Rueffer)でした。彼は正式なクラシック・バイオリンのトレーニングを受け、高校時代にはオール・ステート・オーケストラのメンバーにまでなっています。

そしてノース・テキサス大学で音楽教育学位を取得した後に、突然フィドル・プレイヤーとしてチャーリー・プライドのバンドで13年間に亘りツアー・サポートとして過ごします。しかしこの間もクラシック音楽とビートルズへの愛を失うことはありませんでした。

二人目はベースとヴォーカルのバッハ・ノーウッド(Bach Norwood)です。幼い頃から歌と楽器演奏を始め、学校や大学ではクラシック音楽とジャズを学んでいます。

ジャズに対する愛が加速するにつれて、彼はノース・テキサス大学に転入してジャズ・スタディーズで学士号を取得しベースの演奏に集中しました。

彼は現在もテキサス、オクラホマ、そしてルイジアナのオーケストラやジャズ・バンドで演奏活動を続けながら、このバンドでも活動をしています。

さらにもう一人メンバーが、バンジョーやマンドリンなどを上手く操るブルーグラス界ではベテランの一人ジェラルド・ジョーンズ(Gerald Jones)でした。

彼はテキサスの音楽界で天才マルチ・プレイヤーとして有名です。ジェラルドはフルタイムの演奏家でマイケル・マーチン・マーフィー(Michael Martin Murphy)、ジョン・ハートフォード(John Hartford)、マーク・オコーナー(Mark O'Connor)、ヴィンス・ギルの所属していたレイジー・リヴァー(Lazy River with Vince Gill)、さらにカントリー歌手のウィル・バーンズ(Will Barnes)とレッド・スティーガル(Red Steagall)などさまざまなバンドで演奏していました。

このようなメンバーでスタートしたバンドはみるみるアメリカとイギリスで評判を集めるようになります。

さて、「ビートルズ・ソングをブルーグラスで」の最後にまた違った雰囲気を持つブルーグラス・バンドを2、3紹介しましょう。

a0038167_09323115.jpg一つ目はちょっと怖い面々「ヘイシード・ディキシー」(Hayseed Dixie)が2007年にリリースしたアルバム『ブルーグラス破壊兵器』(Weapons Of Grass Destruction)の5曲目に収録されている「いちご畑よ永遠に」(Strawberry Fields Forever)でした。

https://www.youtube.com/watch?v=nHIyi3Yo1g8/

a0038167_09330322.jpg二つ目は「グリーンスカイ・ブルーグラス」(Greensky Bluegrass)が2009年にリリースした2枚組ライヴ・アルバム『オール・アクセス・ヴォリューム1』(All Access Volume 1 11.27.09)の2枚目の3曲目に「日常の一日」(A Day In The Life)を収録しています。

https://www.youtube.com/watch?v=tE_q5wR-lDM/

a0038167_09332458.jpg三つ目は「リル・スモーキーズ」(The Lil’ Smokies)が2018年にストリーミング配信した「三文作家」(Paperback Writer)です。

https://www.youtube.com/watch?v=RxczRNFh_pM/

これらのバンドに共通しているのはブルーグラスの中にロックの雰囲気が感じられるということです。


by scoop8739 | 2019-06-05 09:37 | ビートルズ・ソング | Comments(0)

387 ビートルズ・ソングをブルーグラスで(その1)

本ブログでよく取り上げている中に、ビートルズ・ソングをブルーグラス・スタイルで演奏するというものがあります(特に通巻108回から127回において集中して書いています)。古くは「チャールズ・リヴァー・ヴァレー・ボーイズ」(The Charles River Valley Boys)あたりに始まり、ニューグラス時代には数多くのバンドがその演奏スタイルを競い合いました。

a0038167_10133551.jpeg最近ではバンジョー奏者のビル・エヴァンス(Bill Evans)が2012年にリリースしたアルバム『よい仲間で』(In Good Company)に「ルーシー・イン・ザ・スカイ・ウイズ・ダイアモンド」と「ハード・デイズ・ナイト」の2曲が収録されています。

https://www.youtube.com/watch?v=owquyytIC_Y/

https://www.youtube.com/watch?v=wzUiALTzhXg/

a0038167_10134300.jpg翌2013年には、フィドルを始めマルチ・プレイヤーとして有名なクレイグ・ダンカン(Craig Duncan)が『ブルーグラス・ビートルズ』(Bluegrass Beatles)というド直球タイトルのアルバムをリリースしています。

https://www.youtube.com/watch?v=tSN-YIo2FMM&list=PLnpXT8lxZ37poH-pZVQPk7GypPgC2DDK_/

