オー・ダーリン (Oh Darling)
この曲は「のっぽのサリー」や「アイム・ダウン」以来の、ひさびさ背筋がぞくぞくするようなポールのヴォーカルが聴かれます。自動ピアノのようなピアノと、コードを刻む火の出るようなギターの下で、ポールはわざとしわがれ声で歌っていますが、彼はレコーディングの1週間前からスタジオで何度も歌い込んで、このパワフルな声を作ったと言われています。
作曲もポール自身で、50年代後期のロッカ・バラードにインスパイアされたこの曲は、「一生愛し続けるからそばにいて欲しい」と、愛する人に呼びかけるシンプルなラブ・ソングとなっています。ジョンは後年、「オレならもっと上手く歌えたのに」と言ったそうですが、この曲に限っては、やはりポールの思い入れがあったからこそ完成した曲だと言えます。
さてブルーグラス界広しと言えども、この曲を熱唱できる人は彼をおいて他にはいません。それは誰あろう「ブルーグラス・ロッカー」のジョン・コーワンその人で、彼のヴォーカルを盛り上げるサポート・メンバーが、これまたブルーグラス界でロック魂を持つバンジョー・プレイヤーのベラ・フレック率いるフレックトーンズでした。ベラの不思議(?)なエレクトリック・バンジョーのイントロに続き、絶叫のようなパワフルなジョンの雄叫びが炸裂します。間奏のピアノはとてもジャージーで、ブルーグラスとロックとジャズが融合したフュージョン・サウンドになっています。なおこの曲が収録されているアルバムは「テルライド・1992・フェスティバル:プラネット・ブルーグラス」(Telluride 1992 Festival: Planet Bluegrass)です。
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