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89 心の痛み

(Pain In My Heart)

1975年の日本公演を最後にトニー・ライスはニュー・サウスを去ります。この時彼は「二度とブルーグラスなんてやらないよ」という言葉を残しています。たしかにその直後に彼はカリフォリニアに住まいを移し、リチャード・グリーンらと共にデヴィッド・グリスマンをサポートして、ドウグ・ミュージックの完成に一役買うなど、ブルーグラスの世界から足を洗ったかのような動きをしています。

しかしトニーは、舌の根の乾くのを待てずに同年、「カリフォルニア・オータム」という名盤をリリースします。さらに77年には「トニー・ライス」、79年には「マンザニータ」と、2年おきにブルーグラスどっぷりのアルバムをリリースしています。この間、たとえ僚友サムブッシュがレオン・ラッセルとロックに活路を求めようとも、リッキー・スキャッグスがニュー・カントリー路線で華々しい世界に躍り出ようとも、トニーはもっともラディカルな方法論的実践者としてブルーグラスの王道を走っていったのでした。

a0038167_1944571.jpgそしていよいよ1981年、彼は常日頃想い描いていたプランを実践させるために、そうそうたるメンバーをカリフォルニアに集結させ、「正調ブルーグラス・アルバム」を作ることを決意します。バンジョーにJ.D.クロウ、マンドリンにドイル・ロウソン、フィドルにボビー・ヒックス、ドブロにジェリー・ダグラス、ベースにトッド・フィリップスという、その時点での最高のミュージシャンたちと共に、彼はブルーグラス名曲集を完成させたのでした。これが名盤「ブルーグラス・アルバム」(以降シリーズとなります)だったのです。

このアルバムは、ブルーグラス音楽創成期のフラット&スクラッグスの曲を中心に、ビル・モンロウや、オズボーン・ブラザーズ、ジミー・マーチンらの名曲を交え、トニーにとっては「ブルーグラスの方法論的実践者」の面目躍如たるアルバムに仕上がっています。この中に収録されているフラット&スクラッグスが1951年に録音した「心の痛み」は、J.D.クロウがスクラッグスを完全コピーし、トニーがレスター・フラットのような枯淡のリード・ボーカル、ドイル・ロウソンがカーリー・セクラーもどきの哀愁のテナー・ボーカルを聴かせてくれます。
Tony Rice / The Bluegrass Album Vol.1 (Rounder)

この曲のオリジナルは言わずと知れたレスター・フラットとアール・スクラッグスのフォギー・マウンテン・ボーイズです。彼らはコロンビアとレコーディング契約したものの、マーキューリーとの契約曲数が消化されておらず、1950年10月21日にこの曲を含む8曲がレコーディングされました。コロンビア移籍を前にして、彼らの意欲的でパワフルでスインギーなドライヴィング・ブルーグラス・サウンドが炸裂します。
Lester Flatt, Earl Scruggs & The Foggy Mountain Boys / The Complete Mercury Sessions (Mercury)

オズボーン・ブラザーズの代表曲の数々全24曲を、1980年代に再録音したオズボーンズのベスト曲集決定盤がCMHからリリースされてます。この中にこの曲も収録されています。
The Osborne Brothers / The Bluegrass Collection (CMH)

ビル・キースがデヴィッド・グリスマン・グループと組んで作ったアルバムにもこの曲は収められました。ギターはトニー・ライス、フィドルにリッキー・スキャッグス、ドブロにジェリー・ダグラス。当時もっとも活きのいいプレイヤーとの共演でした。
Bill Keith / Something Bluegrass (Rounder)

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by scoop8739 | 2005-04-30 19:52 | 不朽の名曲

88 45号列車

(Train 45)

