カテゴリ:クリスマス・ソング( 21 )

146 クリスマス・ソングをブルーグラスで (11)

もみの木 (O Christmas Tree)

a0038167_19152922.jpgクリスマス・ツリーの由来は、ドイツに起源があるといわれています。モミの木に住む小人が村に幸せを運んでくれるという信仰から、花・卵・ロウソクなどをモミの木に飾り、その周囲を踊りで囲み、小人にいつまでも木に留まってもらう祭りがあり、これがクリスマス・ツリーの起源と考えられています。また、この小人がサンタクロースになったともいわれています。

常緑樹のモミの木は冬でも葉が落ちず、永遠の生命を象徴するものとして崇拝の対象とされていました。欧米のキリスト信徒の多くの家ではクリスマス・ツリーを飾ります。そして、その形も国によってずいぶん違いがあるようです。冬になっても枯れない常緑樹は、異教の慣習の中で永遠のいのちのシンボルとして、キリスト教以前から暗い夜の長い冬からいのちあふれる春になるまで家の中に飾られてきました。そして、永遠のいのちを喜び祝うこの行事がキリスト教に取り入れられたのです。といっても、今のように木を丸ごと1本飾ったわけではありません。つるしておいた、つまり、つるせる程度の枝だったわけです。

キリスト教の時代に入ってからもこの習慣は受け継がれました。イザヤ書の「レバノンの栄光は、糸杉、もみ、つげの木と共にあなたのもとに来て、わたしの聖所を輝かせる。わたしはわたしの足を置く場所に栄光を与える」(60.13)という言葉によって許されたとされています。教皇、聖グレゴリオ1世は、604年にカンタベリーの聖アウグスチティヌス司教にあてて、これらの木々の装飾を許可する書簡を送っています。

a0038167_2150286.jpgさて長い前フリとなりましたが、標題の「もみの木」は18世紀に作られたという古いドイツ民謡が原曲で、19世紀になってアウゲスト・ツァルナックが歌詞をつけてから、世界中で歌われるようになりました。有名なところではベルベット・ヴォイス、ナット・キング・コールが叙情たっぷりと歌うヴァージョンが一番の人気です。ブルーグラス界では、ラウンダー・レーベルから、今乗りに乗っているロンダ・ヴィンセントのタイトル曲を含む全18曲のクリスマス・ソングを収録した「O Christmas Tree」がリリースされています。この曲は、ブライアン・サットン(g)、ステュアート・ダンカン(f,m)、オウブリー・ヘイニー(m)、ダーリン・ヴィンセント(vo,bs)などが鉄壁のアンサンブルで彼女をバックアップしています。

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by scoop8739 | 2005-12-05 21:52 | クリスマス・ソング

145 クリスマス・ソングをブルーグラスで (10)

サンタクロースがやってくる (Here Comes Santa Claus)

a0038167_22212840.jpgいわゆる童謡的な扱いのものまで含めると、日本でも1950〜60年代に相当数のクリスマス・レコードが出ています。1952、3年頃のジャズ・ブームから、60年前後のロカビリー・ブーム、60年代後半のエレキ〜GSブーム、その他一般の歌謡曲歌手らにより、さまざまなレコード(ほとんどがシングル盤)が作られました。嬉しいことに、ここ10年位のCDリイシューのおかげで、現在かなり珍しい音源まで聴けるようになっています。そんな中にザ・ピーナッツの歌っていた「サンタクロースがやってくる」という曲があります。標題の曲とは同名異曲ですが、こちらも文字通りクリスマスの名曲です。