参加メンバーは、フィドルとマンドリンがクレイグ、ギターにブライアン・サットン(Brian Sutton)、マンドリンとギターにロバート・ボウリン(Robert Bowlin)、バンジョーにスコット・ベスタル(Scott Vestal)、ドブロにロブ・アイクス(Rob Ickes)、ベースにマーク・ファイン(Mark Fain)という豪華な顔ぶれでした。

超絶技巧のパンチ・ブラザーズ(The Punch Brothers)もライヴで「ペイパーバック・ライター」を取り上げるなど、ありとあらゆる演奏者やバンドがそれぞれのスタイルで演奏しています。

https://www.youtube.com/watch?v=Fj8FIksqo7w/

その中にあって、ビートルズ・ソングを今までの手法とは異なるスタイルで聴かせるバンドがありました。その名も「ビートルグラス」(The Beatlegras)という革新的なバンドです。彼らは2004年に結成され、アメリカとイギリスのそれぞれの劇場などでビートルズ・ソングをブルーグラスとジャズというハイブリッドなスタイルで演奏しています。

このバンドの中心はギターとリード・ヴォーカルのデイヴ・ワルサー(Dave Walser)でした。彼は父親がギターを弾いているのに興味を覚え、6歳ギターを弾き始め、すぐにブルーグラスを演奏するようになります。10歳の時にエド・サリバン・ショーでビートルズを観てからはすっかり彼らの虜になってしまいます。

デイヴはブルーグラスに少しひねりを加えてビートルズの曲を演奏し始めました。成長してからはイースト・テキサス州立大学に通いながらも演奏を続け、卒業後も就職せずにプロとして演奏活動を始めます。そしてエド・サリバン・ショーを観てから40年後に彼のアイデアにふさわしいパートナーを見つけたのでした。それがベースとヴォーカルのジョージ・アンダーソン(George Anderson)と、マンドリンやフィドルやドブロなどなんでもこなし歌も歌うマイロ・ディーリング(Milo Deering)です。

マイロもデイヴのように長い間ブルーグラスを演奏していました。また当初はビートルズにそれほど慣れていなかったアンダーソンは、このバンドに即興的なジャズの感性をもたらします。それは以前からデイヴが捜していたスタイルだったのです。

https://www.youtube.com/watch?v=3wqs2W0ORXk/

a0038167_10135325.jpg豊かな音楽性と磐石の技巧を併せ持つ彼らは、ブルーグラス音楽の純粋さとジャズ的手法を交えてビートルズ・ソングを上手く表現しました。そして2006年に第1弾アルバムをリリースします。アルバムにはビートルズの中期から後期にかけての名曲が10曲収録されています。

(次回に続く)


by scoop8739 | 2019-06-03 10:17 | ビートルズ・ソング | Comments(0)

127 ブルーグラスの中のビートルズ (20)

ピッキン・オン・ザ・ビートルズ (Pickin’ On The Beatles)

a0038167_16464756.jpgブルーグラスによるビートルズ集というと、即座にチャールズ・リバー・バレー・ボーイズの「ビートル・カントリー」を思い浮かべますが、もうひとつの「ビートルズ・カヴァー集」が1994年に作られています。「ビートル・カントリー」は歌入りでしたが、こちらのほうは全曲インストゥルメンタルで構成されていて、スーパー・テクニックを堪能できる作りとなっています。

演奏メンバーは、名フィドラーであるグレン・ダンカン、ブルーグラス・ドブロの開祖といわれるアンクル・ジョッシュの息子ティム・グレイヴス、そしてプロデューサーも務めるギタリストのビル・トロイらナッシュヴィルのスーパー・ピッカーたちが参加していますので、それはそれは聴きごたえがあります。