現代民謡の父、ウディ・ガスリーによって歌われた「900マイルズ」も、フォーク・ブルースの「オールド・ルーベン」や、「ルーベン・トレイン」や、「ルーベン・ブルース」などもみなこの曲の違った呼び名です。最初はフィドル曲として演奏されていましたが、スタンレー・ブラザーズがレパートリーに取り入れるや、彼らの18番とまで言われるくらいにあまりにも有名になりました。

a0038167_2001860.jpg彼らのバージョンでは、カーターを狂言廻しにしてメンバーとのダウンホームな寸劇が展開されます。カーターの「どこへ行くんだい?」との問いかけに、“タウザー・マーフィー”ことアル・エリオット、“ダッド・ネイチャー”ことビル・ネイピア、“フィドリング・メーヨー”ことラルフ・メーヨーの3人がそれぞれ故郷の地名を答えています。たとえば「俺らは、ヴァージニアのディッケンスン・カウンティのちっぽけな農場に帰るんだ」という具合にです。
The Stanley Brothers / Ridin' That Midnight Train (Westside)

ジミー・マーチンのバンド、サニー・マウンテン・ボーイズもこの曲をレパートリーに加えていました。ここではポール・ウィリアムスの火の出るようなマンドリン・ワークとJ.D.クロウのバンジョー・プレイが聴かれます。この曲が録音された1961年当時は、ブルーグラス界でもステレオ録音が始まっていて、マンドリンとバンジョーが左右のスピーカーを行ったり来たりして、ずいぶんとステレオ効果を意識したレコーディングとなっています。
Jimmy Martin / Jimmy Martin and the Sunny Mountain Boys (Bear Family)

J.D.クロウは、ジミー・マーチンの下から独立して自らのバンド、ケンタッキー・マウンテン・ボーイズを結成します。ここに集まったのがマンドリンにラリー・ライス(トニー・ライスの実兄)、ギターにドイル・ローソン、フィドルにはボビー・スローンというメンバーでした。このメンバーで作られたのがアルバム「ブルーグラス・ホリデイ」です。この中にも「トレイン45」が収録されています。
J.D Crowe & The Kentucky Mountain Boys / Bluegrass Holiday (Rebel)

J.D.クロウにとって、この曲はたいへん縁の深い曲です。「ニュー・サウス」リユニオン・バンドの1987年のライヴでも演奏されています。マンドリンのリッキー・スキャッグス、ドブロのジェリー・ダグラスの円熟味の増したパワフルな演奏が聴かれます。
Various Artists / Bluegrass The World’s Greatest Show (Sugar Hill)

ビル・モンロウの息子、ジェイムズ・モンロウとミッドナイト・ランブラーズが、名盤「ビーン・ブロッサム」の中でこの曲を演奏しています。ビルのしゃべりにとても似たジェイムズの曲紹介に続いて、心地よいバンジョーのイントロが始まります。
Bill Monroe & Various Artists / Bean Blossoms (MCA)

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by scoop8739 | 2005-04-26 20:03 | 不朽の名曲

87 グッド・ウーマンズ・ラヴ

(Good Woman’s Love)

ニュー・グラス・リバイバル(以後N.G.R.)は、彼らのデビュー・アルバムでブルーグラス・ファンに大きなショックを与えた後、しばらくレコーディングから遠ざかっていましたが、ベースがブッチ・ロビンスからジョン・コーワンに代わると、ますますヒート・アップしていきます。

ジョンのボーカルは、ブルーグラスらしからぬ極端に喉をひっつめたような歌い方で、たちまちのうちにN.G.R.をカントリー・ロック路線へと向わせてしまいました。そしてさらに彼のファンキーなロック・ベースは、サムや他のメンバーが体質的に持ち合わせていたロック感覚をみごとに昇華させてしまったのです。

a0038167_19435427.jpgさて、ブルーグラスではお馴染みのこの曲も、N.G.R.にかかれば完全にロックになってしまいます。しかし原曲の持つシンプルな美しさは、たとえロックにアレンジされても少しも損なわれることなく、逆に美しさが一層強調されています。そういう意味ではこのアレンジは大成功なのでしょう。それにしてもジョンの張りつめたファンキーなボーカルはこの歌にピッタリですね。
New Grass Revival / Fly Through The Country (Flying Fish)

