カテゴリ:クリスマス・ソング( 21 )

156 ブルーグラスのクリスマス・ソング (21)

ホワイト・クリスマス (White Christmas)

明日はいよいよ「クリスマス・イヴ」です。現在の日本では、特にキリスト教とは関係なくお祝いし、カップルがデートする日や、プレゼントを交換する日のようになっている感があります。特にバブル景気の頃は1年前からこの日のホテルやレストランなどの予約が埋まっていたということがありましたが、今でも続いているのでしょうか。

かつてバブルのクリスマス・イヴには、「できるかも?」とか、「できないかも?」とか、「今日こそは!?」とか、「指輪、メッチャ張り込んだのに!」とか、「期待してたのに〜!」とか、「こっちはヴィトンなのに、そっちはハンカチかよ〜」とか、「夜景も見たし帰りの国道沿いなら、あそこかあそこだよな?空いてるかな?」とか、「今日は密かにすっごいパンツなのにな〜」とか、「何のための最上階だよ、1708号室の鍵がもうポケットにあるんだよ〜」とか、「出がけにシャワーも浴びてあんなとこにもコロンつけてきたのに、プレゼントがこれじゃねぇ〜」とか、「困ったな〜、酔わせるつもりが酔っちゃったよ〜」とか、「ここまできて門限なんて言い出すなよ〜!」とか、「あたし酔っちゃったはいいけど、送っててなんだよそれ、お前実家暮らしじゃないか〜!」とか、「今日までどんだけつぎ込んだと思ってんだ、バカ!」とか、「つぎ行こうって、お前の知り合いのパーティじゃね〜か!」とか、「あんた食事すんで、9時過ぎてから急に鼻息荒すぎるわ!」とか、「クリスマスだからってそんなに軽く見ないでね!」とか、「クリスマス近いってんであわてて近場で手を打ったけど、やっぱこいつじゃな〜?」とか、「あんたこそいい気になってんじゃないわよ!」とか、「しつこかったらやだな〜」とか、「臭かったらやだな〜」とか、「下手かも〜???」とか、「早いかも〜〜???」とか、いろいろな思いが飛び交ったものでした。

この歳になると、そういった思いわずらう必要もまったくなくなりましたね。ほんと、ぜんぜんない。まったく、さっぱりない。意地でもない。くやしいけどない。泣きたくなるほどない。死んでもない。断固ない。もうこうなったら、あとはこの曲しかないですね。

a0038167_18431950.jpgこの曲「ホワイト・クリスマス」を作ったのは、数々の名曲を残した作曲家のアーヴィング・バーリン(1888〜1989)という人で、白い雪につつまれたクリスマスのあこがれと夢を描いた作品でした。というのも、この曲は本来、曲の前に入るヴァース(前歌)の語り部分があり、「太陽は輝き芝生は青々として、オレンジや椰子の木も揺れているビヴァリー・ヒルズでは、12月24日に雪の望みはないから、北の方へ行って私だけの”ホワイト・クリスマス”を迎えたい…」てなヴァースの後に本歌に入るようになっています。つまり、この歌は雪の降るクリスマスへのあこがれを歌った曲なのです。

♪I'm Dreaming of a White Christmas〜♪
実際に録音もロスアンジェルスで行われたそうです。そんなことを聞くと、なんだか曲のイメージがガラッと変わってしまいますが、そういうのを気にせずボクの中でのこの曲は、いつも粉雪舞うクリスマスのイメージなのです。というのも、もともとこの曲はビング・クロスビーとフレッド・アステアらが出演した1942年のパラマウント映画「Holiday Inn」(邦題:スイングホテル−1947年日本公開)のために作られた曲で、さらに1954年にはビング・クロスビーをはじめ、ダニー・ケイやローズマリー・クルーニーらが出演した映画「ホワイト・クリスマス」のタイトル・ソングにもなっています。

毎年イヴの夜になると、ボクは深夜、家族が寝静まった頃を見計らってこの映画を鑑賞します。そして毎年、同じ個所になると目を潤ませてしまうのです。この映画ならレンタル・ショップにも置いてあるはず、さっそく皆さんも借りてご覧になってはいかがでしょうか?

