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266 至高のサウンド(その20)

アルバム『旧い列車』曲解説(B面)

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華やかなバンジョーの演奏から始まるB面1曲目の「パン・アメリカン」は1947年に書かれたハンク・ウィリアムスの自作自演曲ですが、どうも元歌はカーター・ファミリーの「ワバッシュ・キャノンボール」ではないかと思われます。この列車はシンシナティを出発し、モンゴメリーを経てニュー・オーリンズまで毎日運行していた「パン・アメリカン・クリッパー」のことでした。シーンのヴァージョンではオリジナルに比べてアップ・テンポなブルーグラス的アレンジを施し、全編コーラスによりルイビル、ナッシュビル、モンゴメリー、アラバマと地名を繋いで歌い上げています。間奏のドブロはここまでの演奏スタイルとは打って変わってテンポ良く力強く弾いています。

2曲目「建物で働いて」はアメリカ黒人のゴスペル・ソングでした。この曲はビル・モンローを始めプレスリーやB.B.キングなどいろんなジャンルのアーティストによって何度も録音されています。ギターとマンドリンのイントロに始まりバンジョーの軽やかなフレーズが続き、スターリングがファルセットで歌い出します。少々キーが高いように思われますが、それがかえってこの曲の緊張感を高めているようです。4部のコーラスではオゥルドリッヂがバスに、グレイがバリトンを受け持っています。2番ではダフィーのリードに替わります。間奏のドブロがブルージーな気分を高めます。3番でリードがスターリングに戻り、最後はコーラスでエンディングとなります。

3曲目の「愛をこめて」はサンドラ・シーモンズ(Sandra Seamons)とカイ・サヴェージ(Kay Savage)によって書かれた曲で、カントリー歌手ジョージ・ジョーンズ(George Jones)によってレコード化されています。シーンのヴァージョンはコーラスに始まり、ダフィーの繊細なリードに繋ぎます。間奏のマンドリンのトレモロとドブロの絡みが曲の情感を増します。

前曲とは曲調が変わってミディアム・テンポのバンジョーのイントロから始まる4曲目「心変わり」は、恋人との別れを歌ったダン・リノの作品です。グレイも加わったコーラスの後にダフィーのハイ・リードで歌われます。2番目の間奏の時にバンジョーが途中から転調し、ダフィーがさらに高いテナーを聴かせてくれます。

5曲目「旅は続く」はビル・モンローやフラット&スクラッグスも歌っているブルーグラス・セイクレッドの定番曲です。スターリングの弾むように軽快な歌に始まり4部コーラスへと続きます。

6曲目の「C&O キャナル」とは“チェサピークとオハイオ運河”のことで、ワシントンD.C.のジョージタウンからメイランド州のカンバーランドのポトマック川沿いに至るまでの間に石炭を積んだ船が運航していました。現在は時代の推移とともに運河としての役割を終え、側道がサイクリング・ロードとなっているそうです。それを懐かしむかのようにスターリングが曲を書きました。さてシーンの演奏ではフェード・インするバンジョーの緩やかなイントロに続いてハーモニカが使われています。このハーモニカは以前にシーンと共演したことのあるボブ・ウィリアムスが吹いています。スターリングの自信溢れたヴォーカルに続いてダフィーとの2部コーラスとなります。歌のバックでドブロがいい味を出します。

アメリカ盤(Rebel Records REB 1536)は10月に、日本盤は12月にキング・レコードから発売されています(Seven Seas SR 835)。

なお、この年の8月に開催された「ゲティスバーグ・ブルーグラス・フェスティバル」に出演し、このアルバム『旧い列車』からの4曲を含む演奏を披露しています。


by scoop8739 | 2018-03-23 13:04 | セルダム・シーン | Comments(0)
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