それから7年後の1982年、N.G.R.はサムとジョンを残してメンバー・チェンジしライヴを行っています。前作までのオリジナル・メンバー、コートニー・ジョンソンに代わって、バンジョーを弾いているのがベラ・フレック、そしてギターのカーティス・バーチに代わったのがパット・フリンです。ベラは、それ以前にジャック・トトルらと「テイスティ・リックス」というバンドに在籍していましたが、バンドの解散と同時にN.G.R.に移籍しています。このライヴでもジョンのパワフルなボーカルが聴かれます。
New Grass Revival / Live (Sugar Hill)

カントリー界の名ソングライター、サイ・コウブンの手になるこの曲も、カントリー・ジェントルメン風の味付けがなされるとまた違って聴こえます。この曲はジェントルメンがフォークウェイズからリリースした最初のアルバムに収録されています。ドブロはジョン・ダフィーが弾いていました。
The Country Gentlemen / The Country Songs - Old & New (Smithsonian Folkways)

ケンタッキー・カーネルズのライヴ・アルバムではローランドとクラレンスのホワイト兄弟のデュエットで歌われます。間奏のギターとマンドリンが必聴です。
The Kentucky Colonels / Livin' In The Past (Sierra)

1975年発表のトニー・ライスの第2作は、セルダム・シーンのジョン・スターリングがプロデュースをしています。ここでのトニーは若さをおさえて、わざとらしく渋く歌っている感じがします。
Tony Rice / California Autumn (Rebel)

「ボーダーライン」はウッドストック系のグループで、彼らが作ったこのアルバムはカントリー・ロックの隠れた名盤といわれてます。バンドの中心メンバーだったのはデヴィッドとジョンのガーシェン兄弟でした。彼らは1971年に完成したベアズヴィル・スタジオで働いていたジョンとジム・ルーニーに出会います。カントリー、フォークの影響を受けたデヴィッドとジョン、ジャズやブルースの影響を受けたジムの3人でボーダーラインはスタートします。このアルバムはブルーグラスのトラッド曲「ハンサム・モリー」で幕を開けます。そして4曲目にこの「グッド・ウーマンズ・ラヴ」が収録されています。
Borderline / Sweet Dreams And Quiet Desires (Avalanche)

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by scoop8739 | 2005-04-24 19:49 | 不朽の名曲

86 わらの中の七面鳥

(Turkey In The Straw)

バンジョーと言えばすぐにアール・スクラッグスの名を思い浮かべますが、こと演奏に関しては誤解を恐れずに書かせてもらうと、最も高度の音楽センスとテクニックを披露していたのがダン・リーノウではなかったでしょうか。

5弦バンジョーの奏法は、いわゆる三本指奏法(親指、人差し指、中指を使うスクラッグス・スタイル)のことですが、ダン・リーノウや元カントリー・ジェントルメンのエディ・アドコックに見られる共通した奏法は、既成の奏法にとどまらず、ツー・フィンガー・スタイルをも活用していることにあると思われます。それは彼らの演奏の中で、2コーラス目か3コーラス目にたびたび出てくる、親指と人差し指、または親指と中指の組み合わせによる三連音符、四連音符などを多用したアドリヴで聴くことができます。

スリー・フィンガー奏法も音符に直すと三連音符、四連音符も聴かれますが、彼らの場合はコード進行時におけるコード分解の方法にあります。つまり、これまでの奏法では、ただスリー・フィンガー・スタイルに乗せてメロディーが移行するだけだったのに対して、彼らの場合は、それまでのブルーグラスではほとんど使われなかったサスペンションとか、13thといったコードの応用に現れています。

