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115 ブルーグラスの中のビートルズ (8)

アイ・ウィル (I Will)

この曲はアルバム「ザ・ビートルズ(通称ホワイト・アルバム)」に収録されていますが、ポールが後に結婚することとなるリンダを想って作ったものです。彼は生ギターを弾きながら歌い、バックでリンゴがシンバルとマラカスを、そしてジョンが木片でビートを刻んでいます。期待感を持たせる歌詞には、録音した翌週にアメリカからやってくるリンダとその娘を待ちわびる彼の想いが現れています。

a0038167_9222055.jpgこの曲のイメージを損なうことなくブルーグラス・アレンジしたのが、今やブルーグラス界きっての女性ボーカリストに成長したアリソン・クラウスでした。ロブ・アイクスの弾くドブロのイントロに続いて、シンプルなメロディック・スタイルのバンジョー(トニー・ファータード)でワン・コーラス演奏され、いよいよアリソンの登場となります。

彼女の声はこの曲の持つデリケートな表現にぴったりです。また隠し味のようにスティール・ドラムやパーカッションが曲に色彩を持たせてくれます。いずれにしても、アリソンの持ち味を充分に生かしオリジナルを越えた仕上がりとなっています。なおこの曲は、1995年に200万枚を売上げ、4つの賞をさらった彼女の記念すべきアルバム「Now That I've Found You」に収録されています。

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by scoop8739 | 2005-07-30 09:21 | ビートルズ・ソング

114 ブルーグラスの中のビートルズ (7)

ペイパーバック・ライター (Paperback Writer)

これはビートルズが恋愛というテーマから離れて作り、初のシングルとなった曲です(ちなみに曲としてはすでに「ひとりぼっちのあいつ」があります)。曲の内容はというと、1000ページを越える自分の本を出して欲しいと出版社に懇願する三文小説家のことを歌ったもので、これもまた物語作りの名人ポールの作です。

サウンド面からこの曲を分析すると、ポールは自分の弾くベースにブースターをかけていて、まるでモータウン系のサウンドのようにベースの音が一段と際立って聴こえます。これは当時のエンジニアの努力の賜物であったと、のちにポールが語っています。

a0038167_11565899.jpgさて、ブルーグラスの世界でこの曲を取り上げたアーティストがハーブ・ペダーソンでした。彼はディラーズに在籍当時からビートルズ・ナンバーのアレンジに定評がありましたが、1976年の発表したソロ・アルバムでは、この曲を冒頭に持ってきてその手腕を遺憾なく発揮してくれます。

控えめでいて実に味のあるボーカルに、彼自身によるコーラスが重ねられていて見事なカントリー・ロックに仕上がっています。デヴィッド・リンドレーのフィドルやアル・パーキンスのペダル・スティールもこの曲にピッタリと決まっているようです。

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by scoop8739 | 2005-07-24 12:02 | ビートルズ・ソング

113 ブルーグラスの中のビートルズ (6)

ヘイ・ジュード (Hey Jude)

この曲は、ジョン・レノンと彼の最初の妻シンシアとの間に生まれた息子ジュリアンを励ますために、ポールが即興で作った曲です。その頃、ジョン夫妻は離婚が決まり、急に宙ぶらりんになった子供を見て可哀想に思ったポールは、彼にエールを送るつもりで作ったようです。結果、世界中のチャートを総なめし、1968年だけでも500万枚以上のセールスを記録するなど、ビートルズのシングルの中でも最大級の成功を収める曲となりました。

a0038167_215383.jpgブルーグラス人脈の中でこの曲を取り上げているのが、バンジョーの大御所アール・スクラッグスです。彼がロックのヒット・チューンに挑んだアルバム、「ナッシュヴィル・ロック」(CD化されていません)に収録されていて、この曲の他にもビートルズ・ナンバーをあと2曲、ボブ・ディランやローリング・ストーンズの曲なども演奏しています。のどかなブルーグラス仕立てのコーラスがなかなかいいムードです。

a0038167_2155192.jpgもう一人の大御所ジョン・ハートフォードもこの曲を取り上げています。彼はもともとナッシュヴィルのシンガー・ソングライターで、「ジェントル・オン・マイ・マインド」という大ヒット曲作家ですが、ブルーグラス界ではフィドルやバンジョーを味のあるスタイルで聴かせてくれました。彼の残したアルバム「アイアン・マウンテン・デポ」に収録された「ヘイ・ジュード」は、本家ビートルズにも負けないほどの6分にもおよぶ大作となっています。