ところで、若い人はあまりご存じないと思われますが、ザ・ピーナッツというのは、昭和34年(1959年)に「可愛い花」という曲でデビューし、約16年におよぶ歌手活動の中で日本の歌謡界の一時代を担うとともに、テレビ草創期の象徴的存在であり、映画「モスラ」では「小美人」役に出演など、まさに日本の芸能史を語るに置いて欠くことのできない活躍をしてきた双子の姉妹です。昭和50年(1975年)に、「良い状態の時に惜しまれながらカッコよくやめたい」と、山口百恵の先を行くセリフを残して綺麗さっぱり引退してしまい、文字通り伝説となった歌手でした。

a0038167_2222029.jpgブルーグラス界で双子の美人姉妹というと、シャンクマン・ツインズがいます。彼女たちは今、マリブ・ストームというバンド名でカントリー・ポップスを演っていますが、かつてブルーグラスによるクリスマス・ソング「サンタクロースがやってくる」をリリースしています。ギターのイントロに続いてダナ・シャンクマンの力強く美しくコクのあるリード・ヴォーカルが始まり、ローレン・シャンクマンの美しいハーモニー・ヴォーカルが加わります。そして彼女たちの弾くバンジョーとフィドルの伴奏で味つけられて素晴らしい作品に仕上がっています。

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by scoop8739 | 2005-12-03 22:34 | クリスマス・ソング

144 クリスマス・ソングをブルーグラスで (9)

シルヴァー・ベルズ (Silver Bells)

12月に入ると世間はクリスマス一色となります。
a0038167_2242990.jpgと、自分で書いておいて恐縮ですが、寡聞にしてクリスマス色というのがどんな色だか知らないので、クリスマス一色という表現がどういう状態を表すのかよくわかりません。たとえば、「この四角の中をクリスマス一色で塗りつぶしなさい」と言われて、あなたにはそれが可能でしょうか。ちなみにカランダッシュのプロ用百数十色の色鉛筆セットを見ても、どこにもクリスマス色というのはありません(当たり前じゃい!)。

これが緑色とか紫色とかなら、一色というのは容易に理解できます。四角の中といわず、丸でも三角でも、ボクには塗りつぶす自信があります。いい大人が威張ったりするようなことでもありませんが、少なくともうちの女房よりは上手に塗りつぶせると思うのです。ただ緑一色の場合は、「發」を入れるかどうかについての地域性の問題もあるので、事前にルールを検討しておくことが必要でしょう。ツモピンや後ヅケについても同様です。おっと、麻雀の話ではなく、クリスマス一色の話でした。

で、街を見回すと、どうやら赤と緑と金色が多用されているようです。赤と緑と白であればイタリアン、もしくは大三元(まだ麻雀の話が続いている…)でしょうが、ここは豪気に「白」が「金色」になっています。ポスターを印刷屋に頼んでも、「いやあ、金は特色でっさかいなぁ…」と割増料金を取られるものと思われます。光沢を出すために箔押しでもしようものなら、「箔使いまんの? 高こうつきまっせ〜」の金色です。さすがに年に一度のクリスマスですから太っ腹です。世間が派手になるのも仕方ないことでしょう。

「金」が高いとなると「銀」ならどうでしょう。ま、あまり変わりはないと思うのですが、「金」の場合は「キンピカ」のイメージがあって「ど〜もねぇ…」とお考えの向きには、「銀」の場合は「いぶし銀」なんて表現があるように多少はイメージがいいようです。

ということで「シルヴァー・ベルズ」です。この曲はジェイ・リヴィングストンとレイ・エヴァンスが1950年に共作した、ゆるやかなワルツ調のクリスマス・ソングです。ボブ・ホープとマリリン・マックスウェル主演の1951年のパラマウント映画「レモン・ドロップ・キッド」の主題歌として作られ、映画の中ではクリスマスを迎えて雑踏する街頭シーンで、主演の二人がデュエットしています。これとは別に、ビング・クロスビーがキャロル・リチャーズとデュエットした盤も有名です。