a0038167_1814716.jpgさていよいよ、このシリーズのトリをとる名曲「ホワイト・アルバム」をブルーグラス・アレンジで聴かせるアーティストのご紹介です。まず、ラリース・パークスは「Christmas In The Hills」というクリスマス・アルバムをリリースしていますが、その中にこの曲が収録されています。ギターとマンドリン、ベースをバックにしっくりと歌い上げています。

a0038167_18102677.jpgまたデヴィッド・グリスマン、1983年リリースの「アコースティック・クリスマス」でもこの曲を聴くことができます。グリスマンの非常に洗練されたマンドリン演奏をたっぷりと聴きことができ、じつに完成度の高い素晴らしいアルバムとなっています。このアルバムはほんとうに泣けます。和みます。まさにこれは静かに降り積もる粉雪のごときアルバムですね。

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by scoop8739 | 2005-12-23 18:11 | クリスマス・ソング

155 クリスマス・ソングをブルーグラスで (20)

まきびと羊を (The First Noel)

以前、新聞コラムに載っていた話です。ある牧師さんが教会にクリスマスの飾り付けをしていたところ、通りかかった男性がいいました。「へー、教会もクリスマスをやるんですか」と。これがなぜ笑い話なのか本気でわからない人が、今の日本には少なからずいそうです。

a0038167_20212890.jpgさて、すべてのキャロルの中で最もポピュラーなものの一つである「The First Noel」は、仏教徒の多い我が国でも非常に有名な曲です。プロテスタント系の教会であればどこの教会でも、クリスマス・シーズンになるとこの曲を日本語訳した「まきびと羊を」(賛美歌第103番)と歌います。またデパートやスーパーでも、BGM用にオーケストラ編曲したものがよく流れています。

このキャロルは、作曲者も作詞者もよくわかっていない英国のトラディショナル・キャロルですが、その起源は13世紀にさかのぼるともいわれています。一方ではこの曲のオリジナルは15世紀のフランスにあるという説もあり,いずれにせよ遠い昔のことなので起源ははっきりしないようです。しかしキャロルを自国の財産と考え、誇り高い合唱王国でもある英国が、このすばらしいキャロルをライバル国フランスのものと認めるわけがありません。それどころかアメリカを始め他の国では、一般的に「The First Noel」と綴るところを、英国風に「The First Nowell」と綴る伝統を頑として守っているのです。

さてこのキャロルは、日本でも最もよく知られたキャロルの一つと書きましたが、この曲ほど英語のキャロルを日本語に訳すことの難しさを実感させる曲はありませんでした。日本の讃美歌集に収められた訳では、原曲の流れるような美しさがまるで感じられないからです。下の英語原歌詞を参照してほしいのですが、まず第1節の冒頭、原曲では"The first nowell the angel did say"で、"nowell"と"angel "の響きが夢見るような気分を誘うのに対して、日本語では「まーきーびーとー ひーつーじーをー」と全く間の抜けた伸び切った日本語訳が使われています。

そしてこの曲のサビにあたる美しいリフレインの前半、"Nowell, Nowell, Nowell, Nowell,"が、「よーろーこーびー たーたーえよー」と、やはり伸びきった日本語訳で歌われると、まったく聴く気が起こりません。このキャロルは、ぜひとも英国の一流の合唱団の歌唱で聴くことをお薦めします。音楽と言葉の美しい調和に、何度聴いても聴き飽きることがありません。第1節では、"say"と"lay","sheep"と"deep"、第2節では"star"と"far"、"light"と"night"というように、すべての節で美しい韻が踏まれています。

The first nowell the angel did say
Was to certain poor shepherds in fields as they lay;
In fields where they lay, keeping their sheep,
On a cold winter’s night that was so deep:

Nowell, Nowell, Nowell, Nowell,
Born is the King of Israel.