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by scoop8739 | 2005-07-22 21:09 | ビートルズ・ソング

112 ブルーグラスの中のビートルズ (5)

消えた恋 (What Goes On)

前回と同じくアルバム「ラバー・ソウル」からの1曲です。この曲にはビートルズが、彼らの敬愛する先輩たちから巣離れしようとする自信のようなものが窺えます。つまり、この曲は単に彼らのオリジナル曲というだけでなく、ロカビリーのオリジナル曲として、カール・パーキンスやジェリー・リー・ルイスといったヒーローたちに敬意を表しているように思われます。

彼らはビートルズになる以前からロックン・ロールの歴史を充分に吸収していたので、しっかりとした自分たちなりのカントリー・ビートを生み出すことが出来たのだと思えます。そのことは同時に、前作「ヘルプ!」に収録された「アクト・ナチュラリー」と同じ位置、つまりB面1曲目に配したことで、彼らがその形式をいかに愛していたかを示しています。

a0038167_21234826.jpgさて、この曲を歌ったのが大御所となったセルダム・シーンでした。彼らは1972年にデビューした後、他を寄せつけない完璧なサウンドとパフォーマンスで一躍ブルーグラスのトップ・グループに登り詰めました。この曲は彼らが1988年にリリースしたアルバム「A Change Of Scenery」に収録されています。

オリジナルのビートルズ盤では、ジョージの弾くギャロッピング・スタイルのギターが印象的でしたが、さすがは実力者揃いのセルダム・シーンはいきなりアカペラでキック・オフし、メンバー全員のソロも見事にきめるなど実に鮮やかな仕上がりとなっています。

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by scoop8739 | 2005-07-20 21:24 | ビートルズ・ソング

111 ブルーグラスの中のビートルズ (4)

ミッシェル (Mishelle)

ポールの曲作りには、どちらかと言うと意識的に「名曲」を生み出そうという魂胆が見え隠れします。それにもかかわらずちゃんと「名曲」になっているところが、いかにもポールらしいところです。たとえば歌い出しの「ミッシェル・マ・ベル」というところはメジャーで、「アイ・ラヴュー、アイ・ラヴュー、アイ・ラヴュー」のところでマイナーになるなど、メジャーとマイナーのセクションガお互いに引き立て合うという手法を使い、曲作りにヴァラエティを持たせています。

この曲は歌詞がフランス語で書かれている不思議な雰囲気を持った曲で、アルバム「ラバー・ソウル」に収録されています。「ミッシェル」という名前は、「とても連なりのいい言葉」という意味の「ソン・レ・モン・クィ・ヴォン・トレ・ビエン・アンサンブル」と続いていて、この歌詞はうまく韻を踏んで美しく聴こえます。

a0038167_10274757.jpgブルーグラスの世界でこの曲を取り上げたのがベラ・フレックです。彼はニュー・グラス・リヴァイヴァルを脱退後、さらなる音楽を求めてコンテンポラリー・ジャズの世界に進出します。彼がこの時に結成したのがフレックトーンズでした。ピアノ、エレクトリック・ベース、エレクトリック・パーカッションにベラのバンジョーを加えてのユニークな編成のバンドは、既成概念を打ち壊すように新しい音楽を創造し始めます。

この「ミッシェル」は、1991年に発表されたフレックトーンズの第2弾アルバム「コズミック・ヒッポ」に収録されました。ハーモニカによるリードとベラのメロディックなラインが強く印象に残る出来となっています。

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by scoop8739 | 2005-07-18 10:28 | ビートルズ・ソング

110 ブルーグラスの中のビートルズ (3)

エリナー・リグビー (Eleanor Rigby)

ビートルズの7枚目のアルバム「リヴォルバー」に収録されているこの曲は、ポール・マッカートニーによって作られています。彼は曲作りする際によく架空のストーリーをでっち上げるのですが、この曲もエリナー・リグビーという孤独な老掃除婦とマッケンジー神父という二人を登場させ物語性を高めています。