さて、全曲インストとなるとそのアレンジが非常に重要な要素になります。特にバンジョーがどこまでビートルズ・メロディーを弾きこなせるかがポイントとも楽しみともなるのです。そのバンジョーがリードをとる3曲、フィドルがリードの4曲、そしてマンドリンの2曲、あと3曲はそれぞれの楽器が替わりばんこにリードをとっています。

1. Strawberry Fields Forever
2. And I Love Her
3. Ticket To Ride
4. Norwegian Wood
5. I Want To Hold Your Hand
6. Paperback Writer
7. Can’t Buy Me Love
8. Hey Jude
9. She Loves You
10. Yellow Submarine
11. Yesterday
12. A Hard Day’s Night

11曲目はフィドルのグレンが丁寧に、まるでクラシックの室内楽のように演奏しています。また4、8曲目はマンドリンを中心に演奏されますが、繊細な音色が原曲の持つメロディの美しさを実によく生かしています。そして問題のバンジョー中心の曲が6、9.10曲目です。特に6曲目はバンジョーのスピード感といい、ブレイクの仕方といい、素晴らしい仕上がりとなっています。なお、1999年には本作の続編もリリースされています。

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by scoop8739 | 2005-09-19 16:51 | ビートルズ・ソング | Comments(3)

126 ブルーグラスの中のビートルズ (19)

オー・ダーリン (Oh Darling)

この曲は「のっぽのサリー」や「アイム・ダウン」以来の、ひさびさ背筋がぞくぞくするようなポールのヴォーカルが聴かれます。自動ピアノのようなピアノと、コードを刻む火の出るようなギターの下で、ポールはわざとしわがれ声で歌っていますが、彼はレコーディングの1週間前からスタジオで何度も歌い込んで、このパワフルな声を作ったと言われています。

作曲もポール自身で、50年代後期のロッカ・バラードにインスパイアされたこの曲は、「一生愛し続けるからそばにいて欲しい」と、愛する人に呼びかけるシンプルなラブ・ソングとなっています。ジョンは後年、「オレならもっと上手く歌えたのに」と言ったそうですが、この曲に限っては、やはりポールの思い入れがあったからこそ完成した曲だと言えます。

a0038167_20404555.jpgさてブルーグラス界広しと言えども、この曲を熱唱できる人は彼をおいて他にはいません。それは誰あろう「ブルーグラス・ロッカー」のジョン・コーワンその人で、彼のヴォーカルを盛り上げるサポート・メンバーが、これまたブルーグラス界でロック魂を持つバンジョー・プレイヤーのベラ・フレック率いるフレックトーンズでした。ベラの不思議(?)なエレクトリック・バンジョーのイントロに続き、絶叫のようなパワフルなジョンの雄叫びが炸裂します。間奏のピアノはとてもジャージーで、ブルーグラスとロックとジャズが融合したフュージョン・サウンドになっています。なおこの曲が収録されているアルバムは「テルライド・1992・フェスティバル:プラネット・ブルーグラス」(Telluride 1992 Festival: Planet Bluegrass)です。

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by scoop8739 | 2005-09-06 20:44 | ビートルズ・ソング | Comments(0)

125 ブルーグラスの中のビートルズ (18)

デイ・トリッパー(Day Tripper)

ベーシックなギター・リフと歌詞のほとんどをジョンが作り、ポールが歌詞の一部を手伝っているこの曲は、ビートルズがクリスマス市場用にと無理強いされ、アルバム「ラバー・ソウル」と同じ日(1965年12月3日)にニュー・シングルとしてリリースされました。それにもかかわらず、「恋を抱きしめよう」との両A面シングルとして、イギリスでは1位、アメリカでは5位を獲得しています。

1965年の夏、ジョンとジョージは初めてLSDを体験しています。それは、彼らと食事をともにしたロンドンの歯科医が食後のコーヒーにそっと混入させたもので、彼らの意志ではありませんでした。しかし8月には、アメリカ滞在中に自分たちの意志でトリップを体験し,それ以来ジョンは、「四六時中、口のほおり込むようになった」と告白しています。「デイ・トリッパー」というタイトルは、勃興期にあったドラッグ・カルチャーが、ビートルズの曲作りに及ぼしていた影響を反映させたものと言えます。

a0038167_2017468.jpgジェリー・ダグラスとタット・テイラーがプロデュースし、ブラザー・オズワルドからジョッシュ・グレイブス、そしてロブ・アイクスまで11人のドブロ・ミュージシャンによるオムニバス盤「グレイト・ドブロ・セッションズ」にこの曲が収録されています。この曲をドブロでリードするのはジーン・ウートン(2001年没)で、デヴィッド・グリア(g)、ラリー・パーキンス(bj)、ロニー・マッカリー(m)らが好サポートをしてオリジナルに忠実なアレンジで聴かせてくれます。なお、このアルバムは1994年度のグラミーを受賞しています。