まきびと 羊を 守れるその宵、
たえなるなる歌は 天(あめ)より響きぬ
喜びたたえよ 主イエスは生まれぬ

仰げばみ空に きらめく明星(あかぼし)
夜昼さやかに 輝きわたれり
喜びたたえよ 主イエスは生まれぬ

a0038167_20235659.jpg最初、ボクはこの曲のタイトルの「まきびと」って何だ?と思っていたのですが、「牧人」つまり、「牧場の人」だったんですね。ブルーグラスでは、セイクレッドを得意とするドイル・ローソンとクイック・シルヴァーの面々がこの曲を取り上げています。この曲と「It Came Upon A Midnight Clear」「Joy To The World」のメドレーをアカペラ4重奏で歌います。これぞブルーグラス・セイクレッドの真髄と感じさせるコーラスです。

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by scoop8739 | 2005-12-21 20:22 | クリスマス・ソング

154 クリスマス・ソングをブルーグラスで (19)

クリスマスが近づいた (Christmas Is Near)

年末を彩る一大イベントがクリスマスです。サンタクロース、ツリー、リース、ケーキにターキー、プレゼントなどなど、思い浮かぶだけでもたくさんのアイテムが揃っています。なかでも、いつもよりちょっぴり贅沢にして楽しみたいのがクリスマス・ケーキです。

日本のクリスマス・ケーキは白くてイチゴがのっているのが一般的ですが、フランスの「ブッシュ・ド・ノエル」は切り株の形をしています。イタリアの「パネトーネ」はフルーツやナッツが入ったパンのような菓子です。またドイツの「シュトレン」はドライ・フルーツなどが入ったパン菓子のようなものと、国によって伝わるものもいろいろです。

a0038167_23342036.jpgイギリスでは1ヶ月以上も前に作って寝かせておく伝統のクリスマス菓子「クリスマス・プディング」があります。この「クリスマス・プディング」を初めて目にする日本人はその姿に大抵はビックリすると思います。名前はプディングでも、日本人が想像するようなものではなく、どちらかといえばずっしりと中身の詰まった蒸しパンに近いものですね。熟成期間が長いほどおいしいと言われている「クリスマス・プディング」は、クリスマスの約8週間も前から作り始めます。食べ終わったらすぐに来年のものを作り始めるといわれるのも納得できます。

食べる前に再度蒸し、切り分けて、ホイップ・クリームやカスタード・クリーム、もしくはブランデー・バターソースを添えて供します。食卓上でブランデーをかけ、部屋の明かりを消して火をつけるといった演出が行われることもあります。市販のものもありますが、各家庭の味とレシピがあり、イギリス人にはこれについて一家言持つ人が多い(日本のお雑煮の例を想像すると理解しやすい)ようです。

プディングの中に指輪や硬貨、指貫などの小物を混ぜ込み、切り分けられたときに当たった人の運勢を占うといった趣向を凝らす場合もあります。指輪=早く結婚できる、指ぬき=一生独身で過ごす、コイン=お金持ちになれる、などの占いをします。日本でお正月におみくじをするのと似ていますね。

a0038167_23345157.jpgさてイギリス人は、この「クリスマス・プディング」を作り始める頃から、クリスマスが近づいたことを感じ始めるのです。イギリスからの移民が多いアパラチアン地方に住む人々も、このような風習を受け継いでいることでしょう。ラルフ・スタンレー作の「クリスマスが近づいた」(Christmas Is Near)という曲は、そのタイトルのようにクリスマスが近づいて子供たちのワクワクする様子が歌われています。カーター・スタンレーがリードをとるスタンレー・ブラザーズ盤、ラリー・スパークス盤もいいのですが、作者自ら歌うラルフ・スタンレー盤がさらにいいですね。

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by scoop8739 | 2005-12-19 23:37 | クリスマス・ソング

153 クリスマス・ソングをブルーグラスで (18)

サンタクロース (Santa Claus)

a0038167_20445994.jpgクリスマスとセットになって考えられているサンタクロースですが、そのスタイルは世界各国さまざまです。ドイツやオランダのサンタクロースは大きな袋と杖を持って従者を連れていて、良い子供にはプレゼントをあげ、悪い子供は杖で叩くという筋立てになっています。またイタリアでは黒いドレスを着た魔女が、スペインでは3人の王が子供たちにプレゼントを運ぶと言われています。

サンタクロースのモデルは、4世紀にローマのミュラ地方(現在のトルコ)に生きた司教.聖ニコラス(St Nicholas, Sintaklaas)と言われています。賢く慈悲の精神にあふれた聖ニコラスは生前、自分の財産すべてを貧しい人々の救済に使い、多くの人々に慕われました。遺体はミュラ地方に埋葬されたのですが、11世紀にイタリアの商人が南イタリアの教会へ持ち去ったため、多数の信者が南イタリアまで巡礼するようになり、聖ニコラスの伝説がヨーロッパ中に広まったということです。