1965年暮れにリリースされ、全米クリスマス・アルバムズ・チャートの9位にランクした「ベンチャーズのクリスマス・パーティ」にもこの曲が収められていました。このアルバムは、レイチャールズの「ホワット・アイ・セイ」のイントロを流用した「ジングル・ベル」を始め、お馴染みのクリスマス・ソングをいろいろなヒット曲のアレンジと合体させるという趣向になっていました。

a0038167_2336678.jpgさて、最も今らしいブルーグラス界のそうそうたるミュージシャン達によるインストゥルメンタルのクリスマス・アルバムが「クリスマス・グラス」です。アルバムには全15曲が収録されていて、演奏メンバーは、アリソン・クラウス(フィドル)、ロンダ・ヴィンセント(マンドリン)、リッキー・スキャッグス(フィドル、マンドリン)のほか、コディ・キルビー、ダニー・パークス(アコースティックギター)、ダーリン・ヴィンセント(ベース)、ロブ・アイクス(ドブロ)、ロニー・マッカリー(マンドリン)、スコット・ヴェステル(バンジョー)、スチュアート・ダンカン(フィドル)などといった豪華な顔ぶれとなっています。この曲はドブロのロブ・アイクスが中心となって演奏されています。

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by scoop8739 | 2005-12-02 23:39 | クリスマス・ソング

143 クリスマス・ソングをブルーグラスで (8)

山の上で告げよ (Go Tell It On The Mountain)

ピーター・ポール&マリー(PP&M)がアメリカでデビューしたのは1962年のことでした。その当時のボクはまだ小学校6年生で、ビートルズで初めてポップスを知り、以来、中学生から高校生になるまでは、イギリスのポップスやロック、ビーチ・ボーイズやモータウンやアトランティックなどアメリカのポップスやソウル・ミュージック、さらには日本の歌謡曲やポップスなど、それはそれは雑多な聴き方をしていて、PP&Mをじっくり聴くということはありませんでした。

a0038167_2153724.jpg後年、友人に勧められてPP&Mのサード・アルバム「イン・ザ・ウインド」を買ったところ、やっと、というか、遅まきながら彼らのハーモニーの素晴らしさに感動したものでした。さて、このアルバムの中にゴスペル・ソング「山の上で告げよ」(Tell it on the mountain)がありました。歌の内容は、「ジーザス・クライストが生まれたその喜びを、山の上から世界に告げよう!」というもので、もともとアフリカ・アメリカの黒人霊歌として伝わる歌なのだそうです。

PP&Mの歌っているヴァージョンは、オリジナルのストーリーを大きくアレンジして、キリストの誕生を、モーゼに率いられたイスラエル人のエジプト脱出に変えています(Man Come Into Egyptと同じストーリー)。イスラエル人とは、つまりユダヤ人のことですが、それは、ピーター自身がユダヤ人だからそうしたのかなと思っていたのですが、その翌年(1963年)、サイモンとガーファンクル(S&G)がアルバム「水曜の朝、午前3時」の中で、この曲を原文のまま、すなわちキリストの誕生を祝った歌としてレコーディングしています。ちなみにポール・サイモンもユダヤ人なのです。

どうしてPP&Mは内容を変え、S&Gはそのまま歌ったのかな?と、単純な疑問があったのですが、キリストが神の子であることを認めないユダヤ教の信者にとっては、歌手だからといってキリストに関する歌を作ったり歌ったりすることに抵抗はないのかなぁと思う訳です。一人のユダヤ人は歌は芸術であり、宗教に縛られることはないというのです。しかし、芸術とは自分の思想を表現するものであるはずで、どうしてポール・サイモンがキリスト誕生の歌をあえてレコーディングしたのか、まだ納得がいかないボクなのです。

a0038167_21504654.jpgというところで、この曲をブルーグラス・アーティストのティム・オブライエンも歌っています。ユニット・バンド「ニューグランジ」のクリスマス・アルバム「ア・クリスマス・ヘリテージ」(A Christmas Heritage)の中で、フィリップ・アアバーグのピアノ、ダロル・アンガーのヴァイオリン、アリソン・ブラウンのバンジョー、マイク・マーシャルのギター、トッド・フィリップスのベースという超豪華メンバーを従えて、マンドリンを弾きながら滔々と歌います。とてもゴスペルとは思えないジャージーなアレンジでオシャレな曲に仕上がっています。

