290 「ニューグラス」への道(その9)

バーズの迷走

「ミスター・タンブリンマン」、「ターン・ターン・ターン」の2大ヒットで幸先の良いスタートを切ったバーズでしたが、1966年初頭にメンバーの一人、ジーン・クラークが脱退します。

クラークはニュー・クリスティ・ミンストレルズを経てバーズの結成メンバーとなり、実質的に音楽面でバーズを支えていた存在でした。

a0038167_11111807.jpgそして314日、当時のサイケデリック・ムーブメントを先取りした先進的な楽曲「霧の8マイル」(Eight Miles High)が発表されます。この曲は世界初の“サイケデリック・ロック”と言われました。

ロジャー・マッギンの12弦ギターが不協和音でうねるようなイントロを奏でますが、これはラヴィ・シャンカールなどのインド音楽からの影響と窺えます。この曲のインパクトは大きく、いくつかのラジオ局では「ドラッグ体験を連想させる」との理由で放送禁止にされました。

a0038167_11113340.jpgこの「霧の8マイル」が収録された3枚目のアルバム『霧の5次元』(Fifth Dimension)でサイケデリックの扉を開けたバンドの溢れる才能は、さらにビートルズ『ラバーソウル』、『リボルバー』に刺激を受け、一気に覚醒します。それが1967年発表のアルバム『昨日よりも若く』(Younger Than Yesterday)でした。

後にCS&Nを結成するデヴィッド・クロスビーと、カントリー・ロック・シーンを牽引していくクリス・ヒルマンの作曲の才能が花開き、ロジャー・マッギンとの3人で勢いに溢れた名曲を連発します。なお、このアルバムはコンセプト・アルバムとして先駆的作品となりました。

ところが『霧の5次元』以降、マッギンの独裁に対して主にクロスビーが反発を強め、メンバー間それぞれの不和軋轢へと発展していきます。

こうした中、19671020日にシングル盤「ゴーイン・バック」(Goin' Back)が発売されます。この曲はジェリー・ゴフィンとキャロル・キングの作品で、既にダスティ・スプリングフィールドが19667月発表していた楽曲でした。これは完成が遅れていた次のアルバム『名うてのバード兄弟』への臨時処置となりました。

そうこうするうちにクロスビーが脱退してしまいます。製作中のアルバムの楽曲不足を解決するために以前に脱退していたジーン・クラークが招聘され一時的に復帰します。とうとうバンドの協調性も結束力も崩れマッギンのワンマン体制が強まり、さらにメンバー・チェンジが続きました。


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by scoop8739 | 2018-06-15 11:12 | Road To New Grass
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