カテゴリ:ブルーグラスの歴史( 39 )

17 ジム&ジェシー兄弟の多彩な音楽遍歴

a0038167_1643981.jpgジムとジェシーのマクレイノルズ兄弟は、ヴァージニア州南西部、つまりテネシー、ケンタッキー、ノース・キャロライナのそれぞれの州に接するサザン・マウンテン地域に生まれ育ちました。

この地域出身のブルーグラス・バンドとして有名なのがカーターとラルフのスタンレー兄弟ですが、彼らとジム&ジェシー兄弟を比較してみると全く違ったサウンドであることがわかります。つまりスタンレー兄弟のブルーグラスはストレートでハード系ですが、ジム&ジェシー兄弟の創り出すサウンドはソフト系なのです。それには彼らがたどってきた数多くの音楽遍歴が原因しているのでした。

1940年代後期に兄ジムがギター、弟ジェシーがマンドリンを弾きながらコーラスするというデュエット・コーラス中心のバンドを組みます。始めは兄弟デュオの代表的なグループであったブルー・スカイ・ボーイズやベイリー・ブラザーズなどの曲をレパートリーとしていたようですが、それから彼らが試みたのは、バンドにスティール・ギターやアコーディオン、ピアノ、オルガンといった楽器を導入しての、いわゆるウェスタン音楽というものでした。

この頃、一般的にブルーグラス・バンドがテネシー州を活動の中心にしていたのに対して、彼らはウィチタ、カンサスといった別の地方を目指します。その当時の彼らのレパートリーは“サンズ・オブ・パイオニアーズ”や“ライダーズ・オブ・ザ・パープル・セイジ”というウェスタン・バンドの曲でした。

その後オハイオへと移った彼らは、カンサス時代に知り合ったバンド仲間とゴスペル・ソングを歌うバンドを組みます。この時代にマンドリン、ギター、ベースという編成ではありましたが、ブルーグラス・スタイルでセイクレッド・ソングを歌うようになります。バンドにはブルーグラス音楽に欠かすことのできない楽器バンジョーがない代わりに、ジェシーのマンドリンが大活躍を始めます。これは後年、“マクレイノルズ・スタイル”とか“マンドリンのスクラッグス・スタイル”などと形容されるようになる、アール・スクラッグスのバンジョー奏法をマンドリンに取り入れたものでした。ジェシーの明解なアクセントをつけて弾くクロス・ピッキング奏法は、それまでのマンドリン奏法に対して革命そのものでした。

1952年になるとキャピトル・レコードと契約して本格的にブルーグラス音楽を演奏するようになります。しかし彼らの創り出すブルーグラス音楽が従来のブルーグラス・スタイルと明確に違うのは、ビル・モンローの影響下になかったという点です。

つまり、これまでのブルーグラス・プレイヤーの大半は、かつてブルー・グラス・ボーイズの一員としてビルに師事した人ばかりでした。ビルはメンバーに対し、「常に先人たちの創った“スタイル”、“テクニック”を徹底的に研究させ、伝統的“スタイル”を堅固に受け継ぐ」ことを要求しました。要するにビルの創り出すブルーグラス音楽は、“スタイル”を重要なポイントと考えていたのです。だから、たとえブルー・グラス・ボーイズから巣立っていったプレイヤーであっても、根本的にこの“スタイル”から離れるということはまずあり得ませんでした。

ジム&ジェシーがブルーグラス音楽へと演奏スタイルを変えていったのは、なるほど確かにブルー・グラス・ボーイズの影響がなかった訳ではありませんが、ところが、彼らは他の多くのプレイヤーのように、決してブルー・グラス・ボーイズをコピーすることによってブルーグラス音楽を取り入れたのではありませんでした。また、もし彼らが他のプレイヤーのようなアプローチでブルーグラス音楽を演奏していたのであったなら、彼らの音楽的魅力は永遠にそのスタイルの中に埋没してしまっていたことでしょう。

こういった点で、彼らは他のプレイヤーには決して真似のできない、いわゆる純カントリー調のレパートリー(強いていうと、モンロー流のブルーグラス・スタイルではないという意味)を、実に鮮やかにジム&ジェシー流のブルーグラス・スタイルで演奏することができたのです。

3の「アー・ユー・ミッシング・ミー」は彼らが初期にレパートリーにしていたルーヴィン・ブラザーズの作品です。1、2はこのルーヴィン・スタイルで作られています。6、7は自作のセイクレッド・ナンバーですが、スタンレー調で演奏されています。一押しのナンバーが9で、モチーフの新鮮さが曲調にまで浸透しています。10、11、15はどの観点からみても、彼らの典型的なスタイルで演奏されています、

First Sounds: The Capitol Years (Capitol )
1. I'll Wash Your Love From My Heart
2. Just Wondering Why
3. Are You Missing Me
4. I Will Always Be Waiting for You
5. Virginia Waltz
6. Are You Lost in Sin
7. Look for Me (I'll Be There)
8. Purple Heart
9. Air Mail Special
10. My Little Honeysuckle Rose
11. Waiting for a Message
12. Too Many Tears
13. My Darling's in Heaven
14. Two Arms to Hold Me
15. Is It True
16. A Memory Of You
(次回のつづく)

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by scoop8739 | 2004-08-15 16:44 | ブルーグラスの歴史

