259 至高のサウンド(その13)

アルバム『アクト2』曲解説(A面)

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A面1曲目「最終列車」はノーマン・ブレイク作、フォーク調のしっとりと聴かせる曲です。ノーマンが1974年にアルバム『The Fields Of November』で初めて発表した曲でしたが彼の愛唱歌だったようです。近年では映画『オー・ブラザー』のサウンド・トラックとしてフィーチャーされています。ギターのストロークとバンジョーのアルペジオが心和むイントロを奏で曲が始まります。そしてスターリングが渋く歌いだし、ドブロが囁くように静かに奏でられコーラスへと導かれます。間奏のマンドリンもグッと抑え気味に曲をコントロールしています。

ドブロのどこか憂いを含むイントロに始まる2曲目の「思い出の庭」はスターリングの作です。優しく歌われるスターリングのリードからコーラスとなり、間奏ではダフィーの弾くフィンガー・ピッキング・ギターとドブロが軽快に競演します。バックアップのバンジョーも歌を邪魔しない程度にクロマチック・ロールを奏でています。

3曲目「パラダイス」はカントリー歌手でソングライターのジョン・プラインの作です。ケンタッキー州ミュンヘンベルク郡にあるパラダイスという町の話で、ここでは現在、ピーボディ石炭採掘会社とテネシー渓谷局が石炭火力発電所を運営しています。この曲は彼が父親のために書き、1971年のデビュー・アルバム『ジョン・プライン』に収録されました。以後この曲は数多くのシンガーによって歌われ続けています。シーンの演奏では、スターリングとダフィーの力強いコーラスが3拍子の速いテンポで歌われ曲のムードを高めています。間奏のエルドリッヂのバンジョーはこれでもかときらびやかに鳴り響きます。

打って変わってバンジョーの穏やかなイントロで始まる4曲目「小さな例外」は英国人のジャッキー・トレントとトニー・ハッチ夫妻の共作です。トニーはペトゥラ・クラークの「ダウンタウン」を書き、二人の共作で有名なのはスコット・ウォーカーの「ジョアンナ」という曲でした。話を戻して、こんなスローな曲でのエルドリッヂの音使いは他に類をみないものがあります。コーラスではダフィーのリードと共にスターリングのロー・テナーが聴けます。このコーラスにフィル・インするドブロのセンスには参ってしまいます。そしてなんと言ってもダフィーの歌のうまさが光ります。

5曲目「一番列車で」はイーグルスの創設メンバーであったバーニー・リードンがジーン・クラークと共作した曲で、ディラード&クラークの1968年発表のアルバム『ファンタスティック・エクスペディション』(The Fantastic Expedition Of Dillard & Clark)に収録されています。後にイーグルスの『ファースト・アルバム』でも取り上げられました。優しいギターのイントロにドブロが憂いあるサウンドで添います。切なげなスターリングのリード・ヴォーカルにダフィーのハイ・バリトンが被さり、まるで極上のワインを口に含んだ時の芳醇な香りが鼻腔をくすぐる感覚を味わえると言ったら言いすぎでしょうか?

前曲の印象を引き継ぐようにギター・ストロークのイントロに始まる6曲目「ブロウイン・アウェイ」は、シーン御用達のポール・クラフトの作品です。間奏のギターとドブロが胸を締め付けるように優しく切なげに鳴り響きます。余談ですが、この曲は後にリンダ・ロンシュタットのレパートリー曲にもなっています。


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by scoop8739 | 2018-03-05 08:45 | セルダム・シーン
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