オープニングのコーラス部分から緊張感にあふれたボーカルは、いきなり聴き手を至近距離に置いてしまうほどです。あの「アー」という歌い出しは、心和むどころか胸が張り裂けそうな感じがして、最初のラインが終わった後のチェロの急激な下降とともに心も一緒に沈み込んでしまいそうになります。つまりメロディーそのものがこの曲の物語性をさらに強調していているようです。

a0038167_13494038.gifさて、1969年にサム・ブッシュとアラン・マンデは「プア・リチャーズ・アルマナック」というインスト・アルバムを発表していますが、そのアルバムは大変好評だったようで、彼らは第二弾としてズバリのタイトル「初めての時のようにもう一度 “Together Again For The First Time”」(CD化されていません)をリリースします。二人は久々の出会いに触発されるものがあったのでしょうか、このアルバムではどの曲をとっても異様に冴えて自信に満ち溢れたソロを聴かせてくれます。

彼らをサポートするメンバーは、ニュー・グラス・リヴァイヴァル当時のカーティス・バーチ(g)、ジョン・コーワン(bs)、さらにアランの盟友ローランド・ホワイト(m)です。これだけの強力サポートをバックにすれば、サムもアランも向うところ敵なしです。

収録されている「エリナー・リグビー」は、静かなバンジョーのイントロにマンドリンが絡みしっとりとしたサウンドを作り出します。途中からギター・プレイも曲のイメージを損なうことなくメロディーをなぞるように全体的なサウンド作りに貢献しています。マンドリンのメロディーをほどよく崩したプレイにサムのセンスを感じます。

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by scoop8739 | 2005-07-16 13:50 | ビートルズ・ソング

109 ブルーグラスの中のビートルズ (2)

イェスタデイ (Yesterday)

この曲は、たとえビートルズの中で一番評価の低いレコーディングであっても、彼らの作り出した曲の中では一番評価の高い曲であることは間違いありません。ラスベガスでワンマン・ショーするほどの歌手から「ゴング・ショー」の出場者に至るまで、これから先何年もいろんなかたちでカヴァーされる普遍性を持った曲と言えます。

アルバム「ヘルプ!」に収録されているこの曲は、アルバムがリリースされたのをきっかけに圧倒的な支持を得て、やがてシングル化もされました。彼らはこのアルバムを発表後に「エド・サリヴァン・ショー」に出演していますが、この曲はポールが一人でギタ−の弾き語りしています。

a0038167_20252915.jpgさて、この曲をブルーグラス界で初めて取り上げたのはハーブ・ペダーソンが加入してからのディラーズでした。1970年発表のアルバム「コパーフィールズ」に収録されたこの曲は、ブルーグラス・アレンジではなく定評あるアカペラ・コーラスで歌われました。わずか2分足らずの小品ながら、彼らの実力を示した出来となっています。

a0038167_20253374.jpg続いてこの曲を取り上げたのがカントリー・ジェントルメンでした。アルバム「サウンド・オフ」(のちに「Early Rebel Recordings 1962-1971」でCD化されました)に収録されているこの曲は、ギターのチャーリー・ウォーラー、バンジョーにビル・エマーソン、マンドリンはジミー・ゴウドロウ、ベースのビル・イェイツ、そしてマイク・オウルドリジのドブロというメンバーで1971年に発表されています。こちらの方はインストゥルメンタルとして見事なまでにブルーグラス化されています。のちにマンドリンがドイル・ロウソンに替わって、「ライヴ・イン・ジャパン」でも演奏されました。

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by scoop8739 | 2005-07-14 20:26 | ビートルズ・ソング

108 ブルーグラスの中のビートルズ (1)

