272 至高のサウンド(その26)

アルバム『ライヴ・アット・セラードア』曲解説(C面)

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ダフィーのM.C.でいよいよ第二幕が始まります。C面1曲目は観客のリクエストに応えて、オゥルドリッヂのファースト・アルバムからの曲「ピックアウェイ」です。この曲はレスター・フラットとバンジョーのヴィック・ジョーダン(Vic Jordan)が共作している1971年のアルバム『フラット・オン・ビクター』(RCA Victor LSP-4495)に収録された“超カッコいい”インスト曲です。そのアルバムでのマンドリンはローランド・ホワイトが弾いていました。またジョーダン自身も1973年に発表した自身のソロ・アルバムでこの曲をタイトル名にしているくらいですので(Atteiram API 1027)よほどの自信作だったのでしょう。そんな曲をシーンはドブロをフィーチャーして演奏しています。ドブロのしなやかで弾むようなその音色に気持ちがグイグイ持っていかれます。バンジョーやマンドリンやベースまでもが負けじとばかりに技を繰り出し演奏が加熱します。なんとファンタスティックなライヴなのでしょう!

2曲目「ダーク・ホロウ」もカントリー・ジェントルメン時代からのレパートリーです。スターリングのリードで歌われますが、チャーリー・ウォーラーと比べてやはり役者が一つも二つも上なのを感じます。

3曲目はバンジョーのイントロに始まり、しんみりとバラード調で歌われる「小さな例外」です。この曲はアルバム『アクト2』に収録されていて、このライヴでもコーラスからダフィーのリードへの流れ、歌の隙間を埋めて邪魔しないバンジョーとドブロのバックアップなど、アレンジ、バランスとも非の打ち所のない出来となっています。

続く4曲目「イフ・アイ・ワー・ア・カーペンター」はダフィーが得意とするフォーク調の曲です。作者はシンガー・ソングライターのティム・ハーディンで、彼が1967年に2枚目のアルバムで発表しています。それをポップ歌手の「ボビー・ダーリン」が、同年にソウル・グループの「フォー・トップス」が、そして翌1968年にはイギリスのアイドル・グループ「ハーマンズ・ハーミッツ」が次々とレパートリーにしてきました。そんな曲をエマーソン&ウォルドロンがブルーグラス調にアレンジし、彼らのファースト・アルバム『New Shades Of Grass』で発表してからはブルーグラス畑でも多く歌われるようになっています。シーンの演奏ではエマーソン&ウォルドロン盤と同じアレンジのバンジョーのイントロから始まりますが、そこにドブロが効果的に音を入れ込んでいます。抑え気味に歌うダフィーのリードから一気に厚みのあるコーラスとなり、間奏のバンジョー、マンドリンへと続きます。ここに入り込むドブロの音色がこの曲に芳醇な潤いを加えています。

バンジョーとマンドリンの絡みで始まる5曲目「オールド・グレイ・ボネット」は爽やかな印象のインスト曲です。原曲は1909年に作られたラグタイム・ソングでハイドン・カルテットによって歌われヒットしました。シーンはバンジョー、マンドリン、ドブロの順にソロをとり、セカンド・ブレイクでバンジョーが鮮やかにクロマチック・ロールをキメています。

6曲目「C&Oキャナル」は4枚目のアルバム『旧い列車』からの曲です。ポンポン船を思わせるようなバンジョーのイントロに始まり、アルバムではここでハーモニカが入るところですが、代わりにマンドリンのトレモロでノスタルジックな気分を高めています。いよいよスターリングの登場です。歌も上手けりゃ曲作りも巧い。楽器が曲調をコントロールするかのように静かに奏でられます。


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by scoop8739 | 2018-04-12 08:53 | セルダム・シーン
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