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by scoop8739 | 2005-11-30 21:54 | クリスマス・ソング

142 クリスマス・ソングをブルーグラスで (7)

赤鼻のトナカイ (Rudolph The Red Nosed Reindeer)

a0038167_933720.jpgオールディーズ・ファンにはお馴染みの曲、「可愛いベイビー」や「ルイジアナ・ママ」など60年代のアメリカン・ポップスを漣健児(さざなみ・けんじ)のペンネームで訳詞し、ヒットさせたのが草野昌一さんでした。草野さんは父親が創業した新興音楽出版社に入社後、同社が出版する雑誌「ミュージック・ライフ」の編集長に就任します。その傍ら、昭和35年に故坂本九さんのデビュー曲「ステキなタイミング」を訳詞したのを手始めに、「ヴァケーション」などアメリカン・ポップスを翻訳して日本人歌手にカバーさせ、“洋楽普及の父”と呼ばれました。

草野さんの訳詞した曲は400曲を超え、その功績が認められて平成10年に日本レコード大賞功労賞を受賞、翌11年には藍綬褒章を受章しています。プロダクション経営でもチューリップやあべ静江、プリンセス・プリンセスらを世に送り出しています。

その漣健児訳詞のポピュラーなクリスマス・ソングが「赤鼻のトナカイ」です。ところで、この曲の「♪真っ赤なお鼻の〜」という歌詞の中にとても気になる表現があります。それは、サンタのおじさんが笑いものにされているトナカイを、「♪暗い夜道はピカピカのお前の鼻が役に立つのさ〜」と慰めている有名な部分です。

皆さんもご存じの通り、サンタ氏がクリスマス・イブの夜に子供たちにプレゼントを配るために使用しているのは、トナカイが引いている(空飛ぶ)そりです。元々の伝説ではトナカイ8頭だてでそりを引いているようですが、後世になってから「ルドルフ」という名の赤鼻のトナカイがトナカイたちの先頭に加わり、その光る鼻で霧の夜を照らしつつ夜空を駆ける、という物語が創作されたようです。

ところが、仮にサンタ氏が夜間、赤鼻のトナカイの「赤鼻」による明るさのみに頼り、日本国中を前照灯もつけないでそりを走行させた場合、道路交通法上、間違いなく1万円以上5万円以下の罰金に処せられる可能性があります。みんなの夢を担うサンタさんが犯罪者となることのないよう、サンタ氏にはぜひとも前照灯を装備したそりで子どもたちの家々をまわってほしいものです。

a0038167_20331831.jpg冗談はさておき、この曲のオリジナルは世界でもっとも有名な歌うカウボーイ、ジーン・オートリーでした。なお漣健児訳詞のこの曲を1961年に我が国で初めてレコーディングしたのは坂本九とパラダイス・キングでした。以来、我が国でもっともポピュラーな歌詞はこれとなりました。ところで、ブルーグラスの世界でこの曲を歌っているのはリン・モリスです。彼女はシティ・リミッツ・バンドを皮切りに、タイミングのいいバンジョーを弾くプレイヤーです。また同時に彼女はシンガー・ソングライターであり、今やアリソン・クラウスに並ぶ女性バンド・リーダーでもあります。

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by scoop8739 | 2005-11-29 20:38 | クリスマス・ソング

141 クリスマス・ソングをブルーグラスで (6)

ブルー・クリスマス (Blue Christmas)

クリスマス・シーズンとなると、街のあちこちにクリスマス・ツリーやリース、イルミネーションが飾られ、すっかり日本の年中行事となってしまいました。そういえば、クリスマスほど色が深く結びついているイベントは他にはないのではないでしょうか。クリスマスの色といえば、何といっても赤と緑でしょう。諸説いろいろあるようですが、赤と緑には次のような意味があるといわれています。

a0038167_22304186.gif赤は柊の実やポインセチアの色です。クリスマス・ツリーやリースには,必ずといっていいほど赤いオーナメントが飾られています。サンタクロースの衣装も赤です。また赤はキリストの血に見立てられています。さらに、太陽の炎と生命力を意味することもあるようです。