一方、古代インドに伝えられた聖ニコラスの伝説は、「シヴァ神」と同体の神となり、「摩訶迦羅天(まかからてん)」と呼ばれるようになりました。そのうち、摩訶(まか)は「大」、「迦羅(から)」は「黒暗」の意味なので、大黒天と呼ばれるようになりました。打出の小槌と大きな袋を持った姿から、幸福と財宝を人々に与える神様とされています。いつの頃からなのか、この神の像を寺院の台所に祀るようになりました。寺院の奥様を「大黒様」といい、それを掲げる柱、すなわち「大黒様を支えるもの」に「大黒柱」という言葉が使われるようになりますが、「我が家の大黒柱」とは幸福と財宝を支える柱のことです。

「大きな袋を肩にかけ、だいこく様が来かかると、そこに因幡(いなば)の白兎、皮をむかれて赤裸」という唱があります。勿論だいこく様は、だまされて赤裸になった白兎を助け、全身にふさふさとした毛を生やしてやります。これは、日本の伝承(「古事記」など)にある「大国主命(おおくにぬしのみこと)」の話です。だが、それを略して「大国」とし、さらに「だいこく」と読んだことから、混同して伝えられた伝承もあります。「古事記」に書かれている大国主命も大きな袋を肩にかけています。

アメリカのサンタクロースのイメージは、赤い服と白いひげの優しいおじいさんです。空飛ぶトナカイに引かれたそりに大きなプレゼントの袋を乗せ、クリスマス・イブに各家の煙突から忍び込んで子供たちの枕元にプレゼントを置いてくれます。実はこのイメージは、1822年に詩人クリーメント・ムーア(Clement Moore)が自分の家族のために書いた詩「ザ・ナイト・ビフォア・クリスマス」の挿絵として描かれたものでした。これが地元新聞や雑誌に取り上げられ、あっという間に国中に広まったのです。

この詩は現在もアメリカの子供達のベッドタイム・ストーリーとして愛されています。サンタクロースは北極圏の山奥に住んでいるということになっているため、ノルウェーやフィンランドなどには各国公認のサンタ・クロース養成校もあります。南国カリフォルニアやハワイでは、サーフィンやボートに乗って海から登場する現代的なサンタクロースもいるそうです。

a0038167_20491150.jpgブルーグラスでズバリ「サンタクロース」というと、そう、あの曲しかありませんよね? 古くからのファンにはビル・モンロウのLP「ブルーグラス・インストゥルメンタル」でビル・キースのクロマティック・スタイルのバンジョーに度肝を抜かれたことでしょう。彼がブルー・グラス・ボーイズ在籍中に2度のセッションが設けられ7曲を録音します。そのうちの6曲がキースのバンジョーをフィーチャーしたインストゥルメンタルでした。その中にこの曲が含まれていました。アラン・マンデも「フェスティバル・フェイヴァリッツ」というアルバムでこの曲を披露しています。

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by scoop8739 | 2005-12-17 20:49 | クリスマス・ソング

152 クリスマス・ソングをブルーグラスで (17)

飼い葉の桶で (Away In A Manger)

a0038167_2393063.jpgこの曲は、中学校の教科書に出ていた「宗教改革」で有名なマルティン・ルターが作ったと言われています。子豚が主役の映画「ベイブ」の中でも歌われていましたし、あのミスター・ビーンのテレビ番組の中でも、子どもたちがビーンの部屋の前でこの歌を歌うシーンがありました。実は、この習慣は「キャロリング」と呼ばれるものなのです。「キャロリング」は日本ではあまり見かけられない風習ですが、子ども達が聖歌隊となって、クリスマス賛歌(キャロル)を歌いながらご近所などを訪問することを指します。子ども達の訪問を受けたお家の方は、かわいい歌声へのお礼としてお菓子やちょっとしたプレゼントをあげます。