16 オズボーン・ブラザーズの果敢なる挑戦

a0038167_104227.jpg兄ボブと6歳違いの弟ソニーは、ケンタッキー州東部のハイドン郊外で音楽好きの父親のもとに生まれました。そして彼らの音楽キャリアのスタートは、第二次大戦後まもなく一家が移り住んだオハイオ州デイトンで始まります。

まず兄ボブがテキサス・ホンキー・トンク・スタイルのカントリー・シンガー、アーネスト・タブに憧れてエレキ・ギターを始めます。やがてビル・モンローを知ることによってブルーグラス音楽に急接近し、そしてバンジョー奏者のラリー・リチャードソンと出逢ってから、二人してロンサム・パイン・フィドラーズに加入したのです。

一方弟のソニーは、ラリーからバンジョーの弾き方を教わり、一日に睡眠時間がたったの2時間と言うほど練習に励む典型的なバンジョー狂いとなってしまいます。そして14歳の夏休み、ブルーグラスの虜となってしまったソニーは、休みを利用して兄のいるロンサム・パイン・フィドラーズのもとで練習を励みプロの道を目指します。

この1951年にはオズボーン兄弟はどういう縁なのか、ビル・モンローのブルー・グラス・ボーイズを休暇中だったジミー・マーチンと一緒にレコーディングを行っています。この後、兄ボブは徴兵により朝鮮戦争に出兵しますが、弟ソニーはというと、ジミーの誘いによって憧れだったブルー・グラス・ボーイズのバンジョー奏者に大抜擢されます。ソニーが14歳の時でした。

1953年8月に兄ボブが除隊すると弟ソニーもブルー・グラス・ボーイズを辞め、いよいよオズボーン・ブラザーズがスタートします。最初の録音はゲートウェイ・レコードでしたが、同じ頃、ブルー・グラス・ボーイズを辞めたジミー・マーチンが合流し、「ジミー・マーチン・アンド・オズボーン・ブラザーズ」と名を改め、今度はビクターでレコーディングを行います。

55年8月にオズボーン兄弟とジミーは分裂し、続いてレッド・アレンがブラザーズに合流、56年3月にはこのトリオでゲイトウェイにて最後の録音を行います。同年、メジャーのレコード会社MGMとの契約に成功し、それからは続々とヒット曲を連発してブルーグラス界を上り詰めていきます。

手始めに彼らはトリオによるコーラスに力を入れ、「ワンス・モア」という曲でオリジナリティあふれたコーラス、サウンドを作り出します。それからの彼らのトレードマークとなるこのスタイルは、ボブによるテナー・リード・ボーカルというものでした。それまでのボブはビル・モンローに代表されるように、ヴァースの部分でリードを取っていてもコーラス・パートでは突如テナー・シンギングに声質をかえていました。ところがこの曲ではコーラスに入ってもリードを歌い続けたのです。それも1オクターブ高い声でした。これによってバリトンを受け持っていたソニーがハーモニーではミドル・パートを受け持ち、レッドが最も低いパートを歌うことになり、ボブのボーカルが以前にも増して脚光を浴びることとなったのです。

オズボーン・ブラザーズ初期の作品はなかなか手に入りにくいのですが、次に挙げるボックス・セットで全てを網羅できます。ここには初めてボブがテナー・リード・シンギングを試みた「ワンス・モア」をはじめ、数々のオリジナル・ヒットを聴くことができます。

1956-68 (BOX SET)(Bear Family)
ディスク: 1
1. Who Done It?
2. Ruby Are You Mad?
3. My Aching Heart
4. Teardrops In My Eyes
5. Wild Mountain Honey
6. Down In The Willow Garden
7. Ho, Honey, Ho
8. Della Mae
9. She's No Angel
10. (Is This) My Destiny
11. Once More
12. Two Lonely Hearts
13. Lost Highway
14. Love Pains
15. It Hurts To Know
16. If You Don't, Somebody Else Will
17. Give This Message To Your Heart
18. You'll Never Know (How Much It Hurts)
19. I Love You Only
20. It's Just The Idea
21. Lonely, Lonely Me
22. Sweethearts Again
23. Blame Me
24. There's A Woman Behind Every Man
25. Fair And Tender Ladies
26. Each Season Changes You
27. The Black Sheep Returned To The Fold
28. At The First Fall Of Snow
29. Old Hickory
30. Old Joe Clark
ほかDISC4枚全114曲
(次回につづく)

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by scoop8739 | 2004-08-11 10:05 | ブルーグラスの歴史

15 ジミー・マーチンとサニー・マウンテン・ボーイズ

a0038167_17312770.jpgブルーグラスの世界では「ミスター・グッドゥン・カントリー」とか、「キング・オブ・ブルーグラス」と呼ばれて、強烈な個性で人気抜群なのがジミー・マーチンです。

強烈な個性の由縁は、ギンギラのコスチュームだったり、あまりにもオーバー過ぎるアクションだったり、泥臭いボーカルだったりと、その印象はネガティブに思えますが、どうしてなかなか、タイミングよく入るリード・ギター奏法、誰にも真似のできないフレーズ、ピッキング、そして各楽器の持ち味を最大限に生かすアレンジ、それらから醸し出されるブルーグラス・サウンドや歌唱法と表現力、これがジミー・マーチンの個性なのです。

