カテゴリ:不朽の名曲( 47 )

74 ニュー・キャンプタウン・レイシズ

(New Camptown Races)

a0038167_218223.jpgマンドリンの奇才フランク・ウェイクフィールドは、ビル・モンロウやジェシー・マクレイノルズにインスパイアされながら、実は全く個性的で独創的な演奏方法を身につけてきました。彼は種々の演奏形態について多く学び、そして感受性豊かにそのテクニックを発展させたのでした。しかも、どんなキーの曲でも弾くことが出来るという、ブルーグラス界でも数少ないマンドリン・プレイヤーのひとりです。

この曲はそんなフランクの作で、オリジナルは1964-1983年のフォークウェイズ時代のレッド・アレンのコンピレーション盤で聴くことができます。この曲でのバンジョーはビル・キースです。当時まだ珍しかったクロマチック・ロールが聴かれます。
Red Allen / The Folkways Years 1964-1983 (Smithsonian Folkways)

フランク・ウェイクフィールドを師と仰ぐデイヴィッド・グリスマンが、クラレンス・ホワイト、ピーター・ローワン、ビル・キース、リチャード・グリーンらと組んだセッション・バンド、ミュールスキナーのヴァージョンでも話題を呼びました。
Muleskinner / Muleskinner (DBK Works)

ジミー・ゴウドロウはこの曲をドライブ感を失わずに一音一音丁寧に弾いています。
Country Store / Live! (Rebel)(CD化されていません)

1999年にIBMA「年間最優秀フィドラー」ほか数々の賞を獲得しているにもかかわらず、39歳の若さで亡くなった天才フィドラー、ランディ・ハワードが、ドン・リグスビー、カール・ジャクスンなどのゲスト・ボーカリストを招いて制作されたアルバムの中にもこの曲が収録されています。彼の歌心あふれるフィドル・プレイを聴くことができます。
Randy Howard / I Rest My Case (Sugar Hill)

ポピュラー・ソングあり、ロック・ナンバーあり、ジャズあり、レッド・ネックありと大変ヴァラエティに富んだこのアルバムは、ブルーグラスの名ドブロ・プレイヤー、マイク・オールドリッジの72年と74年に発表した2枚のアルバムを1枚に収録したものです。ブルーグラスのみならずジャズ、ポップ・チュー ンまで取り上げセンスのいいプレイを聴かせます。D.ブロムバーグ、V.クレメンツ、セルダム・シーンのメンバーなども参加するという豪華さで、どの曲も凝ったアレンジがなされていて聴いて楽しくなります。この「New Camptown Races」はそんなアルバムに収録されていて、軽快なテンポの中にもそれぞれアーティストの持ち味が充分に生かされています。
Mike Auldridge / Blues And Blue Grass (Takoma)

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by scoop8739 | 2005-03-31 21:09 | 不朽の名曲

73 ボディ・アンド・ソウル

(With Body And Soul)

a0038167_20415750.jpgブルーグラスにロックのビートを取り入れ、ロックやポップス・ファンにもアピールしたのが、サム・ブッシュ率いるニュー・グラス・リバイバル(以降N.G.R.と書きます)でした。ジェリー・リー・ルイスのヒットさせたロックン・ロール曲「火の玉ロック」を、文字通り火の出るようなボーカルとインストゥルメンテイションでギンギンに聴かせてくれます。

彼らは既成概念を破壊する勢いでブルーグラス界に殴り込みをかけてきました。例えばアルバム・ジャケットひとつからして、それまでのようなお揃いのスーツ姿ではなく、ジーンズ着で、しかも長髪にヒゲ面です。収録曲はレオン・ラッセルやダグ・ディラードの曲など大胆なアレンジでロックへのアプローチを試みています。

ブルーグラス・ソングも数曲収録されています。その1曲にビル・モンロウ作の「ボディ・アンド・ソウル」があります。愛する人を失った悲しみを魂を込めて歌ったものですが、ベースから重くスタートし、カーチスのドブロがせつなく絡み、さらにバンジョーのイントロに続いてコーラスが始まります。ブルーグラスらしくないアドリブのおもしろさ、優しさ、激しさが交差したサウンドに思わずうなってしまいます。
New Grass Revival / New Grass Revival (Hollywood)

N.G.R.と時を同じくして現れたのがセルダム・シーンでした。彼らはN.G.R.とは違ったアプローチでブルーグラスを改革していきます。そのデビュー・アルバムにも「ボディ・アンド・ソウル」が収録されています。ジョン・スターリングのなんとも渋い粋な歌い方が特徴的です。ジョン・ダフィーの絶叫に近いテナーがこの曲の切なさを引き立てます。
Seldom Scene / Act 1 (Rebel)