Away in a manger, no crib for a bed.
The little lord Jesus lay down his sweet head.
 (飼い葉の桶で寝ている 優しい顔のイエス様)
The stars in the sky look down where he lay. 
The little Lord Jesus asleep on the hay.
 (月星 空に輝き 平和な姿 見守る)
The cattle are lowing, the baby awakes,
But little Lord Jesus no crying he makes.
 (家畜の声で目覚めても 泣かない強いイエス様)
I love Thee, Lord Jesus, look down from the sky
And stay by my cradle til morning is nigh.
 (私が眠るときにも 守ってください 朝まで)
Be near me, Lord Jesus, I ask Thee to stay
Close by me forever, and love me, I pray.
 (すべての神の子供を 恵みと愛で満たして)
Bless all the dear children in thy tender care,
And take us to heaven, to live with Thee there.
 (永遠までも御国“みくに”で ともに住ませてください)

ベツレヘムへ向かう途中の農家の家畜小屋でキリストが誕生したときに、馬小屋の飼い葉桶をゆりかごとして使ったとされる事から、キリスト誕生の様子を表現した飾りをクリスマス・クリッペと呼びます。この慣習は1223年のクリスマスに聖フランチェスコが模型ではなく、実物の飼い葉桶とロバ、牛を岩穴に置き、飼い葉桶を祭壇として儀式を行った事から始まったとされています。

16世紀の中ごろにはすでに、イタリア、スペインでクリッペを飾る事が習慣になっており、その後、南ドイツの教会や領主の居城にも飾られるようになりました。現在、ドイツではどのカトリック教会でもクリッペを見ることができます。最初のAdvent に家畜小屋が組み立てられ、聖家族(イエス、マリアおよびヨゼフ)が置かれます。東方の三賢人も早くから飾られる事が多いのですが、彼らが家畜小屋に到着したのは1月6日とされることから、この日まで待ってクリッペに飾るところもあります。

a0038167_20375279.jpgお待たせしました。ブルーグラス界広しと言えども、この曲を上手く歌いこなせる歌い手はこの人しかいないでしょう。その人こそリッキー・スキャッグスですが、アルバム「A Very Special Acoustic Christmas」に収録されているこの曲は彼の独壇場ですね。ジェリー・ダグラスもこの曲をドブロの独奏で聴かせてくれます。こちらの方は「Sugar Plums: Holiday Treats from Sugar Hill」に収録されています。

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by scoop8739 | 2005-12-15 20:39 | クリスマス・ソング

151 クリスマス・ソングをブルーグラスで (16)

クリスマスの12日間 (The Twelve Days of Christmas)

a0038167_22212623.jpg日本ではあまり歌われないのですが、アメリカではとてもポピュラーなクリスマス・ソングのひとつに「クリスマスの12日間」という曲があります。

そもそも「クリスマスの12日間」とは12月25日から1月6日の「公現祭」(Epiphany)までを指していいます。その1月6日はキリスト生誕の際に東方の三博士(Magi)がベツレヘム(Bethlehem)を訪れたのを記念する日であり、またカトリックではキリストの洗礼の日でもあります。かつては12月25日だけでなく、この12日間、毎日贈り物が交わされたようです。日本ではクリスマスが終わるとすぐにツリーを片付けますが、欧米などで年明けまで飾ってあるのは、クリスマスが12日間も続くからなのです。昔は、その前夜の「十二夜」(Twelfth Night)にTwelfth Cakeを食べ、この唄を歌ったり、喜劇を演じて楽しんだといいます。

この曲は、1日ごとに贈り物が増える楽しさが魅力のクリスマス・ソングです。前日までの贈り物をすべて繰り返す「積み重ね唄」なので、最終連は14行もあります。贈り物の多くは、「pipers piping, drummers drumming」というように頭韻を踏んでいるので、覚えやすいですよね。

The twelfth day of Christmas, My true love sent to me
 (クリスマスの12日目、愛する人がくれたのは)
Twelve lords a-leaping,
 (12の跳びはねる紳士)
Eleven ladies dancing,
 (11の踊る婦人)
Ten pipers piping,
 (10の笛吹く笛吹き)
Nine drummers drumming,
 (9つの太鼓を叩く太鼓叩き)
Eight maids a-milking,
 (8つのミルクを絞るメイド)
Seven swans a-swimming,
 (7つの泳ぐハクチョウ)
Six geese a-laying,
 (6つの卵を産むガチョウ)
Five gold rings,
 (5つの金の指輪)
Four colly birds,
 (4つの汚れた小鳥)
Three French hens,
 (3つのフランスの鶏)
Two turtle doves, and
 (2つのキジバト、そして)
A partridge in a pear tree.
 (1つのセイヨウナシの木にいるヤマウズラ)

