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218 時系列で聴くカントリー・ジェントルメン (55)

スターディへの録音 (15)

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それでは、日本のファン向けに特別にレコーディングされ、日本だけで発売されたジェントルメンの幻のレコード「フォーク・ヒッツ・ブルーグラス・スタイル」(Folk Hits Bluegrass Style)を詳しく解説致しましょう。

A面1曲目「風に吹かれて」(Blowing In The Wind)は、おなじみボブ・ディランの作った反戦歌です。この曲は、19624月にディランがグリニッジ・ヴィレッジのコーヒー・ハウス「ガスライト」の向かいにあった「コモンズ」という店で、友人たちと長時間に亘って黒人の公民権運動について討論した果てに数分で書き上げたと言われています。「10分で書いた。古い霊歌に言葉を当てはめたんだ。多分カーター・ファミリーのレコードか何かで覚えたものだと思う。これがフォーク・ミュージックのいつものやり方だ。すでに与えられているものを使うんだ。」とディラン本人が述べています。1963年夏にピーター・ポール&マリーがカバーして世界的大ヒットとなりました。ジェントルメンはブルーグラスのテイストを残しつつも、フォーク・スタイルのコーラスで歌い上げます。

イントロのバンジョーから何となく惹かれる2曲目の「500マイルも離れて」(Five Hundred Miles)の曲自体は古くからの民謡でした。フォーク歌手ヘディ・ウエストによって1961年に紹介され、さらにピーター・ポール&マリーが19625月にリリースした彼らのファースト・アルバムの中に収録され、このアルバムが全米アルバム・チャートで1位を記録し、日本でも広く知らされる事となりました。ジェントルメンは過去に廉価盤「フーテナニー・ア・ブルーグラス・スペシャル」(Hootenanny, A Bluegrass Special)でも歌っています。このヴァージョンはモダン・フォークのグループ、ジャーニーメンを参考にしていて、原曲のイメージを損なうことなく、ジョン・ダフィーが歌う切ないファルセットが胸に染み入る仕上がりとなっています。後に彼は「セルダム・シーン」を結成して最初のアルバムにも、ほとんどこのヴァージョンと同じアレンジで歌っています。

3曲目の「この国はみんなの国」(This Land Is Your Land)はモダン・フォークの生みの親とも言われるウッディ・ガスリー作の名曲です。ブルーグラスではフラット&スクラッグスが1962年発売のアルバム「Folk Songs Of Our Land」の中で歌っています。ジェントルメンはそれとはまた違った、彼らならではのいい味を出しています。チャーリーとジョンの力強いボーカルが魅力的です。

4曲目「ホーム・スウィート・ホーム」(Home Sweet Home)は、我が国では「埴生の宿」という題名で親しまれている曲です。作詞のジョン・ホワード・ペインはアメリカの俳優であり、劇作家で、彼は13歳で孤児になり、生涯、家庭を持たない放浪の人でした。その詞にイギリス人の作曲家ヘンリー・ビショップが曲を付けています。ジェントルメンはこの曲をインストルメンタル曲として演奏しています。エディがスクラッグス・チューナーを多用し、まるで「アールズ・ブレイクダウン」のように演奏します。ジョンも2回目の間奏では、ジム&ジェシーのジェシー・マクレイノルドの十八番で、通称「マクレイノルズ・クロスピッキング」という演奏テクニックを駆使して曲を盛り上げています。

ということで、今回はこの辺で。

by scoop8739 | 2017-09-19 09:23 | カントリー・ジェントルメン | Comments(0)
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