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310 「ニューグラス」への道(その28)

ナシュヴィルの凄腕集団によるアルバム

ボブ・ディランの『ナッシュビル・スカイライン』やモンキーズ、イアン&シルヴィアなどのレコーディングでのセッション・ミュージシャンを務めたことで触発され、自分たちの可能性を求めてオリジナル・アルバムを作り上げたのが「エリア・コード615」でした。このバンド名はナシュヴィルの市外局番をもじったもので、1969年と70年に2枚のアルバムを残しています。

メンバーはナシュヴィルで「シンデレラ・スタジオ」を経営するウェイン・モス(ギター)に、ケニー・バトリー(ドラム)、マック・ゲイドン(ギター)、デヴィッド・ブリックス(キーボード)、ノーバート・パトナム(ベース)、チャーリー・マッコイ(ハーモニカ)、ボビー・トンプソン(バンジョー)、バディ・スパイカー(フィドル)、ウェルドン・マイリック(ペダル・スティール)の8人が名を連ねていました。

彼らがそれまでに関わったミュージシャンを挙げると、エルヴィス・プレスリーを筆頭に、J.J.ケイル、ブルーワー&シップレー、ダン・フォーゲルバーグ、クリス・クリストファーソン、マンハッタン・トランスファー、ミッキー・ニューベリー、バフィ・セント・メリー、ジェリー・ジェフ・ウォーカー、エリック・アンダースン、トニー・ジョー・ホワイトといった有名なアーティストばかりです。

さて、それら2枚のアルバムはバンジョー、フィドル奏者も含むカントリー・スタイルのメンバー編成ながら、カントリーやブルーグラスにこだわらない幅広い音楽をインストゥルメンタル中心の音楽を聴かせてくれます。

a0038167_09164066.jpg1枚目、2枚目ともにそれほど音楽性の違いはないのですが、1枚目のアルバム『エリア・コード615』はどちらかと言うとカントリー、ブルーグラス色が強いアルバムでした。その中には3曲のビートルズ・ナンバーやディランのカバー曲などが収録されています。

a0038167_09170620.jpg2枚目のアルバム『トリップ・イン・ザ・カントリー』(Trip In The Country)は1枚目以上に音楽的なバリエーションが拡がり、ほぼすべてオリジナル曲で固めた内容となっています。

オープニング曲はビル・モンローのカバー曲「スコットランド」(Scotland)ですが、ブルーグラスをサザン・ロックに変身させたというような演奏でいきなり聴く者をびっくりさせます。

その他の曲でも北欧インストとブルーグラスを融合させたような不思議なサウンドの「ロシアの赤」(Russian Red)や、クラシックの室内楽と勘違いしてしまうような「ジュディ」(Judy)、先述したようなブルーグラスをサザン・ロックに変身させたようなナンバーでマック・ゲイドンの迫力あるヴォーカルも聴ける「灰色スーツの男」(Gray Suit Men、この曲での彼のヴォーカルがエリア・コード解散後に結成された"ベアフット・ジェリー"でヴォーカルを担当することを予見させます)をはじめ、彼らのルーツであるカントリーやブルーグラスをサウンドの軸にしながらも、ロックやブルース、その他多くのジャンルの音楽を積極的に取り入れたサウンドを展開しています。

彼らは決して一般受けするようなバンドではありませんでしたが、演奏は1970年代のエルヴィス・プレスリーのバック・バンド(以前紹介したジェイムズ・バートンがバン・マス)に登用されるメンバーもいるだけに当然素晴らしいものでした。

先にも述べましたが、あくまでバンド編成はカントリーですが、各パートのインタープレイを満喫できる曲や、超絶ソロをフューチャーした曲もあり、フュージョンやジャズロック的なアプローチが聴かれます。ナシュヴィルといえばカントリーとブルーグラスという保守的なイメージからの脱却を図ろうとしたところがこのバンドの魅力でした。


by scoop8739 | 2018-08-20 09:18 | ニューグラスへの道 | Comments(0)
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