エディ・アドコックはカントリー・ジェントルメンに加入する以前に、しばらくダン・リーノウ宅に寄宿していろいろとバンジョーの手ほどきを受けていたとのことです。そういえばエディーの奏法にはダンとの共通点を多く見出すことができます。しかしエディーはさらに改良を加え、ダンに比べると音が簡素化され、整理されています。

a0038167_21133465.jpgこうしたブルーグラス・バンジョーの世界では異色のプレイヤーである2人が共演したアルバムが「センセーショナル・ツイン・バンジョーズ」なるものです。この録音には延べ8時間を費やしたと言われていますが、マイクを挟んで2人がお互いの指使いを見ながら、ほとんど即興的に和音の構成、ピッキングの打ち合わせがなされたのだそうです。その中の1曲に、フォーク・ダンス曲の「オクラホ・マミキサー」としてもおなじみの「わらの中の七面鳥」があります。イントロ直後から、いきなり2人のツー・フィンガー・デュエットが始まります。
Adcock & Reno / Sensational Twin Banjos (Rebel)

ビル・モンロウのブルー・グラス・ボーイズがピーター・ローワン、リチャード・グリーンを擁していた頃にこの曲を録音しています。ちなみにバンジョー奏者はラマー・グリア、ベースはビルの息子のジェイムズでした。
Bill Monroe And His Blue Grass Boys / Bluegrass Time (MCA) (CD化されていません)

アラン・マンデは「フェスティバル・フェイバリッツ」シリーズの第4集目にして、この曲を完璧なクロマティック・ロールで聴かせてくれます。
Alan Munde / Festival Favorites (Ridge Runner) (CD化されていません)

レスター・フラットのナシュヴィル・グラスの創設メンバーで、バンジョーを弾いていたのがヴィック・ジョーダンでした。彼はバンジョーの魅力をバウンスするところにあると言っています。“バウンス”という聞き慣れない言葉の意味は“はずむ”と表現でもするのでしょうか。この点をとくに強調したのがヴィックなのです。彼のソロ第一作のなかにもこの曲が収められています。あっと驚くヘッド・アレンジで演奏していますが、コード進行も幾分変わっているようです。
Vic Jordan / Pick Away (Polydor) (CD化されていません)

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by scoop8739 | 2005-04-23 21:16 | 不朽の名曲

85 シンク・オブ・ホワット・ユーヴ・ダン

(Think Of What You’ve Done)

ダン・フォーゲルバーグは、フォーク・シンガーとしてロサンゼルスを拠点に活動していますが、セッション・ミュージシャンとしての腕前も磨いて、1975年にはイーグルスのツアーにも参加したという経歴を持っています。彼が発表したアルバムはそれぞれ高い評価を得ていて、そんな彼の存在を広く世に知らしめたのが1979年のアルバム「フェニックス」でした。ここからシングル・カットされた「ロンガー」は全米で大ヒットしました。

a0038167_20255690.jpgさてそのダンが、デヴィッド・グリスマンのセッション・アルバム「ヒア・トゥデイ」のメンバーを丸ごと起用して作ったのが「ハイ・カントリー・スノウ」(邦題:遥かなる心と絆)というアルバムです。このアルバムにカーター・スタンレーの名作「シンク・オブ・ホワット・ユーヴ・ダン」が収録されています。この曲はスタンレー・ブラザーズの慣用語として有名な「オールド・ヴァージニア」が印象的に歌われた名曲中の名曲として知られますが、その内容は失恋の歌で、故郷のオールド・ヴァージニアで知り合った女に捨てられ、ひとり故郷で生きようとする純情な男の気持ちが歌われています。
Dan Forgelberg / High Country Snows (Epic)

前述のアルバムにも参加し、見事なまでのハーモニーを聴かせたリッキー・スキャッグスにとって、この曲はいわば「座右の曲」とでも言うのでしょうか、「ブーン・クリーク」時代にもレパートリーとしていましたが、ソロ・アルバムでもきっちりと聴かせてくれています。
Ricky Skaggs / Family And Friends (Rounder)