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by scoop8739 | 2005-09-02 20:20 | ビートルズ・ソング | Comments(2)

124 ブルーグラスの中のビートルズ (17)

イン・マイ・ライフ (In My Life)

この曲はビートルズの6枚目でモザイクのような作りのアルバム「ラバー・ソウル」に収録されています。アルバムの中ではこの曲がもっとも大きな広がりを持っているようで、アルバムが持つテーマにいちばん近い感じがします。

自分の内的な生活に焦点を置いて作曲してはどうかとのアドバイスを受けたジョンは、あきらかに自伝的な曲を書き始めます。その結果、この曲はジョンにとって初めて自身の進歩を実感できた作品となりました。一人の人間の一生を通じて、親しい関係というものが本来持っている夢だとか幻滅といったものと、ある特定の恋とを結びつけているという実に哲学的な作品です。

a0038167_9415225.jpg90年代に入ってからのディラーズは、ロドニー・ディラード(g)、ミッチ・ジェイン(bs)、ディーン・ウェッブ(m)というオリジナル・メンバーにスティーブ・クーリー(bj)を加え、旧知のバイロン・バーライン(f)やハーブ・ペダースン(bj)らとともに、ボブ・ディランの秀逸なカヴァーを含むベストともいえる「レット・イット・フライ」(Let It Fly)というアルバムを発表しています。さらに94年にはこの曲「イン・マイ・ライフ」のブルーグラス風解釈を含むアルバム「テイク・ミー・アロング・フォー・ザ・ライド」(Take Me Along For The Ride)をリリースします。アルバムの中で特にこの曲はバンジョーが印象的な仕上がりとなっています。

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by scoop8739 | 2005-08-28 09:50 | ビートルズ・ソング | Comments(0)

123 ブルーグラスの中のビートルズ (16)

ノルーウェイの森 (Norwegian Wood)

ビートルズ初期の頃のこと、既婚で知られたジョンは結婚生活に満足していなくて、妻に対してもたびたび不実な行為を繰り返していました。この曲はそうした火遊びの一つを描いた作品です。歌詞にあるように、ジョンはかつて「ものにしていた」女性に関する自慢話から始まります。しかし彼は即座に、「ものにしていた」のは自分の方ではなく、彼女の方だったと訂正するのです。つまり彼は妻に対して浮気の事実を隠蔽し、また正当化するなどして話をはぐらかしていたのでした。

ところが、この曲はそんな事情とはまったく関係なく大きな話題を呼びます。なぜなら、この曲にはシタールという楽器が効果的に使われていて、それまではインド楽器がポップスに使われたというのはなかったことでした。これ以降、ビートルズの発表するアルバムには必ずと言っていいほどインド楽器が導入されることとなり、その影響で次々とポップス界に広がっていき、「ラガー・ロック」というカテゴリーさえ生まれたのでした。

a0038167_2001721.jpgさてこの名曲を、ブルーグラス界のケルト音楽通ティム・オブライエンが歌っています。彼のアルバム「トゥー・ジャーニーズ」(Two Journeys)は、ブルーグラスの枠を超えて自身のルーツ、アパラチアそしてアイルランドへの想いを掘り下げていったものです。その中でこの曲はパイプをバックに、ティムのマンドリンが絡ませながら滔々と歌われます。それはブルーグラスというより、ケルト音楽風にアレンジされたものとして、ファン必聴の仕上がりとなりました。

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by scoop8739 | 2005-08-25 20:04 | ビートルズ・ソング | Comments(0)

122 ブルーグラスの中のビートルズ (15)

タックスマン (Taxman)

