ブルーグラスの世界では「ミスター・グッドゥン・カントリー」とか、「キング・オブ・ブルーグラス」と呼ばれて、強烈な個性で人気抜群なのがジミー・マーチンです。
強烈な個性の由縁は、ギンギラのコスチュームだったり、あまりにもオーバー過ぎるアクションだったり、泥臭いボーカルだったりと、その印象はネガティブに思えますが、どうしてなかなか、タイミングよく入るリード・ギター奏法、誰にも真似のできないフレーズ、ピッキング、そして各楽器の持ち味を最大限に生かすアレンジ、それらから醸し出されるブルーグラス・サウンドや歌唱法と表現力、これがジミー・マーチンの個性なのです。 1949年、マック・ワイズマンに代わってブルー・グラス・ボーイズに入団したジミーは、約5年間リード・シンガーとギターを務めビル・モンローのよき女房役として大活躍します。1954年にブルー・グラス・ボーイズを退団したジミーは、オズボーン兄弟と力を合わせてバンドを結成し、数曲の録音を残しますが、やがて彼らと発展的にバンドを解散し、1956年には念願叶っていよいよ本格的に自らのバンドを結成することとなります。 バンジョーには当時17歳のJ.D.クロウを起用し、マンドリンにポール・ウィリアムスを迎えて、「ジミー・マーチンとサニー・マウンテン・ボーイズ」をスタートさせたのです。ジミーはサイドメンには厳しく、「サニー・マウンテン・ボーイズ」の一員としての誇りを持たせ、「オレの曲だけでメシを食え」と、強烈なワンマンぶりを発揮しバンドを引っ張っていきました。 とくに歴代のバンジョー奏者には、リズム・アクセントを強調し、ドライヴが全てと思われるスリー・フィンガー・ロールを完璧にこなすアール・スクラッグス・スタイルを徹底させます。以来、J.D.クロウを皮切りに歴代のバンジョー奏者はこのスタイルを守っていくことが最優先となっています。 1960年代初期に、ジミーのバンドはモダン・ブルーグラス時代の到来に即応してスネア・ドラムスを使用し、ポップ・コーラスのニュアンスも表面化しますが、底辺に流れているものは常にオーバー・ドライヴであり、エキサイティングなスイング感であり、そしてソリッドであるというブルーグラス音楽の奔流から決して外れてはいませんでした。 こうしてジミーは、いわゆるファースト・ジェネレーションとして常に他をリードしながら、ブルーグラス音楽を保ち、発展させ、今日の隆盛の基礎を作っていったのです。 そんなジミーのレコーディングの中からベスト盤を紹介します。デッカ時代初期の最高傑作と言われる1曲目「ソフロニー」、ドライヴのかかったブルーグラス・デュオのサンプル・ナンバーとして大人気の2曲目「ヒット・パレード・オブ・ラブ」、土曜日のオープリーの進行が目に浮かぶような楽しい内容を歌にした3曲目「グランド・オール・オープリー・ソング」、7曲目の「ホールド・ワッチャ・ゴット」はジミー自身の作曲によるリズミカルなナンバーです。その他、このアルバムはヒット・ソングがふんだんに収録されているベスト盤です。きっとジミーの魅力を十分に楽しんでいただけることでしょう。 The King of Bluegrass (Audium ) 1. Sophronie 2. Hit Parade of Love 3. Grand Ole Opry Song 4. Rock Hearts 5. Ocean of Diamonds 6. I Like to Hear 'Em Preach It 7. Hold Whatcha Got 8. Mr. Engineer 9. This World Is Not My Home 10. Tennessee 11. Widow Maker 12. 20/20 Vision 13. Sunny Side of the Mountain 14. Steal Away Somewhere and Die 15. Free Born Man 16. Losing You 17. (I've Got My) Future on Ice 18. Milwaukee Here I Come (次回につづく) 人気blogランキングへ
by scoop8739
| 2004-08-08 17:32
| ブルーグラスの歴史
|
カテゴリ
全体 序文 プロローグ ブルーグラスの歴史 演奏スタイル Who's Who 不朽の名曲 名盤探訪 泡沫アルバム探訪 際ものアルバム 同時代の音楽 バンドの歴史 カントリー・ジェントルメン セルダム・シーン カントリー・ガゼット ニューグラスへの道 ビートルズ・ソング ベンチャーズ・ソング ディラン・ソング クリスマス・ソング 月をタイトルにした歌 「and」の曲 「from」の曲 「LOVE」の曲 「GOLD」の曲 TRAIN SONGS 牛を歌った曲 異ジャンル交流 とんこつラーメン論 ブレイク・タイム エッセイ エッセイ 以前の記事
2024年 02月 2024年 01月 2021年 08月 2021年 07月 2021年 06月 2021年 05月 2021年 04月 2021年 03月 2021年 02月 2021年 01月 2020年 12月 2020年 11月 2020年 10月 2020年 09月 2020年 08月 2020年 07月 2020年 06月 2020年 05月 2020年 04月 2020年 03月 2020年 02月 2020年 01月 2019年 12月 2019年 11月 2019年 10月 2019年 09月 2019年 08月 2019年 07月 2019年 06月 2019年 05月 2019年 04月 2019年 03月 2019年 02月 2019年 01月 2018年 12月 2018年 11月 2018年 10月 2018年 09月 2018年 08月 2018年 07月 2018年 06月 2018年 05月 2018年 04月 2018年 03月 2018年 02月 2018年 01月 2017年 12月 2017年 11月 2017年 10月 2017年 09月 2017年 08月 2017年 07月 2006年 04月 2006年 03月 2006年 02月 2006年 01月 2005年 12月 2005年 11月 2005年 10月 2005年 09月 2005年 08月 2005年 07月 2005年 06月 2005年 05月 2005年 04月 2005年 03月 2005年 02月 2005年 01月 2004年 10月 2004年 09月 2004年 08月 2004年 07月 フォロー中のブログ
その他のジャンル
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧
|
ファン申請 |
||