カントリー歌手としての栄光の代償に、契約上12年間以上もブルーグラスを録音することを禁じられていたリッキー・スキャッグスは、満を持して自らのバンド、ケンタッキー・サンダーを率いてアルバム「ブルーグラス・ルールズ」をリリースします。このアルバムの冒頭で「Country Rocks, But Bluegrass Rules.」と言っていますが、ここでの“Rock”は,「(人の心を)揺さぶる」という意味で、“Rule”も「(人間を)支配する」という意味なのだそうです。つまり「カントリー音楽には心を揺らす力があるが、ブルーグラスは人の人生を支配する力がある」と言っているのです。このアルバムにも「座右の曲」は収録されていました。
Ricky Skaggs & Kentucky Thunder / Bluegrass Rules! (Rounder)

Dr.バンジョーことピーター・ワーニックと、今やアメリカーナ系で最も重要なアーティストの一人と言えるマンドリンのティム・オブライエン、ホット・ギタリストのニック・フォスターらの素晴らしい才能が集まったグループがホット・ライズでした。彼らはブルーグラスが音楽産業として飛躍的に成長した80年代を駆け抜けたバンドとして多くのアルバムを残していますが、解散後の92年にリユニオンとして発表したアルバムの中でこの曲を歌っています。
Hot Rize / Take It Home (Sugar Hill)

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by scoop8739 | 2005-04-18 20:25 | 不朽の名曲

84 おじいさんの古時計

(Grandfather’s Clock)

1961年に正式にカントリー・ジェントルメンに加入したトム・グレイは、ブルーグラス界にフォー・ビートを持ち込みました。フォー・ビートを刻むベーシストとしては、彼以前にもセドリック・レインウォーターやジョージ・シャフラーといった人がいましたが、彼のそれは他の楽器ともよりマッチして、ブルーグラスをさらにダイナミックなものにしました。彼のベースにインスパイアされて、ジェントルメンはいろいろな曲を作り録音しています。

a0038167_17233956.jpg我が国では平井堅の歌でも有名になった「おじいさんの古時計」を、トムはカントリー・ジェントルメン時代からライヴの持ちネタとしています。彼らのフォークウェイズ第3作にして最初のライヴ・アルバム「オン・ザ・ロード」では、62年4月のアンティオーク・カレッジ編でこの曲が演奏されています。エディ・アドコックのパリパリしたバンジョーのブレイクに続いて、トムがベース・ソロを披露します。続くジョン・ダフィーのマンドリンのブレイクの後に、今度はスラッピングでベース・ソロをとります。
The Country Gentlemen / On The Road (And More) (Smithsonian Folkways)

トムはセルダム・シーンのライヴでも持ちネタを披露します。ジョン・ダフィーの巧妙なMCでこの曲に入っていきます。ジョン・スターリングが「トム、間違うなよ」と言った矢先に、イントロでバンジョーのベン・エルドリッジが間違ってみせるという軽いジョークが楽しいですね。それにしてもジェントルメンといい、シーンといい、トムの卓越したテクニックと安定したリズムがそれぞれのモダン・サウンド作りの大きなファクターとなっているのがよくわかります。
Seldom Scene / Recorded Live At The Cellar Door (Rebel)

この曲はトム・グレイのベース・ソロの印象が強いせいか、他に演奏している人は多くありません。そんな中、アラン・マンデが「フェスティバル・フェイヴァリッツ」シリーズの第2集でこの曲を取り上げています。間奏でのローランド・ホワイトのマンドリンが独特のいい味を出しています。
Alan Munde / Festival Favorites Volume 2 (Ridge Runner) (CD化されていません)

ベテラン・シンガーのマック・ワイズマンも古いカントリー・ソングを20曲揃えたアルバムでこの曲を歌っています。
Mac Wiseman / 20 Old-Time Favorites (Rural Rhythm)

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by scoop8739 | 2005-04-10 17:24 | 不朽の名曲