緑はクリスマス・ツリーやリースで使われる葉の色です。つまり常緑樹が永遠の生命の象徴とされていることによるものです。クリスマス・リースの緑色は農作物の成長を表すという説もあるほどです。

クリスマスの赤と緑はほぼ補色の関係にあるので、クリスマス・ツリーに飾られた赤いオーナメントは鮮やかさが増して見えます。二色を組み合わせると主張力が増大し、どちらか一方の色では物足りなさを感じます。この二色が街のあちこちで登場することで、日頃は雑然としていても連続性が感じられるのです。まさにテーマ・カラーと言えるでしょう。最近のクリスマス・ツリーは宝石箱のようにカラフルです。その中でも、赤と緑が全体を引き締めているようです。

さて、今回取り上げた曲は、「ブルー・クリスマス」です。この曲は、ビーリー・ヘイズが作詞し、ジェイ・ジョンソンが作曲した曲ですが、1949年にラス・モーガンがヒットさせ、1957年にエルビス・プレスリーが取り上げ大ヒットしました。その歌詞は、「君のいないと寂しいクリスマスになりそうだ。君を想うととても悲しくなる。クリスマス・ツリーの赤や緑の飾りも何の意味もない。君がここにいなければ」と、別れた恋人を想って一人寂しく過ごすクリスマスを歌ったものです。余談ながら「ブルー・クリスマス」というタイトルでありながら、ここでもクリスマス・カラーの赤と緑が歌われます。

a0038167_227866.jpgブルーグラスの世界では、この曲をラリー・スパークスがカーター・スタンレーばりの美声で歌っています。この曲は彼のクリスマス・アルバム「Christmas in the Hills」に収録されています。またデル・マッカリーもアルバム「Christmas on the Mountain: A Bluegrass Christmas」の中でハイロンサムに歌います。

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by scoop8739 | 2005-11-28 22:11 | クリスマス・ソング

140 クリスマス・ソングをブルーグラスで (5)

きよしこの夜 (Silent Night)

シンガーズ・アンリミテッドという、とてつもなく上手いコーラス・グループがいます。彼らはジーン・ピュアリングという人をリーダーとする男性三人、女性一人の四人組で、1967年にアメリカで結成されています。ジャンルで言うとジャズなのでしょうが、彼らの音楽はもっとはるかに広く深いように思われます。基本的にはアカペラ・コーラス・グループなのですが、多重録音によってメンバーの声をさらに重ね、四人とは思えないほどの厚く深い音像を作り上げているのも特徴的です。

a0038167_21302652.jpgそのシンガーズ・アンリミテッドが1972年に「クリスマス」という、とても単純なタイトルのクリスマス・アルバムをリリースしています。収録されている楽曲はトラディッショナル・ソングや賛美歌を中心とした古い時代に作られた楽曲ばかりです。しかし彼らの手にかかると、それらの曲は見事に生き返ったように瑞々しく聞こえるのです。アカペラ・コーラスであるから音像そのものはシンプルなのですが、人間の肉声というものがここまで表現力豊かに音楽的感動を呼び起こせるものなのかと驚いてしまいます。

アカペラは今でこそニグロ系音楽のもののようですが、もともとイタリア語で、そのスタイルは教会音楽の無伴奏コーラスに端を発しているらしいのです。その意味でも、このシンガーズ・アンリミテッドによるクリスマス・アルバムはまさに「正統派」とも言えるものかもしれません。もちろんこの曲「きよしこの夜」も収録されていて、彼らのアカペラの素晴らしさをまざまざと聴かせてくれます。

