ステュ・ラムゼイ
少しばかり前の時代、エレキ小僧たちが自宅に録音機材を持ち込んで一人で全ての楽器を演奏し、それをオーバー・ダビングする「一人多重録音」というものが流行っていました。通称「宅録」と言われ、我が国でこの「宅録」の元祖というのが加山雄三さんでした。 加山さんは高校時代に、父で映画俳優の上原謙が買ってきた大きなワイヤー・レコーダーやテープ・レコーダーで録音と再生を繰り返して多重録音をして遊んでいたそうです。 1962年の映画「日本一の若大将」の宣伝用に、サン出版でフォノシートとしてリリースされた「ブルー・スウェード・シューズ」や「グリーン・フイールズ」等の楽曲で、これらの一部が加山さん一人による多重録音で制作されていました。 この「一人多重録音」という作業は、本場アメリカのエレキ少年たちの間では盛んに行われていたようです。もちろん一人で複数の楽器を演奏できるという才能が必要ですが。 1960年初頭にシカゴのヨーク・コミュニイ高校を卒業し、有名なオールド・タウン・スクール・オブ・フォーク・ミュージックでオールド・タイムを学んだステュ・ラムゼイ(Stu Ramsay)はオーバー・ダビングの手法を使い、たった一人でブルーグラス・バンドを演じています。 バンジョーにドブロにギターにハーモニカを、その若い情熱で取っかえ引っかえ演奏し、そうして録音されたアルバムは、当時の都会の若者たちがフォーク・リヴァイヴァルという熱風の中でブルーグラスに夢中になっていった様子がひしひしと伝わってきます。 このアルバムは1963年にリリースされ、「トレイン45」、「クリプル・クリーク」、「ディキシーの夜明け」などのブルーグラス・スタンダードに加え、フォーク、ブルース、ラグタイム、そしてオリジナル曲で構成されています。 ステュはこのアルバムから6年後に、ブルース・ハープ奏者シカゴ・スリムと共にブルースのアルバムをリリースしています。ここでのステュはみごとに転身しブルース・ギターとヴォーカルを披露しています。 https://www.youtube.com/watch?v=Ny3HqSNsFR8/
by scoop8739
| 2019-01-10 08:43
| 泡沫アルバム
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