83 アッシズ・オブ・ラヴ

(Ashes Of Love)

a0038167_20492498.jpgサンフランシスコのロック・バンド「グレイトフル・デッド」を率いてきた故ジェリー・ガルシアは評判のブルーグラス・フリークでした。彼は1975年にデヴィッド・グリスマンらとともに「オールド・イン・ザ・ウェイ」をリリースしてブルーグラスに急接近したと思いきや、翌76年、フランク・ウェイクフィールドを中心とした「グッド・オールド・ボーイズ」なるバンドをプロデュースし、新たな仕掛けをしてきました。

このバンドはマンドリンのフランクに加えて、リード・ボーカルにカントリー・ロック・バンド「ニュー・ライダーズ・オブ・ザ・パープル・セイジ」のデビット・ネルソン、さらにバンジョーにドン・リーノウ、フィドルにチャビー・ワイズという豪華な布陣でレコーディングを行っています。

このアルバムのオープニング曲が「アッシズ・オブ・ラヴ」です。往年のカントリー・デュエット、ジョニー&ジャックとしておなじみのジョニー・ライトとジャック・アングリンの作で、彼らのヒット曲としても馴染みの深い曲ですが、こうしてブルーグラス・ヴァージョンとして聴いても何の遜色もありません。
Frank Wakefield & The Good Old Boys / Pistol Packin’ Mama (Liberty) (CD化されていません)

フランク・ウェイクフィールドと古くはコンビを組んでいたレッド・アレンが、デヴィッド・グリスマンらとアルバム「ブルーグラス・リユニオン」を制作しています。このアルバムではジェリー・ガルシアがしゃしゃり出て来て“美味しいとこ取り”してこの曲を歌っています。
Bluegrass Reunion Band / Bluegrass Reunion (Acoustic Disc)

クリス・ヒルマンのメイン・ストリームでの活躍はバーズに始まり、フライング・ブリトゥ・ブラザーズ、マナサス、サウザー・ヒルマン・フューレイ・バンド、マッギン・クラーク&ヒルマンと、西海岸の重要なバンドで脇役を固めていました。そんな彼が1984年に発表したソロ・アルバムが「デザート・ローズ」です。このアルバムはイーグルス初期のものよりのどかで、かなりカントリーよりのカントリー・ロック・アルバムとなっています。とはいえ、ドブロのアル・パーキンス始め、ジェームス・バートン、バニー・リードン、バイロン・バーラインらの腕達者がバックを固めているので聴き応えは充分なものとなっています。この中の1曲に「アッシズ・オブ・ラヴ」が収録されています。
Chris Hillman / Desert Rose (Sugar Hill)

ジム&ジェシーの来日コンサートでも演奏されました。「恋のなきがら」という邦題もなかなか味わいがあっていいものです。いつ聴いてもマクレイノルズ兄弟のコーラスは透き通って綺麗ですね。
Jim & Jesse & The Virginia Boys / Back in The Tokyo Again (Vivid Sound)

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by scoop8739 | 2005-04-09 19:12 | 不朽の名曲

82 ビューグル・コール・ラグ

(Bugle Call Rag)

J.D.クロウは13才でバンジョーを始め、16才の頃アマチュア・コンテストに入賞します。この時、ケンタッキーのレキシントンを通りかかったジミー・マーチンに認められて、1956年にサニー・マウンテン・ボーイズに入団しています。ジミーのもとには1963年まで在籍し、21曲のレコーディングに参加しました。

ちなみにジミー・マーチンがそれ以降のバンジョー・プレイヤーに、J.D.のスタイルで演奏することを要求しているのは何故かというと、ジミーとJ.D.と2人で作り上げたサウンドこそが、ジミーの理想とするサニー・マウンテン・ボーイズのスタイルであり、それがすなわちJ.D.のように弾くということに他ならないからなのです。

a0038167_20582787.jpgさて、J.D.は1966年11月にもジミーのレコーディングに誘われていて、ここでは自らの名を冠した「クロウ・オン・ザ・バンジョー」という曲を残しています。実はこの曲、誰もがよく知っている名曲「ビューグル・コール・ラグ」のことだったのです。
Jimmy Martin & The Sunny Mountain Boys / You Don't Know My Mind (1956-1966) (Bear Family)