指がギターの弦を滑る音、咳払い、息を吸う音などスタジオの雑音を断ち切るように、1.2.3とカウントを数えてこの歌が始まります。作ったのはグループのギタリスト、ジョージ・ハリソンで、彼はこう歌います。最初の歌詞で「まず税金の仕組みについてお教えしましょう」と、慇懃無礼な言い回しでタックスマン(税金取り)のえげつなさをからかいます。

これはその当時、ジョージが彼自身に課せられた高額所得特別付加税の大きさに初めて気づいて驚いたのと同時に、実質収入のほとんどが税金でとられていることへの不満を歌にしたものです。しかしタックスマンはそれでも、死者に対して「まぶたに乗せる硬貨にも申告漏れのないように」だの、「車を運転したら、道路に税金をかけますよ」だのと、課税に容赦はありません。とどめの言葉が、「結局みなさんは、私のために働いている訳でして」と締めくくられます。誰でも税金を取られることに満足している人はいませんが、特にビートルズに対する課税の多さは半端ではありませんでした。

a0038167_1830315.jpgこの曲を若手ブルーグラス・バンドの先鋒ニッケル・クリークが歌っています。彼らは、シーン(g,vo)、サラ(f,vo)のワトキンス兄妹とクリス・シーリ(m,vo)というまだ20代前半の若い3人組ですが、ギター、マンドリン、フィドル、そしてベースというアコースティックな楽器を駆使したシンプルな構成と、3人の素直なヴォーカルとハーモニーで、ジャンルを超えた新鮮なポップスを聴かせてくれます。そしてこの曲の収録されているアルバムが「テルライド・ブルーグラス・フェスティバル・30イヤーズ」(Telluride Bluegrass Festival:30 Years)です。このフェスはさまざまな音楽ジャンルを含んだものとして有名ですが、彼らはこの曲をアップ・テンポにアレンジして、パワフルにロックしたブルーグラスとして聴かせてくれます。

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by scoop8739 | 2005-08-21 18:34 | ビートルズ・ソング | Comments(2)

121 ブルーグラスの中のビートルズ (14)

夢の人 (I've Just Seen a Face)

この曲は、ビートルズ自身2作目となった主演映画「ヘルプ!」のサントラ盤として発売された5枚目のオリジナル・アルバムに収録されています。映画の方は前作での魅力を引きずりながらも、よりポップでアイドル性に満ちた楽しい内容となっていて、その後、TV番組「モンキーズ」などのようなアイドル主演もののお手本的作品となりました。

アルバムの前半7曲が映画に使用されたナンバーで、後半7曲がアルバム用に録音されたナンバーとなっています。この曲は後半5曲目、つまりアルバム用に作られたもので、ポールによる本格的なカントリー・ナンバーとなっています。アコウスティック・ギターを何本も重ねたようなイントロから、ブラシを使ったドラム、重たくもシンプルなギター・ソロまで一気に聴かせるアレンジは見事のひとことに尽きます。そういった意味でポールの曲作りの懐の深さを見せつけたような作品でもありました。

さてブルーグラス界を代表する革新的なフィドル・プレイヤーの一人ヴァッサー・クレメンツは、1946年にビル・モンロウの下でキャリアをスタートさせます。やがて彼は、自分が本当にやりたいのはもう少し違うタイプの音楽だということに気づき、さまざまなスタイルや要素を積極的に取り入れるようになりました。そしてジャズとカントリーを融合させるという実験に取り組みながら、40数年に亘ってその技術に磨きをかけ、今では最も多忙なセッション・ミュージシャンとして知られるまでになりました。

a0038167_18524720.jpgそんな彼が2001年に発表したアルバム「フル・サークル」(Full Circle)は、この「夢の人」を含め、クリームの「ホワイト・ルーム」、ビートルズの「イエスタデイ」を織りまぜながら、ブルーグラスの定番曲もきっちりと押さえた構成であり、またサム・ブッシュ(m)、ブライアン・サットン(g)、ジョッシュ・グレイヴス(d)、ケヴィン・グラント(bs)をはじめ、各曲でゲスト・ヴォーカリスト、ゲスト・プレイヤーを招いた豪華なアルバムとなっています。この曲ではもちろん、主役であるヴァッサーのフィドルはつぼを押さえつつも大いに乗りまくっていてファンを納得させる出来となっています。

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by scoop8739 | 2005-08-17 18:53 | ビートルズ・ソング | Comments(3)