これはマザーグースの歌の一つで、英語圏では老若男女に親しまれています。コミカルな曲と思われることが多いのですが、実は16世紀の昔にイギリスで作られたキリスト教の教えの歌と考える人もいます。毎日一つずつ不思議な贈り物が増えていく内容の曲で、その一日一日に子供たちにキリスト教の信仰を教えるための隠された意味があるというのですが、この説を裏付ける歴史的文書はありません。一つ確実に言えるのは、一度この曲を聴いたら忘れられないということでしょう。

a0038167_2222515.jpgさてブルーグラスの世界でこの曲を歌っているのが、デル・マッカリー・バンドにマック・ワイズマンにオズボーン・ブラザーズという豪華な組み合わせです。歌詞はマッカリー兄弟らによってブルーグラスにちなんだ内容に書き改められていて、ブルーグラス・クリスマスの模様が楽しく歌われます。収録されているのは「クリスマス・オン・ザ・マウンテン」というアルバムですが、タイトルが「Our 12 Days Of Bluegrass Christmas」となっています。

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by scoop8739 | 2005-12-12 22:25 | クリスマス・ソング

150 クリスマス・ソングをブルーグラスで (15)

そりすべり (Sleigh Ride)

クリスマスでよく耳にする「そりすべり」という曲は、ルロイ・アンダーソンという人が作曲しています。この人は運動会で流れる「トランペット吹きの休日」という曲や、「シンコペイテッド・クロック」、「タイプライター・ソング」など、どこかで聴いたことがあるような曲を数多く作曲し、アメリカのヨハン・シュトラウスとか、アメリカン・ポップ・ミュージックの巨匠などと呼ばれています。

この曲「そりすべり」は1948年の作曲で、翌50年にミシェル・パリシュが詩をつけ、今では有名なクリスマス・ソングの一つとなっています。曲自体は、アーサー・フィドラー率いるボストン・ポップス・オーケストラの演奏によって有名ですが、最後にトランペットで馬の鳴き声を模しています。ということは「馬そり」の歌なのでしょうか?

a0038167_16435643.jpg歌詞は、「聞こえてきた!そりの鈴が鳴っているよ。リンリンシャンシャンってね。行こうよ、最高のお天気だよ。一緒にそりで滑ろう。外には雪が舞い、みんなが「ヤッホー」って呼んでる。行こうよ、いいお天気だから。一緒にそりで滑ろうよ」と、他愛もないものです。しかしどこにも「馬そり」ということは歌われていません。ところが、「それ行け!」という掛け声。乗馬では「はいしぃ!」、「ハイヨォー!」の意味になります。原詞の「Giddy Yap」(giddya とも書きます)という箇所ですね。この言葉が出てくるので、これが「馬そり」だと判るのです。

「馬そり」に乗って遊ぶっていうのは、その季節にだけ許された特権だったかもしれませんね。いずれにしても、夏でもスキーが出来る現代と、その季節・季節を楽しもうとした昔と、はたしてどちらが精神的に豊かなのでしょうか? これは単なるノスタルジアではないと思うのですが…。

a0038167_16432817.jpgさて、この曲をブルーグラスで演奏しているのがサム・ブッシュです。オムニバス・アルバム「TINSEL TUNES」(金ぴかに飾られた曲たち)に収録されているこの曲は、サムのキラメくような切れのいいマンドリンと、ダレル・スコット(g)とビクター・クラウス(bs)を従えての素晴らしいインストに仕上がっています。

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by scoop8739 | 2005-12-11 16:45 | クリスマス・ソング

149 クリスマス・ソングをブルーグラスで (14)

フロスティ・ザ・スノウマン (Frosty The Snowman)

a0038167_0242112.gif雪が少しでも降ると、すぐ雪だるまをつくりたくなるのは大人も子供も同じです。雪だるまをつくる時に、雪を転がして塊を大きくしますが、こうすると、雪だるまはどんどんふくらんで大きくなります。こんな状態を「雪だるま式に増える」と言います。雪だるまをつくるのに、雪をスコップなどで集め、丸く固めてつくっているのを見かけることがありますが、これではこの言葉の意味がわかりません。