この曲は、有名なクリスマス・キャロルのひとつで、原詞の“Stille Nacht”は、ヨゼフ・モーアによってドイツ語で書かれ、フランツ・クサーヴァー・グルーバーによって作曲されました。そして世界中の300を超える言語に訳されたと言われていますが、もとはと言うと、1818年12月25日にオーストリアのオーベルンドルフの聖ニコラウス教会で初演されたものだそうです。

a0038167_21282443.jpgブルーグラスではセルダム・シーンによって歌われました。ギターとドブロの演奏をバックにブルーグラス独特のコーラスが聴きものです。たぶんこれもアルバム「Sugar Plums: Holiday Treats from Sugar Hill」のために録音されたものでしょう。

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by scoop8739 | 2005-11-26 21:28 | クリスマス・ソング

139 クリスマス・ソングをブルーグラスで (4)

ジングル・ベル (Jingle Bell)

いよいよクリスマスまで1ヶ月となりました。今年も女房殿が気合を入れて、我が家の玄関先アプローチには電照が賑やかに点滅し、ご近所の方々の夜の散歩コースとなっています。さて、クリスマス特集を組んでしまいましたので、毎日のようにクリスマス・ソングを聴き続けています。それにしてもクリスマス・ソングは名曲ぞろいなのにビックリしていまいます。

1857年にボストンの音楽家J.S.ピアポントが日曜学校の生徒のために作った古い歌が「ジングル・ベル」です。その時代のボストンでは冬になると一頭立ての馬そり競争が盛んに行われ、ウィンター・スポーツを兼ねた人々の楽しみとなっていましたが、この歌はそうした情景がヒントになって生まれた曲で、当初はクリスマスとは関係ないものでした。

クリスマス・ソングとしてのこの曲の日本語歌詞は、「ジングルベル ジングルベル 鈴が鳴る」の後に、お馴染みの 「今日は楽しいクリスマス、ヘイィ!」と歌う方が多いことと思われます。これはクリスマス・ソングとして定着した後、誰ともなくこのように歌ったのが、その歌いやすさとノリのよさから定着してきたものと思われます。いわば替え歌ですね。

最後に余談ですが、サンタのソリをひっぱるトナカイはメスだということを知ってましたか? トナカイはオスにもメスにも同様に立派な角があります。しかしクリスマスの時期、オスのトナカイには角がないのだそうです。強さの象徴とカッコよさのアピールのために必要だったオスの角は、秋にお嫁さんを見つけた後に抜けてしまい、逆に身ごもったメスは産前産後に赤ちゃんを守るために角が残る、という訳なのです。そうすると、サンタは妊婦さんをムチで叩いて働かせていたんですね。ア〜ア、また夢のない話で終わらせてしまった…。

a0038167_2303469.jpgカントリー・ジェントルメンはこの曲をレベル・レコードに残しています。録音されたのは1965年夏、メリーランド州ボルチモアでした。ジョン・ダフィ(m)、チャーリー・ウォーラー(g)、エディ・アドコック(bj)にベースのエド・フェリスを加えた4人組で、この時に「きよしこの夜」も同時に録音されています。これらの曲が聴かれるアルバムが「Christmas Time Back Home」です。

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by scoop8739 | 2005-11-24 23:01 | クリスマス・ソング

138 クリスマス・ソングをブルーグラスで (3)

クリスマスは我が家で (I'll Be Home For Christmas)

こんな企画を思いついたもので、毎日クリスマス・ソングばっかり聴いています。また最近の雑誌を眺めていたら、「ホーリーナイトの正しい過ごし方」とかなんとか特集していました。どうやらイヴには「聖なる夜は彼と二人、チャペルで賛美歌を…」なんてことになるのだそうで、もちろん日本にも信心深い方はいらっしゃるのだけれど、大方は無神論者、あるいは、仏教か神道か、まぁそんなところでしょう。

そんな日本人がクリスマスの声を聞いた途端に賛美歌を聞いて敬虔な気分になってしまう。しかも恋人と二人してチャペルでミサ、なんてことをおっしゃる。どうして根っからの無神論者が、親戚でもお友達でもなんでもないイエス・キリストさんの誕生日を聖なる気分でお祝いせにゃならんのでしょうや?