1949年、マック・ワイズマンに代わってブルー・グラス・ボーイズに入団したジミーは、約5年間リード・シンガーとギターを務めビル・モンローのよき女房役として大活躍します。1954年にブルー・グラス・ボーイズを退団したジミーは、オズボーン兄弟と力を合わせてバンドを結成し、数曲の録音を残しますが、やがて彼らと発展的にバンドを解散し、1956年には念願叶っていよいよ本格的に自らのバンドを結成することとなります。

バンジョーには当時17歳のJ.D.クロウを起用し、マンドリンにポール・ウィリアムスを迎えて、「ジミー・マーチンとサニー・マウンテン・ボーイズ」をスタートさせたのです。ジミーはサイドメンには厳しく、「サニー・マウンテン・ボーイズ」の一員としての誇りを持たせ、「オレの曲だけでメシを食え」と、強烈なワンマンぶりを発揮しバンドを引っ張っていきました。

とくに歴代のバンジョー奏者には、リズム・アクセントを強調し、ドライヴが全てと思われるスリー・フィンガー・ロールを完璧にこなすアール・スクラッグス・スタイルを徹底させます。以来、J.D.クロウを皮切りに歴代のバンジョー奏者はこのスタイルを守っていくことが最優先となっています。

1960年代初期に、ジミーのバンドはモダン・ブルーグラス時代の到来に即応してスネア・ドラムスを使用し、ポップ・コーラスのニュアンスも表面化しますが、底辺に流れているものは常にオーバー・ドライヴであり、エキサイティングなスイング感であり、そしてソリッドであるというブルーグラス音楽の奔流から決して外れてはいませんでした。

こうしてジミーは、いわゆるファースト・ジェネレーションとして常に他をリードしながら、ブルーグラス音楽を保ち、発展させ、今日の隆盛の基礎を作っていったのです。

そんなジミーのレコーディングの中からベスト盤を紹介します。デッカ時代初期の最高傑作と言われる1曲目「ソフロニー」、ドライヴのかかったブルーグラス・デュオのサンプル・ナンバーとして大人気の2曲目「ヒット・パレード・オブ・ラブ」、土曜日のオープリーの進行が目に浮かぶような楽しい内容を歌にした3曲目「グランド・オール・オープリー・ソング」、7曲目の「ホールド・ワッチャ・ゴット」はジミー自身の作曲によるリズミカルなナンバーです。その他、このアルバムはヒット・ソングがふんだんに収録されているベスト盤です。きっとジミーの魅力を十分に楽しんでいただけることでしょう。

The King of Bluegrass (Audium )
1. Sophronie
2. Hit Parade of Love
3. Grand Ole Opry Song
4. Rock Hearts
5. Ocean of Diamonds
6. I Like to Hear 'Em Preach It
7. Hold Whatcha Got
8. Mr. Engineer
9. This World Is Not My Home
10. Tennessee
11. Widow Maker
12. 20/20 Vision
13. Sunny Side of the Mountain
14. Steal Away Somewhere and Die
15. Free Born Man
16. Losing You
17. (I've Got My) Future on Ice
18. Milwaukee Here I Come
(次回につづく)

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by scoop8739 | 2004-08-08 17:32 | ブルーグラスの歴史

14 スタンレー・ブラザーズとサザン・マウンテン音楽

a0038167_10184892.jpgドン・リーノウがビルのもとを去った頃、ブルー・グラス・ボーイズに入団したのが、バージニア州南部クリンチ・マウンテン地域出身のカーター・スタンレーでした。彼は以前から弟ラルフとバンドを組んでいたのですが、ラルフが事故に遭い入院を余儀なくされたため、その期間だけの入団だったようです。

カーターとラルフのスタンレー兄弟は1946年にバンドを組み、当初は民族音楽の匂いが強いものを演奏していましたが、ビル・モンローがグランド・オール・オープリーでブルーグラス音楽を広めるに至って、彼らはこの音楽を自分たちのスタイルに取り込んでいきました。それまで古いバンジョー・スタイルで演奏していたラルフは、急遽スクラッグス・スタイルを習得します。

こうして新しく出てきたブルーグラス音楽を従来のマウンテン・スタイルでやってみようとする彼らの試みは、ラルフが回復した後にクリンチ・マウンテン・ボーイズを結成して実現されます。1950年代初頭に録音されたものに佳作が多く、その点ではビル・モンローやフラット&スクラッグスにも共通しているように思われます。

1960年以降のクリンチ・マウンテン・ボーイズは、マンドリンに代わって第2ギターを使うことが多くなりました。このバンドの特色はブル−グラス音楽以前のマウンテン・ミュージックとのつながりが他のバンドに比べて強いこと、それに関連して曲目には新しく作った曲よりも伝承曲(民謡)が多いことです。加えて兄弟2人の声の調和がとてもいいのが取柄で、物悲しく聴こえる歌声は他の追随を許さないものです。

1949年9月、彼らはコロンビア・レコードと契約しました。余談になりますが、このためコロンビアと契約していたビル・モンローはそれを嫌って11月にデッカ・レコードに移籍します。その理由は、「スタンレー・ブラザーズの音楽スタイルがビルのそれとあまりにも似ていた」ためでした。