「雪だるま式に増える」という言い方は、こんな時にも使われます。それは借金を返すために借金をするという自転車操業的借入の場合で、こうなると“雪だるま式”に額が増え、自己破産に至るケースが多いようです。つまり、多重債務の典型的なパターンですね。

さて、“雪だるま式”に雪を転がして雪だるまをつくるには、まず核になる雪のボールをつくります。それを新雪の上に転がします。新雪はとてもくっつきやすいのですぐ大きな玉になります。一方向ばかりに転がすとドラム缶のように円筒形になりますから、丸くなるように右方向に転がしたり左方向に転がしたりします。雪玉には次々と新しい雪が巻き付き大きな雪玉になります。子どもたちは雪玉が大きく重くなって動かせなくなるまで力をあわせて転がし続けます。雪だるまを据えたいところがあるならその場所までころがします。同じように雪だるまの頭になる少し小さめの雪玉もつくります。

ところで、北海道の早来町にある郵便局がはじめた雪だるまの小包が、今年累計で5万個を超えたのだそうです。雪だるまの小包といっても原料は雪ですから、ほとんどタダです。まったくうまい商売を考えたものです。早来町というのはスピードスケートの橋本聖子(現国会議員)の出身地であり、北海道の酪農とチーズ生産の発祥の地でもあり、そしてサラブレッドの育成にも力を入れる優駿の産地としても有名です。

しかし、やはり今では「雪だるまの小包」でしょうね。チルド郵パックの「雪だるま」作りは早来町の冬の風物詩になり、12月になって雪が積もるとクリスマスに向けて雪だるま作りが始まります。この雪だるまは町おこしの役にも立ったようですが、局名も「早来、雪だるま郵便局」に変え、局舎前のポストまで雪だるま型のものにしてしまうほど入れ込んでいるとのこと。ここまでやれれば、民営化後も確実に生き残って行けそうですね。

a0038167_0245173.jpg雪だるまというと、クリスマス・ソングに「フロスティ・ザ・スノウマン」という曲があります。シーズンになると一度は聴くことのある曲ですが、歌詞をよくよく読むと結構寂しかったりして、ちょっと涙が出そうな内容です。ところで、ブルーグラスでこの曲を歌っているのがダン・ティミスキです。収録されているのは「ア・ベリー・スペシャル・アコウスティック・クリスマス」というアルバムで、ブルーグラスばかりではなく、イアン・ジャクソンやレバ、またオルタナティブ・カントリーのビッグ・ネームといった今の時代の音の流れの主役となっている”アメリカーナ勢”のアコースティックなクリスマス・ソングが中心に集められています。

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by scoop8739 | 2005-12-11 00:25 | クリスマス・ソング

148 クリスマス・ソングをブルーグラスで (13)

家に帰ってクリスマス・タイム (Chrismas Time Back Home)

a0038167_205643.jpgクリスマスを単純に楽しんでいる日本と違って、最近のアメリカでは、このシーズンになると熱くなるのが「クリスマス論争」です。ロイター電によると、クリスマスの宗教的表現めぐる論争が米国で高まっているのだそうです。早い話が、これも政教分離問題の一種ということなのです。そしてキリスト教原理主義者のブッシュ大統領が再選したことで、クリスマス論争までもが過激化の様相を見せています。

この記事によると、キリスト教左派の政教分離推進団体を率いる牧師は、クリスマスの宗教的側面について議論が高まっているように見えるのは、「一部キリスト教集団がもつ攻撃的な性格によるもの」とし、選挙などの要因で活気づき、これまで以上に事態を混乱させていると指摘しています。

一部のキリスト教徒は、政治的な適切さを追求する風潮が強まるあまり、クリスマスからキリストを排除しようとする動きが起きており、それに異議を唱えているだけだと主張しています。このくらいはまぁ、日本にも見られる宗教中道派でしょうが、至極妥当な感性であり、理解しやすいものです。目を転じますと、日本の靖国問題でも首相の参拝を支持する多くの人は、「程々でいいじゃん」的、中道派の立場だと思います。