この「ビューグル・コール・ラグ」という曲は元々ジャズの名曲でベニー・グッドマン楽団の演奏でも有名ですが、ブルーグラスの世界でも、アール・スクラッグスが1961年に名盤「フォギー・マウンテン・バンジョー」に残し、ビル・モンロウも同年のアルバム「ブルーグラス・ランブル」(バンジョーはトニー・エリス)に収録するなど超有名曲となっています。
Bill Monroe & His Blue Grass Boys / Bluegrass Ramble (MCA)

先のJ.D.クロウのように演奏者によっては名前を変えて録音していますが、オズボーン・ブラザーズはアルバム「ボイセス・イン・ブルーグラス」で、この曲を「ビューグル・オン・ザ・バンジョー」とタイトルしています。ここではソニー・オズボーンのバンジョーが鮮やかにスクラミングしています。
The Osborne Brothers / Voices In Bluegrass (MCA)

ギタリストのトニー・ライスは「カリフォルニア・オータム」というアルバムでこの曲を取り上げています。バンジョーでおなじみのこの曲も、ギター・ソロで聴くとまた格別の味わいがあります。
Tony Rice / California Autumn (Rebel)

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by scoop8739 | 2005-04-08 21:01 | 不朽の名曲

81 聞こえないのかい

(Can’t You Hear Me Callin’)

ビル・モンロウの代表曲と言われる「聞こえないのかい」(Can`t You Hear Me Callin')は、モンロウのスタジオ録音としては、意外や意外、1949年にマック・ワイズマンとデュエットしたものしかありません。ではこの曲がどうしてこんなに有名になったのかと言うと、カントリー・ジェントルメンの名盤「フォーク・セッション・インサイド」を始め、多くのミュージシャンが取り上げたことでポピュラーになったと思われるのです。つまりは、ジェントルメンのジョン・ダフィーやリッキー・スキャッグスのようなモンロウズ・チャイルドによって、この曲は歌い継がれて不朽の名曲となったのです。

a0038167_2234878.jpgジョン・ダフィーにおいては、モンロウの影響なくしては存在し得なかったと言っても過言でないくらいのモンロウ・フリークであり、これは先のアルバムに収められているこの曲を聴くことでも明らかです。マンドリン・ワークといい、テナー・ボーカルといい、その影響の大きさが顕著にみられます。
The Country Gentlemen / Folk Session Inside (Copper Creek)

また、リッキー・スキャッグスがかつて在籍していたブーン・クリークというグループでも、1978年発表のアルバムにこの曲を残しています。なお、このアルバムは80年代のコンポラグラス・サウンドの基本とまで言われる名盤となっています。
Boone Creek / One Way Track (Sugar Hill)

かつてのボーイズでもピカ一のボーカリストだったのがデル・マッカリーでした。モンロウのトリビュート・アルバムで息子ロニーとのデュエットで聴かせてくれます。バッサー・クレメンツのイントロに続いて艶のある声でリード・ボーカルを歌い、コーラスではテナーに廻っています。
Del McCoury / True Life Blues(All Star Tribute to the Father of Bluegrass Music) (Sugar Hill)

ハーブ・ペダーソンは、ソロ・アルバム「サウスウエスト」でこの曲を歌っています。コーラス部分はハーブのダブル・トラックで、これはこれで面白い感じがします。ドブロに超ベテランのジョッシュ・グラヴィスが絶妙の間奏を聴かせてくれます。
Herb Pedersen / Southwest (Coline)

ローランド・ホワイトのソロ・アルバムでは、1976年当時のカントリー・ガゼットのメンバーがサポートしています。バンジョーにアラン・マンデ、ギターとテナーにケニー・ワーツ、ベースとハイ・バリトンにロジャー・ブッシュの3人です。ローランドのいぶし銀のような渋いボーカルにケニーとロジャーのコーラスが被ります。
Roland White / I Wasn’t Born To Rock’n Roll But I Love To
Cook (Ridge Runner)