話を戻しますと、コロンビアでは彼らの歌い方に微妙な変化が現れます。カーターのリード・シンギングの上にテナーとハイ・バリトンが乗っかるというトリオで、これ以降このスタイルはスタンレー・ブラザーズ独特のものとなります。

Complete Columbia Recordings (Columbia/Legacy)
1. Vision of Mother
2. White Dove
3. Gathering Flowers for the Master's Bouquet
4. Angels Are Singing (In Heaven Tonight)
5. It's Never Too Late to Start Over
6.Have You Someone (In Heaven Waiting)
7.Little Glass of Wine
8.Let Me Be Your Friend
9.We'll Be Sweethearts in Heaven
10.I Love No One But You
11.Too Late to Cry
12.Old Home
13.Drunkard's Hell
14.Fields Have Turned Brown
15.Hey! Hey! Hey!
16.Lonesome River
17.Man of Constant Sorrow
18.Pretty Polly
19.Life of Sorrow
20.Sweetest Love
21.Wandering Boy
22.Let's Part the Best of Friends
(次回につづく)

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by scoop8739 | 2004-08-05 10:20 | ブルーグラスの歴史

13 ドン・リーノウとレッド・スマイリーの独自性

a0038167_10404258.jpgビル・モンローのブルー・グラス・ボーイズからレスター・フラットとアール・スクラッグスが退団した直後に加わったのが、南キャロライナ出身のバンジョー奏者ドン・リーノウです。わずか1年という短さではありましたが、彼はモンローの指導のもと、スクラッグス・スタイルを手本としてブルーグラス音楽を演奏してきました。

そしてビルのもとを去った後の1949年、ノース・キャロライナ出身のギター奏者でシンガーであるレッド・スマイリーとバンドを組みます。ここでのドンのバンジョーは、ブルーグラス音楽の定番であるスクラッグス・スタイルに加えて、ウェスタン・スウィングのギター奏法や、スティール・ギターの奏法から学び取ったと言われる彼独特のスタイルで演奏されるようになります。古いディキシーランド・ジャズ曲を演奏したり、和音を多く使うなど、またリズムにもそれが現れています。

レッド・スマイリーは、ブルーグラス音楽には珍しく非常に甘くて暖かな歌い方をします。ドン・リーノウのテナー・ボイスはかなり張りつめた感じのものですが、レッドの声と重なるといい感じに聴こえます。この2人のコーラスがバンドの特徴にもなっているのです。

また、このバンドは舞台上でメンバー全員が軽喜劇を演じて見せたり、カントリー&ウェスタン風の歌い方をする電気ギター奏者を加えている点でも他のブルーグラス・バンドとは趣きを異にしていました。

彼らはフラット&スクラッグスと同じように数多く残していますが、その中から初心者に親しみやすいベスト盤をお奨めしましょう。ほとんどの曲が彼らのオリジナルです。

20 Bluegrass Originals(Deluxe)
1. I Know You're Married But I Still Love You
2. Pretending
3. Banjo Signal
4. Trail Of Sorrow
5. Signed, Sealed And Delivered
6. Tally Ho
7. I Wouldn't Change You If I Could
8. Tennessee Cut Up Breakdown
9. Please Remember That I Love You
10. Banjo Special
11. Let's Live For Tonight
12. Money Marbles And Chalk
13. Bringing In The Georgia Mail
14. Emotions
15. Don't Let Your Sweet Love Die
16. Tenessee Stomp
17. Greenback Dollar
18. I'm The Talk Of The Town
19. Mountain Rosa Lee
20. Freight Train Boogie
(次回につづく)

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by scoop8739 | 2004-08-04 10:41 | ブルーグラスの歴史

12 フォギー・マウンテン・ボーイズの変身と成功

レスターとアールの人気は1950年代の中頃までにはアメリカ東南部の隅々まで行き渡り、この地方すべてのラジオ局で取り上げられるほどになっていました。彼らの名声と人気はテネシー州の大きな製粉会社まで聞き及び、このマーサ・ホワイト社は彼らをナッシュビルに呼んで新しくラジオ番組をスタートさせ、カントリー歌手ならみんなが憧れる「グランド・オール・オープリー」の舞台に立たせたのです。こうして彼らが何よりも不安だった経済的な心配の一切をマーサ・ホワイト社が解消してくれたので、ますます演奏活動に没頭することができました。

1948年の結成以来、フォギー・マウンテン・ボーイズの看板となっていたハードなブルーグラス・サウンドは、マーサ・ホワイト社というスポンサーの出現で起きた経済的な余裕と相まって、50年代中頃にドブロ奏者バック・グレイヴスが参加したことによって徐々にソフィスティケイトされたサウンドへと変貌していきます。こうした緩く心地よいサウンドは、パワフルでもソウルフルでもなく、ハードでハイロンサムなブルーグラス・サウンドを求めるファンに一抹の淋しさを与えますが、結果的に彼らの変化は功を奏することになるのです。

それは南部のマーケットに「ロカビリー」がもたらされた時に具現化しました。ロカビリー音楽の流行は、伝統的性格を持つ音楽のすべてをアンダーグラウンドに追いやります。もちろんブルーグラス音楽も例外ではありませんでした。そんな中、マーサ・ホワイト社のバック・アップを得て経済的余裕のできたレスターとアールは、ソフィスティケイトされたカントリー音楽への接近を試み、そしてごく自然にカントリーの世界に溶け込んで人気を持続させたのでした。

