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347 愛しの泡沫アルバム(その11)

ロジャー・スプラング

ロジャー・スプラング(Roger Sprung)というバンジョー奏者がいます。1930年8月ニューヨークに生まれ、7歳の時にピアニストを演奏し始め、10歳の頃にはすでに耳で曲をマスターできるようになったといいます。さらにブルーグラスとは直接の関わりを持たずにスクラッグス・スタイルを習得したという特異な人です。

1947年に彼の兄がニューヨークのワシントン・スクエアで聴いたというフォーク・ミュージックに関心を持つと、まず初めにギターを弾き出し、すぐにバンジョーに興味を持ってアール・スクラッグスの演奏をレコードで聴き、誰に教えを乞うことなく演奏できるようになりました。

彼は1953年にフォーク・リヴァイヴァルの到来を先取って、エリック・ダーリン(Erik Darling)とボブ・キャリー(Bob Carey)を誘ってフォークセイ・トリオ(Folksay Trio)を結成しアルバムを残しています。

このトリオで歌った「トム・ドゥリー」は後にキングストン・トリオによって大ヒットします。その後、エリックとボブは(アラン・アーキン(Alan Arkin)を加えてフォーク・バンド「タリアーズ」(The Tarriers)を結成しています。

一方ロジャーは、1957年にライオネル・キルバーグ(Lionel Kilberg)とマイク・コーヘン(Mike Cohen)と共にブルーグラス風のバンド「シャンティ・ボーイズ」(The Shanty Boys)を結成します。このバンドは1958年にエレクトラ社から1枚のアルバムをリリースしています。

収録されているのは都会人には珍しいスタンレー・ブラザーズやビル・モンロー作品あたりで、1958年というとフォーク・リヴァイヴァルがまさに始動しようとしていた時代だけに、そんな頃に早くもブルーグラス音楽を都会に持ち込んだ功績は大きいものでした。

a0038167_08285946.jpg1963年に彼は豊富な音楽経験から脱トラディッショナルなブルーグラスを創造します。フォークウェイズ社からリリースされたのがアルバム『プログレッシヴ・ブルーグラスの1つと違ったインスト曲』(Progressive Bluegrass 1 And Other Instrumentals)というアルバムでした。
ロジャーのバンジョーに加え、ギターにドク・ワトソン("Doc" Watson)、リズム・ギターにジョー・ロッカー(Joe Locker)マンドリンにウィリー・ロッカー(Willie Locker)、ドラムにボブ・トーマス(Bob Thomas)、ベースにオリー・フィリップス(Ollie Phillips)という布陣です。

全12曲の中にはアメリカ合衆国国歌「星条旗よ永遠なれ」(Stars And Stripes Forever)や、カントリー・ジェントルメンのアレンジでお馴染みの「世界は日の出を待っている」(The World Is Waiting For Sunrise)、「匕首マック」(Mack The Knife)、「マラゲーニャ」(Malaquena)、「グリーンスリーヴス」(Greensleeves)といったスタンダード曲を独自の演奏スタイルで聴かせてくれます。

https://www.youtube.com/watch?v=D8khUJ6ZozA

https://www.youtube.com/watch?v=7kN77ECZrdY

https://www.youtube.com/watch?v=i7RfTnh8to4

https://www.youtube.com/watch?v=8Q6sorWvnaw

https://www.youtube.com/watch?v=Wypv_mrCyZo

ロジャー・スプラングのブルーグラスに対するプログレッシヴなアプローチは、時代を超えて現われるトニー・トリシュカ、ベラ・フレックなどに受け継がれたようです。
by scoop8739 | 2019-01-17 08:33 | 泡沫アルバム探訪 | Comments(0)
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