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by scoop8739 | 2005-04-07 20:49 | 不朽の名曲

80 ソルジャーズ・ジョイ

(Soldier’s Joy)

a0038167_2024841.jpgクラシックの世界3大テノール(The Three Tenors)というとパヴァロッティ、ドミンゴ、カレーラスの3人ですが、これをもじったのが、アール・スクラッグス、ドック・ワトソン、リッキー・スキャッグスの3人による「The Three Pickers」です。2003年12月にはこの3人によるコンサートが催されました。

バンジョーのアール、ギターのドクは年齢もキャリアも超ベテランの上、まだまだ健在です。そこにバリバリ現役のリッキーのマンドリンがからみ、カーター・ファミリーやモンロウ・ブラザーズ、ブルーズからブルーグラスと、彼らの音楽の原点といったレパートリーを中心に演奏されます。しかし何よりもアールの音楽センスの凄さに感服します。またドクはその芸術的な伝統音楽をマイペースで聴かせ、リッキーは偉大な2人を卒なくフォローします。加えてアリソン・クラウスが見事なサイドマンぶりとハーモニーで3人をサポートし、他にもケンタッキー・サンダーやスクラッグスのファミリー&フレンズ・バンドが総出で応援しています。

このアルバムは、アールとドクというアメリカ音楽の珠玉の芸術をたっぷりと味わえる大秀作です。この中に「ソルジャーズ・ジョイ」が収録されています。リッキーによるクロハマー・スタイルのバンジョーに乗ってドクとアールのソロが展開します。それ自体、なかなか味わい深い作品となっています。
Earl Scruggs, Doc Watson and Ricky Skaggs / The Three Pickers (Rounder)

アパラチア山系サウス・カロライナと隣接する北ジョージアは南部の州です。この地方出身のフィドリン・ジョン・カースンはヒルビリー系音楽の最初の成功者となりました。これに続いたのがギド・タナーの率いるスキレット・リッカーズでした。彼らが1929年に残した録音にこの曲がありました。古い録音ですがこれまたいい味を出しています。
Gid Tanner & His Skillet Lickers / Old-Time Fiddle Tunes And Songs From North Georgia (County)

新しいアレンジで聴かせるのは、マーク・オコーナーがヨーヨー・マ、エドガー・メイヤーらとともに制作したブルーグラス作品集「リバティ!」です。これは、現代最高のチェリスト、フィドラー、ベーシスト、ヴァイオリニストが繰り広げるアメリカ音楽の旅とも言えるアルバムです。つまり、最高のアーティストたちの豪華な競演によって、異郷の音楽でありながら、どこか懐かしいアメリカン・トラディショナル・サウンドが堪能できる1枚なのです。スペシャルゲストとして、ジェイムズ・テイラーやアリソン・クラウスが参加していることも大きな話題を呼びました。バックも素晴らしいのですが、オコーナーのフィドルは魅力的で感動的です。何ともいえない荘厳な雰囲気の「ソルジャーズ・ジョイ」をお楽しみ下さい。
Mark O’Conner / Liberty! (1997 Television Mini-series) (Sony)

リン・モーリスのバンド・メンバーとして活躍するロン・ステュワートは、フィドル、バンジョーと、どちらの楽器にもプロフェッショナルなテクニックとセンスを持つアーティストです。フィドル奏者としての彼は、2000年にIBMAアウォード「最優秀フィドル・プレイヤー」を獲得しているほどの腕前です。彼のソロ・アルバムはリン・モーリスのプロデュースで、全13曲中6曲が彼のオリジナル作品で占められていて、この中にも「ソルジャーズ・ジョイ」が収録されています。
Ron Stewart / Time Stands Still (Rounder)

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by scoop8739 | 2005-04-06 20:23 | 不朽の名曲