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329 ブルーグラスの中のディラン(その1)

ディラン曲のカヴァー

a0038167_09514611.jpgボブ・ディランがレコード・デビューした1962年から近年までに亘ってカントリーやブルーグラスのスタイルで演奏された彼の楽曲のカヴァーは100以上あると言われています。その内の約70%はディランが1960年代に作った曲でした。これらの曲をカヴァーしたアーティストたちはディランの音楽を親しみ込めた演奏で、より多くの観客に向け、新たなスタイルとして提示しました。

それは1960年代に、ディランの音楽で生まれたより大きな商業世界から新しい観客を引き込んだばかりでなく、伝統的なカントリーやブルーグラスの聴衆の嗜好をも拡大させることとなりました。

1964年7月27日、28日の両日に亘って、いち早くカントリー畑からジョニー・キャッシュがコロンビアにおいてディラン作「Mama, You’ve Been My Mind」を録音しています。キャッシュとディランはこの月に開催されたニューポート・フォーク・フェスティバルで初めて出会い、キャシュはその時、ディランの2枚目のアルバム『フリーホイーリン』(Freewheelin’)に魅了されたそうです。驚くことにキャシュがディランの歌に関心を持ったのはバーズに半年先行していたのです。

バーズは1964年に結成され、翌年1月20日にコロムビアでディラン作「ミスター・タンブリン・マン」をレコーディングし、同年4月12日にデビューします。既にご存知の通りこの曲は発売から2カ月後の6月26日にビルボードの全米チャートで1位を記録し、さらにその1カ月後にはイギリスのチャートでも1位に輝きました。

ところで、ブルーグラス・シーンにおいて初めてディランの曲を演奏し録音したグループは誰だったのでしょう。記憶と記憶が正しければ、それはディラーズではなかったでしょうか?

ディラーズは1964年リリースの2枚目のアルバム『ライヴ…ほぼ』(Live!…Almost)の中でB面2曲目に「ウォーキン・ダウン・ザ・ライン」(Walkin' Down The Line)を収録しています。この曲はディランが1962年に書いたもので、それまでに彼のどのアルバムにも収録されてはいませんでした。とは言えフォーク・ソング雑誌「ブロードサイド」に譜面が掲載され、1963年にディラン自らがデモ用に録音してはいたものの、1991年までは正式にリリースはされてはいなかったのです。

ところが、ディラーズのマネージャーであったジム・ディクソンがメンバーにこの曲を演奏して聴かせ覚えさせたのでした。つまり、ディクソンは自分好みの曲を選曲しレコーディングさせたということです。

ディクソンはこの後、バーズのマネージャーも務めることとなり、同じように彼好みの曲をバーズに演奏させ、レコーディングさせることで「ミスター・タンブリン・マン」の大ヒットに繋がったのではないかと考えられます。

それが証拠に、1969年にジム・ディクソンがプロデューサーとして関わったヒルメンのデビュー・アルバムには、A面4曲目「あなたをうまく運ぶ」(Faretheewell)、B面1曲目「船が来るとき」(When The Ship Comes In)とディランの曲が選択されているからなのでした。

by scoop8739 | 2018-11-01 09:54 | ディラン・ソング | Comments(0)
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