276 至高のサウンド(その30)

アルバム『新しいセルダム・シーンのアルバム』曲解説(B面)

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B面1曲目「鉄道員」は古くからあるフォーク・ソングです。イントロで右チャンネルからのフィンガー・ピッキング・ギター(間奏ではハーモニー)はダフィー、左チャンネル(間奏ではリード・ギター)がエルドリッヂのツイン・ギターが楽しめます。2番目の歌詞「プラットフォームに立ち、安い葉巻を吸いながら空の車を運ぶ古い貨物列車を待っている。目の上の帽子を引っ張り上げ、トラックを横切って歩く。古い貨物列車の最後尾に乗り、もう戻っては来ませんよ」という歌詞に男の決意が感じられます。どんな歌でも自分のものにしてしまうスターリングの歌唱力、間奏に泣き節フレーズをたっぷり織り込むドブロの技に感涙です。

ゆったりとしたペダル・スティールのイントロで始まる2曲目「電話に応えて」はスターリングのカントリー風味の作品です。この曲でもダフィーとエルドリッヂのツイン・ギターが聴かれます。間奏のマンドリンもトレモロを利かせて優しく奏でています。

3曲目はアカペラ・コーラスに始まる「愛する資格さえない」です。この手法はアルバム『アクト3』での「ジョージアのバラ」で既にお馴染み、ダフィー好みのアレンジだと言ってもいいでしょう。作者はサム・ブキャナン(Sam Buchanan)とヴァーノン・クラウド(Vernon Claude)で、マック・ワイズマンの歌でよく知られる曲です。リード・ヴォーカルからコーラスへと余裕のブルーグラス・サウンドが展開されます。間奏のバンジョーもドブロもマンドリンも「これぞブルーグラス」だと言わんばかりの演奏を聴かせてくれます。

4曲目「人生の歌」はA面5曲目「カリフォルニア大地震」で驚かせてくれたロドニー・クロウエルの作です。ギターのストロークに始まり、スターリングが思い入れたっぷりに歌い上げます。オゥルドリッヂがペダル・スティールとドブロを、エルドリッヂが5弦ドブロとギターをオーヴァー・ダビングし計算された音作りをしています。この曲は後にトニー・ライスやアリソン・クラウスも歌っています。

5曲目の「レベルズ・イエ・レスト」はポウリン・ボウチャンプという名の女性の作です。ダフィーはこういったフォーク調の曲が好みのようで、カントリー・ジェントルメン時代にもこういうタイプの歌を多く歌っていましたよね。

6曲目「人生の絵画」は、1951年にハンク・ウィリアムスが「ルーク・ザ・ドリフター」(Luke the Drifter)という名で歌って大衆化したトラディッショナル・ソングです。シーンの演奏は厚みのあるドブロのイントロから3部コーラスで歌われます。続いてダフィーのリード・ヴォーカルの後、間奏でダフィーがリード・ギターをつま弾くとドブロへと渡り、ここで転調し再びダフィーのリード・ヴォーカルとなります。また転調して元へ戻ると、臨場感溢れる4部コーラスとなりエンディングを迎えます。

『新しいセルダム・シーンのアルバム』は、スターリングのカントリー・ロックへの傾倒から作られたものであることは一目瞭然(いや一聴瞭然)でした。これからのシーンはこの路線で突き進むものと思われていました。


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by scoop8739 | 2018-04-26 13:38 | セルダム・シーン
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