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135 MOON SONGS (8)

月の走路
(Runways Of The Moon)

135 MOON SONGS (8)_a0038167_22344511.gif1970年代に入ると、野外ロック・フェスティバルの影響からかロック・ファンがブルーグラスに急接近し始めます。そんなムーヴメントの推進役を務めたのがアルバム「ミュールスキナー」でした。このアルバムは1973年2月13日にTVでオン・エアされるはずのブルーグラス・ショウでのハプニングから生まれました。

ハリウッドのローカルTV局KCETに出演が予定されていたビル・モンロウのツアー・バスが、TV局に向かう途中で故障してしまい、ビルのバンドは残念にもTV出演が不可能となりました。そこで番組プロデューサーは、ビル・モンロウとのジャムを楽しみにスタジオで待機していたピーター・ローワン(ヴォーカル&ギター)、デヴィッド・グリスマン(マンドリン)、ビル・キース(バンジョー)、クラレンス・ホワイト(ギター)、リチャード・グリーン(フィドル)らを即席ブルーグラス・バンドとして仕立て上げ、このアクシデントを乗り切ることにしました。

ところが若手によるショウはエキサイティングなニュー・グラスぶりを展開したのです。この稀に見るロック・フィーリングを持つブルーグラスはたちまちのうちに大評判となってしまいました。しっかり者のリチャード・グリーンは、ワーナーのプロデューサー、ジョウ・ボイドに番組と同じメンバーでのアルバム作りを提案します。こうして実現したのがアルバム「ミュールスキナー」でした。このアルバムは、先に触れた誕生劇が雑誌等で話題となり、ロック・ファンにもアピールしたのです。

さて、このアルバムに今回取り上げた「月の走路」(Runways Of The Moon)が収録されています。この曲はいかにもピーター・ローワンらしいヴォーカルが冴え渡り、彼のシー・トレイン時代をいやが上にも彷彿とさせる出来となっています。リチャードのエレクトリック・フィドル、クラレンスの改造テレキャスター「ストリング・ベンダー」、ビルのスティール・ギターがほど良い効果を発揮し、ピーターを盛り上げています。ブルーグラスと言うにはあまりに異色な曲ですが、アルバム全体のムードを作り上げる上でとても重要な意味を持った曲です。

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by scoop8739 | 2005-10-26 22:38 | 月をタイトルにした歌
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