273 至高のサウンド(その27)

アルバム『ライヴ・アット・セラードア』曲解説(D面)

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いよいよ最終盤面、D面1曲目はノー・イントロのハーモニーから始まる「ジョージアのバラ」です。ビル・モンローの正調ブルーグラス・ソングをシーンなりの解釈でアレンジし、ダフィーが高いキーをものともせずにブンブン飛ばします。終始鳴り続けるエルドリッジのバンジョーが心地よく沁みます。途中で転調してもダフィーの勢いはますますパワーアップというところです。

2曲目「コロラド・ターンアラウンド」はドブロをフィーチャーしたインスト曲です。作者はドブロの巨匠“アンクル・ジョッシュ”ことジョッシュ・グレイヴスで、彼が1974年にリリースしたアルバム『Alone At Last』(Epic KE 33168 )にも収録されています。タイトル通り急転回する車のようにめまぐるしくコードが変わる曲ですが、各楽器とも何の問題もなくスムーズに演奏しているようです。

続く3曲目「オール・ザ・ウェイ・トゥー・テキサス」は、このライヴ時点で新しく書かれたスターリングの曲です。彼女を残し旧い貨物列車でテキサスに去ってしまう男の哀愁を切々と歌っています。ブリッジにミュートをつけたバンジョーと抑えめに聴こえるドブロの音がさらに哀愁をそそります。まるで遥か彼方のテキサスの風景が目に浮かぶようです。

4曲目「ホワイト・ライン」はカナダのシンガー・ソングライター、ウィリー・P・ベネットが作り、1975年発売のアルバム『Tryin' To Start Out Clean』(Woodshed Records WS-004)に収録したカントリー・ロックでした。それをスターリングがバラード調にアレンジして歌います。バンジョーとマンドリンが背後で優しく奏で、ドブロがその間を埋めるように音を紡ぐと、この曲の歌詞に描かれた世界観が眼前に広がります。

そしてライヴの最後は5曲目「ライダー」です。アルバム『アクト3』に収録され、フェスティバルではハイ・パフォーマンスで聴かせる曲だけに、今回のライヴの締めには最もふさわしいものと言えるでしょう。アルバム同様に、ベースのイントロで始まりバンジョーへと続きます。そして意気のいいコーラスからスターリングのヴォーカルへ順に歌われます。間奏でマンドリンが実にファンキーに長いソロを弾き、同じように2番を歌った後には間奏のバンジョーがシンコペーションの強い長いソロを聴かせます。ベースが堅実にリズムをキープしてラスト・ランとなり、ドブロで曲を締めくくります。 大きな喝采の中、場内アナウンスがライヴの終わりを告げます。

そんじょそこらのライヴ・アルバムとは比べ物にならないパフォーマンスの繊細かつ完璧さ、音質の良さ、そしてアルバムとしてのまとまり。彼らがデビューして僅か2年にして頂点にまで登り詰めたばかりの完成度の高さです。これこそセルダム・シーンの記念碑として永世に残すべきアルバムとなりました。


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by scoop8739 | 2018-04-17 10:48 | セルダム・シーン
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