彼らの成功は他のグループにも同じ道を歩ませることになりました。しかしそのほとんどは経済面での持続力を持たずに、ますます苦境に追い込まれていったのです。1955年から60年までのグルーグラス音楽はずっとモダンになったとはいえ、その主導権はレスターとアールによって握られ、さすがのビル・モンローやスタンレー・ブラザーズでさえ2人の後塵を拝するばかりでした。

ブルーグラス音楽にとって、この暗黒の時代は1950年代が終わろうとする頃になってやっと明るい兆しが見えてきます。キングストン・トリオの出現によってブルーグラス音楽は伝統的音楽のひとつのスタイルとして認識され、北部や西部の大学、さらにコーヒー・ハウスに生息地を見いだし始めます。

レスターとアールを筆頭に先見のあるバンドはフォーク・ミュージックのマーケットへ進出します。ここでも彼らはフォーク・グループとして比類のない成功を収め、ブルーグラス音楽のポピュラー化に計り知れない貢献を果たします。

さて、レスターとアールの全盛期を代表するアルバムを2枚紹介致します。まず1枚目は「フォギー・マウンテン・ジャンボリー」という、フォギー・マウンテン・ボーイズの数あるアルバムの中でもとくに素晴らしいと評されるスタジオ録音されたものです。何とも言えず心に滲みるレスターのボーカル、軽やかで躍動感のあるアールのバンジョー、そのほかフィドル、ドブロ、ベースのプレイのどれを取っても筆舌に尽くしがたいものを感じます。このアルバムにもブルーグラス音楽のスタンダードとなった曲が多数収められています。ブルーグラス初心者ならもちろんのこと、ディープなファンなら必ず手元においておきたい超名盤です。

FOGGY MOUNTAIN JAMBOREE (COUNTY)a0038167_9302135.jpg
1. Flint Hill Special
2. Some Old Day
3. Earl's Breakdown
4. Jimmie Brown, the Newsboy
5. Foggy Mountain Special
6. It Won't Be Long
7. Shuckin' the Corn
8. Blue Ridge Cabin Home
9. Randy Lynn Rag
10. Your Love Is Like a Flower
11. Foggy Mountain Chimes
12. Reunion in Heaven

2枚目はアールのバンジョーをフィーチャーした「フォギー・マウンテン・バンジョー」です。25分間というあまりに短い総収録時間にもかかわらず、この1961年の画期的作品は、今もって史上もっとも重要で影響力のあるアルバムと言われています。フォーク・ブーム真っ盛りに登場したこれら12のインスト曲に触発されて5弦のバンジョーを手に取り、アールの華麗なスリー・フィンガー奏法を真似ようとしたカレッジの若者は数知れないことでしょう。ポール・ウォーレンのフィドルとジョッシュ・グレイヴスのドブロは、ブルーグラス・バンジョーの礎を築いたアールとぴったり歩調を合わせています。フラット&スクラッグスのコレクションとしては、もっと決定的かつ総括的ものが他にありますが、本作はこれからも永遠の人気アルバムであり続けることでしょう。

FOGGY MOUNTAIN BANJO (COUNTY)a0038167_9284262.jpg
1. Ground Speed
2. Home Sweet Home
3. Sally Ann
4. Little Darlin' Pal of Mine
5. Reuben
6. Cripple Creek
7. Lonesome Road Blues
8. John Henry
9. Fireball Mail
10. Sally Goodin'
11. Bugle Call Rag
12. Cumberland Gap
(次回につづく)

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by scoop8739 | 2004-08-03 09:30 | ブルーグラスの歴史

11 ブルーグラス音楽の発展に貢献したフラット&スクラッグス

a0038167_14575442.jpgレスター・フラットとアール・スクラッグスほどブルーグラス音楽の発展に貢献したグループは他に例をみません。とくにアールの革新的なバンジョー奏法によるブルーグラス音楽への貢献は、その創成期から約60年に亘ってブルーグラスがよりポピュラー化するための手段において、ひとつの最も重要な要素となっていることは誰も否定することは出来ません。

全米的なヒットとなった数曲のブルーグラス音楽の内、「じゃじゃ億万長者」と「フォギー・マウンテン・ブレイクダウン」の2曲は、確実にアールの業績と断言しても過言ではありません。1960年代後期ブルーグラス音楽の上昇気流の中にあって、この2曲はファンにとって忘れることのできないものとなっています。このように、彼らはブルーグラス音楽を決して聴かなかったであろう場所にブルーグラス音楽を定着させ、同時にブルーグラス・スタイルのポピュラー化に果たした役割は筆舌に尽くしがたいものがあります。

レスターとアールは、ビル・モンローともに1945年から47年の2年間に28曲の録音を行い、その間に数多くの旅興行を重ね、モンロー・ミュージックを根底から支える原動力として活動してまいりました。こうしてビルの成功とブルーグラス音楽の普及に尽力を惜しまなかった2人は、連日連夜のハード・スケジュールに疲れ果てバンドを去り、それぞれの故郷へと帰ります。