1951年生まれのボクの青春時代はビートルズと共にありました。小学6年生の時に聴いた衝撃の日本デビュー曲「抱きしめたい」(I Want Hold Your Hand)でポップスに目覚め、大学1年生の春に観た映画「レット・イット・ビー」(Let It Be)と、ほぼ同時期の解散で彼らに別れを告げました。つまりボクは人生の中で最も多感な時期を、彼らの音楽とともに生きてきたようなものです。そんな訳でボクはビートルズが大好きです。

a0038167_20301013.jpgそんなビートルズ大好きオジサンのボクは、ビートルズの曲をブルーグラスで演奏しているものを好んでよく聴きます。古くはチャールズ・リヴァー・ヴァレー・ボーイズの「ビートル・カントリー」ですが、これなんかはLPとCDの両方とも買っていて、一時期座右の1枚となっていました。ま、そんなこんなで、ボクが聴いてきたブルーグラスの中のビートルズ・ソングを手当り次第にご紹介したいと思います。

話のついでに、この「ビートル・カントリー」のことを少々書いておきます。チャールズ・リヴァー・ヴァレー・ボーイズはボストンのクラブ47を中心に活躍する、ハーバード大学などに在籍する名門大学の学生からなっていました。1962年にアルバム・デビューをしますが、このアルバムは彼らにとって3枚目で最後のアルバムとなりました。このアルバムはすべてがビートルズ・ソングのブルーグラス・カヴァーで、フォークとビートルズを同時体験した彼らにしか作れない瑞々しさがあります。これを手に取った当時のブルーグラス・ファンには充分すぎるほど刺激的なものとなったことでしょう。

Beatle Country / Charles River Valley Boys (Rounder Special )
1. I've Just Seen A Face
2. Baby's In Black
3. I Feel Fine
4. Yellow Submarine
5. Ticket To Ride
6. And Your Bird Can Sing
7. What Goes On
8. Norwegian Wood
9. Paperback Writer
10. She's A Woman
11. I Saw Her Standing There
12. Help!

ちなみにバンドのメンバーの中には後にグラス・シーンで活躍するジョー・ヴァル(m)が在籍していました。サポート・メンバーとしてフィドルにバディ・スパイカーが加わり、全体のサウンドを引き締めています。

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by scoop8739 | 2005-07-12 20:34 | ビートルズ・ソング

107 エレキ・インスト(3)

ブルーグラスとエレキ・インスト(とくにヴェンチャーズ・バンド)との共通点を探ってみましょう。まずどちらも「時流に乗っていない(メジャーになりきれていない)」という意味では、非常に似通った環境にあります。この「時流に乗っていない」について、ギター奏者で長年メシを食っている、つまりプロとして堂々人生を歩んでいる、Dr.Kこと徳武弘文氏がこう話されています。

a0038167_1311396.jpg「昭和26年生まれの私の多感なる青春時代は、あの空前のエレキ・ブームに遭遇し、現在の人生があると言い切れるのです。同じようにその時代を過ごされた方々も今は50代くらい、幸い私はギター奏者としての職業を選ぶ事が出来ました。しかしプロの仕事と言うのはみな共通しているのでしょうが、恐ろしく現実的な作業に徹しなければ成り立たない物でもあります。様々なアーティストのバックや商業的な仕事をこなすうちに、本来やりたかった自分自身の姿を見失って行くものです」と、まぁ、青春時代に巡り会った音楽への強い思いと、その音楽を職業にした時のギャップなんかを語っています。

「実際、エレキ・インストのバンドなんて古いだの流行らない、売れないとか、さんざん言われているのも事実です。そんな時代を経て行く中で1996年に、あの、日本にロックンロールのグルーヴを伝来させた黒船のようなヴェンチャーズのドラマー、メル・テイラー氏が亡くなられ、社会的に見てもあまり話題とはならず、音楽という文化の認識の低さを感じ、もう一度原点に戻り音楽に対するリスペクトを表すため、エレキ・インストを再構築してみようと“Dr.K Project”としてパフォーミングをする形となりました」

このように徳武弘文氏は、エレキ・インストというものが「時流に乗っていない」事実を認識した上で、それでも「もう一度原点に戻り音楽に対するリスペクトを表すため」に、(恐ろしく現実的ですが)収入が安定するプロの仕事を一旦お休みしてまで、大好きな音楽に没頭したい(ただし、こっちでもシッカリ稼いでいますが…)と言い切っています。

