288 「ニューグラス」への道(その7)

フォーク・ロックのフォロワーたち

アメリカの若き大統領、ジョン・F・ケネディの暗殺に大きなショックを受けた22歳のポール・サイモンが作詞作曲したのが「サウンド・オブ・サイレンス」という曲でした。

a0038167_09001944.jpg彼は小学生の時からの親友だったアート・ガーファンクルを誘いバンドを組みます。そして彼らの実力が認められ、晴れてデビュー・アルバム『水曜の朝、午前3時』にこの曲が収録されます。元々フォーク・デュオとしてスタートした彼らでしたので、この曲の伴奏はアコースティック・ギターのみでした。

アルバムは、196410 月にメジャー・レーベルのコロンビアから発売されるもさっぱり売れません。時代はアコゥスティック・ギターを中心としたフォークから、エレキ・ギターを使ったフォーク・ロックへと移り変わろうとしていたのでした。

このアルバムを手掛けたプロデューサーのトム・ウィルソンは、彼のもとに「サウンド・オブ・サイレンス」に対して評判の良かったマイアミのプロモーション担当者から、「もう少しロックっぽくして、ティーン・エイジャーが足を踏み鳴らせるような感じにしたらどうだ?」という意見を貰っていたのを思い出します。

というのも当時、トムは無名の新人バンドだったバーズがディラン作品の「ミスター・タンブリン・マン」をロック風にカバーして大ヒットさせていたのが気になっていたからでした。

1965年6月、トムはこの曲をバーズのようにロック風にアレンジすればどうだと思いつき、当時着手していたボブ・ディランの「ライク・ア・ローリング・ストーン」をレコーディングするために集合していたミュージシャンを使って、「サウンド・オブ・サイレンス」のエレクトリック・セクションのみを録音します。

そしてトムは、すでに解散していたサイモンとガーファンクルに断りもなく、新たにオーヴァー・ダビングを施してこの曲をシングル盤で発売します。

a0038167_14325226.jpg策はまんまと当たり、翌1966年初頭に新しい「サウンド・オブ・サイレンス」は全米ヒットチャートの1位に輝きました。その後、この曲は映画『卒業』の主題曲としても採用され、映画の大ヒットと共に全世界に広がっていったのです。

1964年のバーズ「ミスター・タンブリン・マン」の大ヒットと、1965年のサイモンとガーファンクル「サウンド・オブ・サイレンス」の大ヒットを機に、大衆の音楽的志向がフォークからフォーク・ロックへと変化していきました。

a0038167_09013339.jpg東海岸では、ラヴィン・スプーンフルやブルース・プロジェクト、ヤング・ブラッズがデビューし、西海岸からはボー・ブランメルズ、ソニー&シェール、バリー・マクガイア、ママス&パパスらが次々と登場してヒット・パレードを席巻していきます。またビーチ・ボーイズがキングストン・トリオのレパートリーから「スループ・ジョン・B」をカヴァーしたのも、当時のフォーク・ロックの隆盛と決して無縁のことではありません。


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by scoop8739 | 2018-06-11 09:04 | Road To New Grass
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