だが、あるキリスト教系法律団体の代表は、「地方の学区や自治体では、キリスト教に関連することをすべて根絶しようとする、タリバンのような動きがみられる」と指摘しています。同じキリスト教徒をタリバン呼ばわりするなど、本当にアメリカという国は知れば知るほど楽しい国です。こうしてアメリカでは、今年のクリスマスも極右主張と極左主張が無闇に熱い議論を戦わせようとしているのです。

言ってみれば、多様性のある国民性というか、国民はキリスト教徒だけではないのだから、キリスト教のお祭りである「クリスマス」を堂々と表に出すのはどうかということで、人々は「メリー・クリスマス!」も言えないらしいのです。その代わりに「ハッピー・ホリデイズ!」という挨拶を奨励しているとか…。

a0038167_2050544.jpgなにはともあれキリスト教国では、クリスマスは日本で言うところの盆や正月のようなものです。遠く離れて暮らしている家族や親族が一同に会して「ハッピー・ホリデイズ!」と挨拶をして喜びあいます。ブルーグラスではカントリー・ジェントルメンの歌う「クリスマス・タイム・バック・ホーム」がその模様を歌っています。故郷の家や教会で祝うクリスマス、人々はキリスト教のお祭りである「クリスマス」を心から祝っているのです。

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by scoop8739 | 2005-12-08 20:52 | クリスマス・ソング

147 クリスマス・ソングをブルーグラスで (12)

サンタクロースが街にやってくる (Santa Claus Is Coming To Town)

a0038167_2058096.jpgクリスマス・シーズンになると、サンタクロースは子供たちから待ち焦がれられてプレゼントを配って歩くのですから、クリスマス・イヴの1日は大忙しです。一体、サンタクロースはどんな風にプレゼントを配って歩くのだろう、と思ったボクは「サンタクロースの巡回問題」について考察をしてみることにしました。

まず始めに問題提起をしてみると、「果たしてサンタは一人なのでしょうか?」 という疑問が生じます。

どのような事件においても(別に事件ではないのですが)、単独犯か複数犯かというのはとても重要な問題です。犯人が単独犯か複数犯かで証拠の指し示す意味は異なってきます。サンタは一人、と私たちは何故か思い込んでいますが、そんな先入観は正しい捜査のためには捨てる必要があります。

日本ではほとんどの場合、キリスト教と関係なく出没するサンタクロースですが、県知事や市長や、あちこちの郵便局職員や消防署職員や、市立病院の医師までがサンタクロースに扮したり、陸上自衛隊がパレードに参加したりと、一体どれが本物なのか(みんな偽物ですが…)まことに賑やかです。

世界中の子供たちが増える割合に従って、サンタも増えると考えると、サンタの人数も増えなくては労働過多になります。つまり労働基準法違反です。ところで、「子供が一人現れると、サンタも一人増え、サンタの数が子供と同じ比率で増えていく」ということは、子供たちがいずれサンタになるという考えが自然だとは思えないでしょうか。そうです、いずれ子供たちがサンタになるのです。言い替えるならば、子供たちが大人になって、そしてサンタになるのです。

もしかしたら、それはサンタという名前ではないのかもしれません。普段は他の名前で呼ばれているのだけれど、クリスマスの間だけはサンタという名前になるのです。電話ボックスで着替えるちょっと情けないスーパーマンのように、クリスマス・イヴだけは彼らは変身するのです。むかし子供だったサンタたちは、子供たちの枕元にやって来て、夢を見ている子供を起こさないように、そっと枕もとにプレゼントを置くのです。サンタが鏡に映ったその姿を見ると、それはあなた自身なのです。

a0038167_20583034.jpgさて、マンドリニストのデヴィッド・グリスマンが1986年に発表したアルバム「アコウスティック・クリスマス」の中にこの曲「サンタが街にやってくる」があります。このアルバムは、しっとりとして、緊張感もあり、数あるクリスマス・アルバムの中でも最高傑作のひとつと言えるでしょう。グリスマンのマンドリンをはじめとして弦楽器の音色がリリカルでムーディで、ドーグ流の軽やかなアレンジで演奏されます。一般人にもお勧めできる聴き易さと、高度なクリスマス音楽であることに間違いなしです。

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by scoop8739 | 2005-12-07 20:59 | クリスマス・ソング