343 愛しの泡沫アルバム(その7)

ロンサム・トラベラーズ

1960年代、ブルーグラスのバンド名に多く用いられた「ロンサム」という言葉は、もちろんビル・モンローおよび彼の創り出したブルーグラスを表現する「ハイ・ロンサム」に由来しているのでしょうが、今でも「ロンサム」を名乗るバンドはプロ、アマ問わず数多く存在しています。

今回登場の「ロンサム・トラベラーズ」は、1960年代前半にあって斬新なメロディック・バンジョーを駆使するボブ・ジョンソン率いるバンドでした。

ボブは1958年頃、短期間ではありましたがビル・モンローのバンドに在籍しています。その後はナシュヴィルでスタジオ・ミュージシャンをやりながら、バンドとしては1959年から60年にかけて前述(2で登場)のウォルター・フォーブスと共にグランド・オールド・オープリーに頻繁に出演していました。

バンドはマンドリンにノーマン・ブレイク、ギターにデイヴィ・ジョンストン、ベースにはカントリー系の巧者ジュニア・ハスキーと、なかなかの布陣となっています。

a0038167_09195524.jpg彼らが1963年に発表したアルバム『ブルーグラスの12の陰』(Twelve Shades Of Bluegrass)はフォーク・リヴァイヴァルを意識したナシュヴィル系の都会派ブルーグラスでした。

A面4曲目の「神経衰弱」(NervousBreakdown)で聴かれる洗練された美しさは、70年代になってから現れるバンジョー巧者のお手本になったと思われる演奏です。

B面2曲目の「誰も愛せない」(I Don't Love Nobody)のバンジョーは華麗にして優雅なメロディック奏法です。またビル・キースのお株を奪うような同4曲目の「蛍の光」(Auld Lang Syne)はキースと比較しても遜色ないテクニックを披露しています。

https://www.youtube.com/watch?v=n14G3PqmglQ&t=11s

余談になりますが、ボブはこの年、ビル・マケルニーと彼のオーケストラ(Bill McElhiney And His Orchestra)の依頼で、「新しいブルーグラスのサウンド:ブルーグラス・バンジョーとストリングス」(New Sound In Bluegrass! : Bluegrass Banjo With Strings)という実験的なアルバムに参加しています。

また1966年にはカントリーやゴスペル・ミュージックで活躍したスタットラー・ブラザーズ(The Statler Brothers:)のヒット曲「壁の花」(Flowers On The Wall)でバンジョーを弾いていましたが、残念ながら1967年に引退しています。
by scoop8739 | 2019-01-04 09:22 | 泡沫アルバム
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