彼をそこまでに駆り立てるもの、それは多感な青春時代に遭遇したヴェンチャーズの存在があったからなのです。ホームページを検索してみますと、同じような思いを抱くおやじヴェンチャーズ・バンドは日本国中あらゆるところに幾多と存在します。彼らは精力的にライブ活動を行い、こともあろうかCDまでリリースしています。もちろんメジャー・レーベルなどではなく、「宅録」といわれる簡単な録音設備でCDを制作し自主流通しています。有名なところでは東北は盛岡のモカ・バンド(http://www.msato.net/)なんかがそうですね。

a0038167_132588.gif「宅録」というと、この道の大御所(?)加山雄三さんもご自身のプライベート・レーベルからCDをリリースしています。これは日本のエレキ・インスト界を代表する豪華メンバーによる究極の宅録サーフ・コンピレーションで、加山さん自身も参加しています。あまり一般的ではないでしょうが、ディープなエレキ・インスト・ファンにはたまらない1枚かもしれません。ディープというと、ある意味ディープな親父ブルーグラス・バンドのみなさんも、彼らのパワーに負けずに「宅録」でCDを制作して自主流通してくださいませんか?

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by scoop8739 | 2005-07-10 13:07 | 異ジャンル交流

106 エレキ・インスト(2)

a0038167_20225097.jpg1995年に日本でも公開されたバイオレンス・アクション映画「パルプ・フィクション」(クエンティン・タランティーノ/監督・脚本)のサウンド・トラックとして使用されたのが、ディック・デイルの必殺曲「ミザルー」でした。ブルーグラス・ファンには馴染みの少ないディック・デイルという人は、「キング・オブ・ザ・サーフ・ギター」と呼ばれる、アメリカでは伝説化されているほどのギタリストです。

さて、この「サーフ」という音楽は、1960年代にエレキ・インストとヴォーカル双方の伝統を受け継いで、南カリフォルニアのビーチ・ミュージックから始まっています。前述の「ミザルー」のように高速でうねるような楽曲は、文字通りサーフィンのサウンド・トラックであり、そのディックがこのジャンルの名付け親とされています。しかしアメリカ本土はもとより日本でも、一般的に「サーフ・サウンド」は、当時からサーファーリーズの「ワイプ・アウト」やシャンティーズの「パイプ・ライン」という曲の方が知名度は高かったように思えます。またヴォーカル・グループのサーフ・ソングを定義づけたのは、言うまでもなくあのビーチ・ボーイズでした。そんな訳で、残念ながら日本ではディック・デイルはあまり知られていません。

ところで、この映画「パルプ・フィクション」のヒットから火がついて、我が国の音楽シーンでは突然のように「サーフ・ミュージック」がブレイクし始めます。これはまるで、2000年にブルーグラス界を席巻した「オー・ブラザー!」現象のように、エレキ・インスト界でも同じようなことが起こったのです。そしてその中心となったのが中シゲヲ(プリンス・オブ・ザ・サーフ・ギターと呼ばれています)率いる「サーフ・コースターズ」でした。彼らは古き良きエレキの「テケテケ・サウンド」を、現代のリズム、グルーヴ感でパワフルに演奏しています。

a0038167_2019513.jpg彼らは当時、日本中を席巻したエレキ熱そのものまでも再現するかのごとく、ライヴでは必要以上に全身全霊を込め、ほとんどデス・メタル並のエネルギーで気迫あふれるパフォーマンスを見せてくれます。観客の方も、往年のモズライト・サウンドを堪能することよりも、怒涛の弾き倒し攻勢に圧倒されることを快感に多いにノリまくっています。

またリリースされる彼らのCDは、その勢いを重視する意味でどの作品もほぼ一発録りなのだそうです。かのヴェンチャーズはリズムのタイトなグルーヴ感といい、正確なピッキングといい、相当高度なテクニックを持っていたのですが、このサーフ・コースターズはヴェンチャーズの演奏レベルを維持しつつ、あの爆発力を展開しているという意味では実は相当に腕達者な連中揃いということになります。そんなサーフ・コースターズの熱いパフォーマンスに対バン張れるようなブルーグラス・バンドはどこかにいませんか? (つづく)

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by scoop8739 | 2005-07-06 20:27 | 異ジャンル交流