ところが1948年夏、2人は自分達のバンド、フォギー・マウンテン・ボーイズを結成し、マーキュリー・レコードと契約を交わし再びミュージック・シーンに戻ってきます。そして51年までの3年間に計28曲を録音しますが、そのどれもが今日でもブルーグラス音楽のスタンダード曲として、あらゆるアーティストによって演奏され続けています。

1曲目「また逢う日まで」、3曲目「キャロライナの山小屋」、22曲目「恋人の腕に抱かれて」はアマチュア・バンドにとって入門曲であり、10曲目の「フォギー・マウンテン・ブレイクダウン」は不朽の名曲として誰もが一度は演奏するインストゥルメンタルの代表曲です。

The Complete Mercury Recordings (Mercury)
1. We'll Meet Again Sweetheart
2. God Loves His Children
3. My Cabin in Caroline
4. I'm Going to Make Heaven My Home
5. Baby Blue Eyes
6.Down the Roads
7.Bouquet in Heaven
8.Why Don't You Tell Me So
9.I'll Never Shed Another Tear
10.Foggy Mountain Breakdown
11.No Mother or Dad
12.Is It Too Late Now?
13.My Little Girl in Tennessee
14.I'll Be Going to Heaven Sometime
15.I'll Never Love Another
16.So Happy I'll Be
17.Doin' My Time
18.Pike County Breakdown
19.Preachin', Prayin', Singin'
20.Cora Is Gone
21.Pain in My Heart
22.Roll in My Sweet Baby's Arms
23.Back to the Cross
24.Salty Dog Blues
25.Will the Roses Bloom (Where She Lies Sleeping)
26.Take Me in a Lifeboat
27.Farewell Blues
28.I'll Just Pretend
(次回につづく)

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by scoop8739 | 2004-07-30 14:59 | ブルーグラスの歴史

10 ビル・モンローとブルーグラス・プラス・サムシング

a0038167_1131931.jpgブルーグラス音楽とは、1945年頃にビル・モンローが創り上げた音楽のことです。ビルが兄チャーリーとともに活動したモンロー・ブラザーズ時代から、彼のあのドライヴのかかったマンドリンとはりつめたテナー・ボーカルは当時活躍していた数多くのデュエット・チームの中でも群を抜いてユニークな存在でした。とくにあのスウィンギーでジャジーなアドリブは、今聴いても古臭さを感じさせないほど素晴らしいものです。このアドリブとドライヴ感こそが、そのままブルーグラス音楽の生命となった重要な要因だといえます。

ブルー・グラス・ボーイズを結成してから数年間の試行錯誤があり、そのスタイルさえ定まらなかったのですが、1945年に集められたメンバーによって彼の理想とするスタイルが確立されます。ビルのジャジーなマンドリン、アールの華麗なバンジョー、チャビーのスムーズなフィドルという強力なフロント・ライン。そしてブルーグラス・ギターの基礎を作ったといわれるレスターのGランを効果的に用いたリズム・ギター、セドリックのステディなベース。これらによってブルーグラス音楽の歴史が始まりました。そして1950年代始めにラジオ局のD.J.たちが、彼らブルー・グラス・ボーイズの演奏する今までのカテゴリーに収まらない音楽を称して、“ブルーグラス・スタイル”と呼んだことから、「ブルーグラス音楽」というジャンルが一般化したといわれています。

この60年ほどの歴史しかないブルーグラス音楽は、今日までに常に変動してきたことは前述しましたが、とくに60年代に入ってからは、それ以前の20年余りの間とは比べようのないくらい激しい変化に見舞われます。フォーク・リバイバルの動きとともに都会へと進出を果たし、その都会に育った若いミュージシャンたちの手によって、60年代後半以降のブルーグラスのモダン化は圧倒的な勢いで進行しました。70年代に突入すると、いわゆるニュー・グラスという形で最も端的に現れたのでした。

しかしビル・モンロー自身、そしてブルー・グラス・ボーイズの音楽は、そうした様々な外的あるいは内的な変化に流されることなく、常に自らの求める道を歩み続け、変化をたくみに自らの音楽に組み入れることによってブルーグラスのメイン・ストリームを守ってきました。時にはA&Rマンの圧力を受けてやむなく時流に押し流されそうになったこともありましたが、いつの間にかそれをも跳ね返し、自ら築き上げたブルーグラス・スタイルを守り通してきたのです。

彼は60余年にもおよぶ長いキャリアの中で、常に新しいサムシングを取り入れる努力を続け、時代の先端を行くブルーグラス・スタイルを創り続けてきたことは賞賛に値するものです。さらにビルは、永きに亘って“ファーザー・オブ・ブルーグラス”、“ミスター・ブルーグラス”と呼ばれ、常にブルーグラス界のトップの座に君臨してまいりました。この間に彼は多くのミュージシャンを育て、彼のもとから育った若いミュージシャンたち、たとえばビル・キースやリチャード・グリーン、ピーター・ローワンといったプレイヤーは、彼の教えを生かしたブルーグラス・プラス・サムシングの音楽にチャレンジし、またビルをアイドルとしてきたジョン・ダフィーやデヴィッド・グリスマン、サム・ブッシュらも、ビル・モンロー・トラディションをふまえた新しい独特のスタイルを生み出してきました。

