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15 ジミー・マーチンとサニー・マウンテン・ボーイズ

15 ジミー・マーチンとサニー・マウンテン・ボーイズ_a0038167_17312770.jpgブルーグラスの世界では「ミスター・グッドゥン・カントリー」とか、「キング・オブ・ブルーグラス」と呼ばれて、強烈な個性で人気抜群なのがジミー・マーチンです。

強烈な個性の由縁は、ギンギラのコスチュームだったり、あまりにもオーバー過ぎるアクションだったり、泥臭いボーカルだったりと、その印象はネガティブに思えますが、どうしてなかなか、タイミングよく入るリード・ギター奏法、誰にも真似のできないフレーズ、ピッキング、そして各楽器の持ち味を最大限に生かすアレンジ、それらから醸し出されるブルーグラス・サウンドや歌唱法と表現力、これがジミー・マーチンの個性なのです。

1949年、マック・ワイズマンに代わってブルー・グラス・ボーイズに入団したジミーは、約5年間リード・シンガーとギターを務めビル・モンローのよき女房役として大活躍します。1954年にブルー・グラス・ボーイズを退団したジミーは、オズボーン兄弟と力を合わせてバンドを結成し、数曲の録音を残しますが、やがて彼らと発展的にバンドを解散し、1956年には念願叶っていよいよ本格的に自らのバンドを結成することとなります。

バンジョーには当時17歳のJ.D.クロウを起用し、マンドリンにポール・ウィリアムスを迎えて、「ジミー・マーチンとサニー・マウンテン・ボーイズ」をスタートさせたのです。ジミーはサイドメンには厳しく、「サニー・マウンテン・ボーイズ」の一員としての誇りを持たせ、「オレの曲だけでメシを食え」と、強烈なワンマンぶりを発揮しバンドを引っ張っていきました。

とくに歴代のバンジョー奏者には、リズム・アクセントを強調し、ドライヴが全てと思われるスリー・フィンガー・ロールを完璧にこなすアール・スクラッグス・スタイルを徹底させます。以来、J.D.クロウを皮切りに歴代のバンジョー奏者はこのスタイルを守っていくことが最優先となっています。

1960年代初期に、ジミーのバンドはモダン・ブルーグラス時代の到来に即応してスネア・ドラムスを使用し、ポップ・コーラスのニュアンスも表面化しますが、底辺に流れているものは常にオーバー・ドライヴであり、エキサイティングなスイング感であり、そしてソリッドであるというブルーグラス音楽の奔流から決して外れてはいませんでした。

こうしてジミーは、いわゆるファースト・ジェネレーションとして常に他をリードしながら、ブルーグラス音楽を保ち、発展させ、今日の隆盛の基礎を作っていったのです。

そんなジミーのレコーディングの中からベスト盤を紹介します。デッカ時代初期の最高傑作と言われる1曲目「ソフロニー」、ドライヴのかかったブルーグラス・デュオのサンプル・ナンバーとして大人気の2曲目「ヒット・パレード・オブ・ラブ」、土曜日のオープリーの進行が目に浮かぶような楽しい内容を歌にした3曲目「グランド・オール・オープリー・ソング」、7曲目の「ホールド・ワッチャ・ゴット」はジミー自身の作曲によるリズミカルなナンバーです。その他、このアルバムはヒット・ソングがふんだんに収録されているベスト盤です。きっとジミーの魅力を十分に楽しんでいただけることでしょう。

The King of Bluegrass (Audium )
1. Sophronie
2. Hit Parade of Love
3. Grand Ole Opry Song
4. Rock Hearts
5. Ocean of Diamonds
6. I Like to Hear 'Em Preach It
7. Hold Whatcha Got
8. Mr. Engineer
9. This World Is Not My Home
10. Tennessee
11. Widow Maker
12. 20/20 Vision
13. Sunny Side of the Mountain
14. Steal Away Somewhere and Die
15. Free Born Man
16. Losing You
17. (I've Got My) Future on Ice
18. Milwaukee Here I Come
(次回につづく)

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by scoop8739 | 2004-08-08 17:32 | ブルーグラスの歴史
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