要するにクリスマスは口実で、「なんだか知らないけど西洋にゃクリスマスってめでたい日があるらしい、こいつはいい、めでたいんだから飲もう、騒ごう、プレゼントもらおう、商売しよう、儲けよう」と、それが日本流のクリスマスなわけで、とことんC調なノリで楽しむのが「正しい日本流のクリスマス」ってわけなのです。ということで私も毎日クリスマス・ソングを聴きながら楽しんでいます。ほ〜んと楽しいですね、年中クリスマスだったらもっと楽しいだろうな?

この曲は、プラターズの歌った「トワイライト・タイム」の作者として、またピアニストとしてよく知られているバック・ラムが、1943年にキム・ギャノン、ウォルター・ケントと共作したものです。ビング・クロスビーのレコードが同年12月にヒットし、ミリオンセラーとなっています。

“クリスマスには我が家へ帰ります。あなたは私をあてにしていいの。白い雪、ヤドリギの飾り、クリスマス・ツリーの下には贈り物を頼むわ。クリスマス・イヴにはきっと逢える。愛の光の輝くところ、クリスマスには我が家へ帰ります。たとえ夢の中でも…”

当時は第2次世界大戦中であり、愛する人と遠く別れて暮らす人々の心を強く捉えたことから、とくに愛好された曲でした。それでなくとも、この曲はいつ聴いても心を打たれるアット・ホームな魅力ある名曲だといえます。

a0038167_21263945.jpgエルヴィス・プレスリーやドリス・デイをはじめこの曲もいろいろな歌手で歌われますが、ブルーグラス界ではシンディ・ウィーラーという女性シンガーがデル・マッカリー・バンドを従えて歌っています。この歌手がどんな人なのかあまり知りませんが、ドブロの売れっ子ロブ・アイクスの在籍するブルー・ハイウェイのアルバムにもゲストで歌っていましたね。

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by scoop8739 | 2005-11-22 21:28 | クリスマス・ソング

137 クリスマス・ソングをブルーグラスで (2)

Christmas Time’s A-Coming

本来イエス・キリストの誕生を祝う神聖な日であるべきクリスマスは、今日の日本ではかなり変貌を遂げて、というか曲解されて、というか都合のいいように利用されて、どういう訳だか、異性を口説く日、プレゼントをもらう日、ケーキを食べる日、デパートの年末商戦の一部、パーティーの口実、あるいはユーミンの新譜が発売される時期、という風に定着してきました。

子供の時分には何となくバタ臭く感じた「クリスマス」なる響きは、本来の意味から離れて、自分の生活と同レベルで解釈できる摩訶不思議(これは仏教用語?)な日本文化にまで昇華されつつある、という感じを受けるのであります。

なにはともあれ、世の中、地震だの台風災害だの自爆テロだのと、あまりうれしくない話題が多い年の暮れではありますが、クリスマスにかこつけて「ブワ〜っ!」と騒いで気分を晴らすのもいいのかも知れませんね。

a0038167_21295013.jpgさて前置きが長くなりましたが、標題のこの曲はブルーグラス・シーンでのクリスマスの定番曲です。オリジナルはビル・モンロウが1951年10月28日に録音していて、フィドルのテックス・ローガンの作曲となっています。

ビルの他には、ラルフ・スタンレーもラリー・スパークスもドク・ワトソンも、そしてビルの愛弟子であるピーター・ローワンもこの曲を歌っています。ピーターの場合、マンドリンにサム・ブッシュ、ドブロにジェリー・ダグラス、フィドルにスチュワート・ダンカンと、鉄壁のバックを従えてビルと同じヴァージョンで歌われます。収録されているアルバムはこれまた「Sugar Plums: Holiday Treats from Sugar Hill」です。

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by scoop8739 | 2005-11-14 21:25 | クリスマス・ソング