彼が常に新しいサムシングを求め続けたということは、生前残してきた多くのレコーディングによって如実に示されており、それらのほとんどは現在でも多くのCDにまとめられています。今回はそんなビル・モンローの永いキャリアの中で創り出された作品を、レーベルの枠を越えて俯瞰的にとらえた4枚組のボックス・セットでご紹介します。

Music of Bill Monroe from 1936-1994 (Uni/MCA)
ディスク: 1
1. My Long Journey Home
2. What Would You Give In Exchange For Your Soul
3. Muleskinner Blues
4. Cryin' Holy Unto My Lord
5. Back Up And Push
6. Goodbye Old Pal
7. Heavy Traffic Ahead
8. Wicked Path Of Sin
9. It's Mighty Dark To Travel
10. Bluegrass Breakdown
11. Can't You Hear Me Callin'
12. My Little Georgia Rose
13. I'm On My Way To The Old Home
14. I'm Blue, I'm Lonesome
15. Uncle Pen
16. Lord Protect My Soul
17. Raw Hide
18. Brakeman's Blues
19. Sugar Coated Love
20. Christmas Time's A Coming
21. The First Whippoorwill
22. In The Pines
23. Footprints In The Snow
24. Walking In Jerusalem
ディスク: 2
1. Memories Of Mother & Dad
2. The Little Girl & The Dreadful Snake
3. Y'all Come
4. Sitting Alone In The Moonlight
5. On And On
6. White House Blues
7. Happy On My Way
8. A Voice From On High
9. Close By
10. Put My Little Shoes Away
11. Wheel Hoss
12. Cheyenne
13. You'll Find Her Name Written There
14. Roanoke
15. Blue Moon Of Kentucky
16. The Girl In The Blue Velvet Band
17. Used To Be
18. A Good Woman's Love
19. Cry, Cry Darlin'
20. I'm Sittin' On Top Of The World
21. I'll Meet You In The Morning
22. Scotland
23. Molly And Tenbrooks
24. John Henry
ディスク: 3
1. Big Mon
2. Dark As The Night, Blue As The Day
3. Sold Down The River
4. Little Joe
5. Lonesome Road Blues
6. I'm Going Back To Old Kentucky
7. Toy Heart
8. Nine Pound Hammer
9. Big Sandy River
10. Darling Corey
11. Salt Creek
12. Sailor's Hornpipe
13. Roll On Buddy, Roll On
14. Bill's Dream
15. Never Again
16. Dusty Miller
17. Midnight On The Stormy Deep
18. Soldier's Joy
19. Blue Night
20. Sally Goodin
21. Kentucky Mandolin
22. Walls Of Time
23. I Haven't Seen Mary In Years
24. The Dead March
25. With Body And Soul
26. Walk Softly On My Heart
27. Goin' Up Caney
ディスク: 4
1. Kentucky Waltz
2. Get Up John
3. Lonesome Moonlight Waltz
4. Rocky Road Blues
5. Jenny Lynn
6. My Old Kentucky And You
7. You Won't Be Satisfied That Way
8. Jerusalem Ridge
9. Ashland Breakdown
10. Come Hither To Go Yonder
11. My Last Days On Earth
12. My Sweet Blue-Eyed Darlin'
13. Travelin' This Lonesome Road
14. The Old Brown County Barn
15. Stay Away From Me
16. The Long Bow
17. The Old Cross Roads
18. Southern Flavor
19. Take Courage Un' Tomorrow
20. Pike County Breakdown
21. I'm Working On A Building
22. You're Drifting Away
23. Boston Boy
(次回につづく)

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by scoop8739 | 2004-07-29 10:40 | ブルーグラスの歴史

09 ビル・モンローとブルーグラス音楽の誕生

a0038167_13124199.jpg「ブルーグラスの父」と称されるビル・モンローは、それまで兄チャーリーと組んでいたモンロー・ブラザーズを解散し、一時期ストリング・バンドを結成していましたが、これはどうやら失敗に終わったようです。そして1939年にクレオ・デイヴィス(Cleo Davis/ヴォーカル、ギター)、アート・ウーテン(Art Wooten/フィドル)、ジム・ホルムス(Jim Holmes/ベース)らと結成したのがブルー・グラス・ボーイズでした(メンバーには他説あり)。このメンバーでオーディションに受かり、憧れの「グランド・オール・オープリー」に登場します。ここでビルは、1920年代に活躍したジミー・ロジャースという歌手が作って歌いヒットさせた「ミュール・スキナー・ブルース」という曲を、ギターを弾きながら歌っています。

バンドは何度かのメンバー交替の後、1945年にはレスター・フラット(ヴォーカル、ギター)、アール・スクラッグス(バンジョー)、チャビー・ワイズ(Chubby Wise/フィドル)、セドリック・レインウォーター(Cedric Rainwater/ベース)というメンバーに落ち着き、今日で言う「ブルーグラス・スタイル」で演奏をするようになりました。

ビル・モンローについては、この1945年前後がブルーグラス音楽の歴史上において最も大切な時期ですので、CDの解説をしながら話を進めてまいります。選んだCDは2枚組「ジ・エッセンシャル・ビル・モンロー」(Columbia/Legacy)というものです。

