348 愛しの泡沫アルバム(その12)

エリック・ワイズバーグとマーシャル・ブリックマン

エリック・ワイズバーグは1939年にニューヨーク市に生まれ、ジュリアード音楽院で学んだ経験を持つ音楽エリートです。

a0038167_08373394.jpg彼は1963年に、フォーク・グループ「タリアーズ」の元メンバーだったマーシャル・ブリックマンと組んでアルバムを発表します。それが『バンジョーとブルーグラスの新次元』(New Dimention In Banjo & Bluegrass)でした。

このアルバムにサポート・メンバーとして呼ばれたのが、前年に「ケンタッキー・カーネルズ」として初のアルバムを録音したばかり、当時19歳で新進気鋭ギタリストのクラレンス・ホワイトでした。

またフィドルにはセッション・マンとして活躍中のゴードン・テリーと、ベースにジミー・ボンドが参加しています。

エリックのバンジョー・スタイルは、ボストンからビル・モンローのバンドに参加したビル・キースや、ナシュヴィルのボビー・トンプソンらが開発しつつあったメロディック・スタイルであり、アール・スクラッグスの完璧なまでの従来の奏法を、さらに乗り越えようとするチャレンジャーぶりみせています。

どちらかと言うと、ハードにドライヴするというより、丹念に計算されたメロディ・ラインを重視しているように思われます。この点において彼のユニークな行き方が窺えます。

アルバムのタイトルである「新次元」をさらに押し進めたのが、1973年にリリースした『映画「脱出」オリジナル・サウンド・トラッ盤』でした。こちらは映画のヒットもあり「泡沫」とならずに今でも語り継がれる「名盤」となっています。

音源はYoutubeにて佐生武彦さんがアップして下さってる「Take’s Bluegrass Album Channel」で聴くことが出来ます。
https://www.youtube.com/watch?v=1Rf7Lo-4kt4&t=3s

なお参考までに、マーシャル・ブリックマンはジョン・フィリップスと共に「ママス&パパス」を結成する直前までの「ニュー・ジャーニーメン」で活動していましたが、その後は脚本家となり、ウッディ・アレンが監督・主演を務めた映画『アニー・ホール』の脚本で1977年のアカデミー賞最優秀オリジナル脚本賞を受賞しています。最近の有名な映画としては『ジャージー・ボーイズ』で脚本を手がけました。

# by scoop8739 | 2019-01-21 08:40 | 泡沫アルバム