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402 「and」(アンド)の曲(その1)

ボディ・アンド・ソウル(Body and Soul)

ジャズ・スタンダードの中でよく歌われる曲に「ボディ・アンド・ソウル」というものがあります。ジャズの世界ではそれを「身も心も」と訳しています。

その曲が誕生したのは1930年のことでした。作曲はジョニー・グリーン、作詞はエドワード・ヘイマン、フランク・アイトン、ロバート・サウアの共作で、イギリス出身の女優&シンガーのゲートルード・ローレンスのために用意されたのですが、最初に披露されたのはリビー・ホルマンによるブロードウェイ・レヴューでのことでした。

1940年代になると映画の挿入曲として使われ、これによって広く知られるようになり、ジャズでもスタンダードとして扱われるようになります。

「身も心もあなたのものだと思っているのに、なんで私はこんなに寂しい想いをしているの?」という身につまされるような内容の詞と、波瀾万丈な生涯を送ったビリー・ホリデイのイメージが重なり、彼女の代表的なパフォーマンスとして記憶されています。

402 「and」(アンド)の曲(その1)_a0038167_08290418.jpgさて、ブルーグラスの世界でも同じタイトルの曲がありました。ビル・モンローの歌で有名な「ボディ・アンド・ソウル」(With Body And Soul)です。

https://www.youtube.com/watch?v=mSZiiXz1DvQ/

「彼女の美しい体はまだ地球上にあるのに、魂は天上に呼ばれています。肉体と魂、肉体と魂。太陽が沈むと、彼女の身体は地面の下に埋められます。そして私の涙は雨のように落ちています」という、愛する者を亡くした悲しい気持ちを歌うのですが、歌詞の切なさと「ハイ・ロンサム」な歌声がよく合って、モンローのヒット曲となりました。

作者はバージニア・メイ・ストーファー(Virginia Mae Stauffer)という女性シンガー・ソングライターで、彼女はモンローにこの曲のほか数曲ほど提供しています。

1965年3月に「過去に生きて」(I Live In The Past)、1969年4月にこの曲「肉体と魂」(Body And Soul)を、1970年3月には「人生の道」(Road Of Life)、1975年3月には「道を教えて」(Show Me the Way)、そして1977年7月に「それが私のクリスマス」(That’s Christmas Time to Me)と、私の知るだけで5曲ほどありました。

モンローは彼女が黒髪だったことから「ジプシー」と呼んだり、「ミシガン州の小さな老婦人」と称したりして、彼女に「ヴァージニア・ダーリン」という曲を書いています。

https://www.youtube.com/watch?v=oHKM8HPxxRs/

402 「and」(アンド)の曲(その1)_a0038167_08294073.jpgブルーグラス・プレイヤーの多くがレパートリーに加えていますが、モンロー異端の弟子、ピーター・ローワンの歌はハイ・ロンサム感が強く出ています。これは2011年のトリビュート・アルバムに収録されました。

https://www.youtube.com/watch?v=s4y2rTgrp_w/

402 「and」(アンド)の曲(その1)_a0038167_08390480.jpg1973年にリリースされたアルバム『カントリー・ストア・ライヴ!』の中でキース・ウィットリーが味のある歌声を聴かせてくれます。

https://www.youtube.com/watch?v=CC1kI_3rgJ8/

402 「and」(アンド)の曲(その1)_a0038167_08392397.jpgニューグラス・リヴァイヴァルが1972年のデビュー・アルバムの中で、サム・ブッシュがロック・フィーリングで歌い上げています。カーティス・バーチの弾く切なく響くドブロの音色が何ともいい味を出しています。

https://www.youtube.com/watch?v=e1S5EKH9GRA/

402 「and」(アンド)の曲(その1)_a0038167_08463703.jpgしかし何といっても極めつけはセルダム・シーンが1972年にリリースした彼らのデビュー・アルバムに収録したものでしょう。やはり格が違います。

https://www.youtube.com/watch?v=Jep3JZwfPrA/


by scoop8739 | 2019-07-19 08:48 | 「and」の曲
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