DISC1の1〜8は1945年2月13日の録音です。2曲目の「ケンタッキー・ワルツ」(Kentucky Waltz)は、ブルー・グラス・ボーイズにとって1946年最初のヒット曲として知られています。ここにはバンジョーが入ってなく、代わりにサリー・アン・フォレスター(女性)のアコーディオンの演奏が聴けます。同じく6曲目の「雪の上の足跡」(Footprints In The Snow)は、編成こそギター、マンドリン、フィドル、バンジョー、ベースの典型的なブルーグラス・スタイルなのですが、サウンド的にはいま一歩のように思えます。つまりブルーグラス・スタイルが確立される直前の録音と言うことになります。

そして歴史的な録音となるDISC1の9〜16は1946年9月16日に、17〜20が翌日の9月17日にと、この2日間での録音がブルーグラス誕生後初のものとなります。しかし各楽器間の相互作用はまだ今ほど込み入っていませんでした。

さらに同じメンバーで、DISC2の1〜8が1947年10月27日に、9〜16が10月28日に録音されました。このセッションは、前回に比べてみてもずいぶんとブルーグラス・スタイルが確立されているように思えます。

DISC1-12曲目の「トイ・ハート」(Toy Heart)、DISC2-1曲目の「懐かしいケンタッキーへ」(I'm Going Back To Old Kentucky)、同4曲目の「丘の上の小さな家」(Little Cabin Home On The Hill)、同14曲目の「モリーとテンブルックス」(Molly And Tenbrooks)では典型的なアップ・テンポのブルーグラスが聴かれます。

さらにDISC1-13曲目の「夏の日は過ぎて」(Summertime Is Past And Gone)ではトリオ・コーラスによるブルーグラス・ワルツが、そしてDISC2-8曲目の「オールド・クロス・ロード」(The Old Cross Road)ではスローな宗教歌のブルーグラス・バージョンが、また6曲目の「ブルー・グラス・ブレイクダウン」(Blue Grass Breakdown)では典型的なブルーグラス・インストゥルメンタルを聴くことができます。

この時期のブルー・グラス・ボーイズの魅力は、何といってもアールの独創的なバンジョー奏法に尽きます。スリー・フィンガー奏法を改良したもので、以降、ブルーグラス音楽のバンジョー奏法が確立されたと言われています。またそれだけでなくビルとレスターのデュエット・コーラス、そしてビルのマンドリン、チャビーのフィドルと、ブルーグラス音楽のソロ・スタイルの真髄が聴けることです。これらの要素によりブルーグラス音楽を強く特徴づけていくことになるのです。こうしてみると、この2回、計4日間のセッションこそ、まさにブルーグラス音楽が創り出される瞬間を収めた歴史的証言ということになります。

なお、DISC2の17〜20はレスター・フラットとアール・スクラッグスという二枚看板が抜けた直後の1949年10月22日の録音で、ヴォーカルとギターにマック・ワイズマン(Mac Wiseman)が入団し録音されたものです。残念ながらこの録音でのバンジョーは、ドン・リーノウ(Don Reno)ではなく、ルディ・ライル(Rudy Ryle)となっています。

ところで、ブルー・グラス・ボーイズは実にメンバー交替の激しいバンドで、1948年にはビルを除いてのメンバーが相次いでグループを離れ、独自にフラット、スクラッグス&ザ・フォギー・マウンテン・ボーイズを結成します。それ以来、夏期シーズンに行われるフェスティバルでは、毎年メンバーの誰かが新しく入れ替わっていたと伝えられています。のちに一家を成すドン・リーノウ(1949年ごろ)、ジミー・マーチン(Jimmy Martin/1950年〜1954年ごろ)、カーター・スタンレー(Carter Stanley/1951年ごろ)、ソニー・オズボーン(Sonny Osborne/1952年ごろ)、というプレイヤーたちも一時期ブルー・グラス・ボーイズに在籍し活躍していました。

The Essential Bill Monroe & His Blue Grass Boys(CLUMBIA/LEGACY)
DISC 1
1. Rocky Road Blues
2. Kentucky Waltz
3. True Life Blues
4. Nobody Loves Me
5. Goodbye Old Pal
6. Footprints in the Snow
7. Blue Grass Special
8. Come Back to Me in My Dreams
9. Heavy Traffic Ahead
10. Why Did You Wander
11. Blue Moon of Kentucky
12. Toy Heart
13. Summertime Is Past and Gone
14. Mansions for Me
15. Mother's Only Sleeping
16. Blue Yodel No. 4
17. Will You Be Loving Another Man?
18. How Will I Explain About You?
19. Shining Path
20. Wicked Path of Sin
DISC 2
1. I'm Going Back to Old Kentucky
2. It's Mighty Dark to Travel
3. I Hear a Sweet Voice Calling
4. Little Cabin Home on the Hill
5. My Rose of Old Kentucky
6. Bluegrass Breakdown
7. Sweetheart You Done Me Wrong
8. Old Cross Road
9. That Home Above
10. Remember the Cross
11. Little Community Church
12. Along About Daybreak
13. When You Are Lonely
14. Molly and Tenbrooks [The Racehorse Song]
15. Shine Hallelujah, Shine
16. I'm Travelin' on and On
17. Can't You Hear Me Callin'
18. Travelin' This Lonesome Road
19. Blue Grass Stomp
20. Girl in the Blue Velvet Band
(次回につづく)

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by scoop8739 | 2004-07-28 13:14 | ブルーグラスの歴史