ジミー・ゴウドロウ(ボーカル、マンドリン)率いるカントリー・ストアは、1973年8月にキース・ウィットリー(ボーカル、ギター)、ジミー・アーノルド(バンジョー)、ビル・ロウリングス(ボーカル、ベース)の4人からなるグループです。このアルバムではジミー・アーノルドが急病で、代わりにカントリー・ガゼットのアラン・マンデがバンジョーを弾いています。キースの歌心あふれるボーカルが聴きものです。
Country Store / Live! (Rebel) (CD化されていません)

かたくななまでもトラディショナル路線を行くジョンソン・マウンテン・ボーイズが古い校舎を舞台にライヴ・コンサートを行っています。
The Johnson Mountain Boys / At The Old Schoolhouse (Rounder)

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by scoop8739 | 2005-03-30 20:47 | 不朽の名曲

72 双頭の鷲の旗の下に

(Under The Double Eagle)

好天気に恵まれた運動会。多数の観客の中で生徒たちが若き青春のエネルギーを各種目に生かし,たくさんのドラマが生まれたものです。吹奏楽部の演奏する軽快な行進曲で堂々の入場が開始され,グラウンド一杯に若い躍動が繰り広げられました。この行進曲によく使われていたのが、ヨーゼフ・フランツ・ワーグナー作曲の「双頭の鷲の旗の下に」(または「双頭の鷲のもとに」)でした。

a0038167_2036637.jpgさてブルーグラスの世界では、来日した折のカントリー・ジェントルメンの演奏でチャーリー・ウォーラーがギターを頭の後ろに抱え上げてソロを取っていましたね。ボーカル&ギターのチャーリー以外は頻繁にメンバー・チェンジを繰り返してきましたが、来日時のメンバー、バンジョーのビル・エマーソンもマンドリンのドイル・ローソンもバンド・アンサンブルを重視した玄人好みのプレイで、コーラスもトラディショナルな香りの強い味わい深いものでした。

このライヴ録音されたCDでは、「フォックス・オン・ザ・ラン」や「レッドウッド・ヒル」など、どの曲も演奏・録音ともに日本で録音されたあらゆるジャンルのライヴ・アルバムを含めて屈指のものであると思います。「クリップル・クリーク」はバンジョー弾きの入門曲ですが、早弾きの練習のためにテープの回転速度を落として耳コピーする定番の方法を生で再現した演奏には笑えます。チャーリーの特製マーチンが力強く響きわたるこの「双頭の鷲のもとに」では、ドラムの音に似せたイントロや弦が切れる音までリアルに聴こえています。
The Country Gentlemen / Live in Japan (Rebel)

ブルーグラス界の御大ドン・リーノウはかつてリーノウ&スマイリー時代のアルバム「COUNTRY,SINGING & INSTRUMENTALS」(King)でも演奏していました。この曲が収められているのは、ルーラル・リズムで再録音しているものです。
Don Reno / Strictly Instrumental: The Best Of 16 Rural Rhythm

クラレンス・ホワイトは、言わずと知れたブルーグラス界の天才ギタリストですが、1973年に交通事故により29歳という若さで早世してしまったため、伝説と化していたところがあります。彼の個人的なテープ・ライブラリーの中から発見されたフラット・ピッキングによるインストゥルメンタル集は、1962年頃に自宅のテープ・レコーダーを使って録音されたもので、基本的には彼のソロによる演奏となっています。2分を超える曲は1曲しかありませんが、ホワイトのインスト曲をこれだけまとめて聴けるとは奇跡と言っても過言ではないでしょう。このCDの中の1曲に「双頭の鷲のもとに」が収録されています。
Clarence White / 33 Acoustic Guitar Instrumentals (Sierra)

2001年9月11日に起きた連続多発テロ事件は今なおアメリカ中に様々な波紋を投げかけていて、その後、各ジャンルのアーティストによって「愛国心」や「アメリカ人としての誇り」をテーマにしたアルバムが次々と発表されています。「アメリカン・プライド」と題されたジム&ジェシーのアルバムもそんな1枚です。この中にも「双頭の鷲のもとに」が収録されています。
Jim & Jesse / American Pride (Daywind)

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by scoop8739 | 2005-03-29 20:38 | 不朽の名曲

71 恋人の腕に抱かれて

(Rollin’ My Sweet Baby’s Arms)

1920年代後半に登場したA・P・デラニー・カーター、彼の妻のセイラ、義理の妹のメイベルのトリオはカントリー・ミュージックに決定的な変化をもたらしました。彼らカーター・ファミリーの特徴は、忘れがたいハーモニー、驚異的なギター・プレイ(これは愛用のギブソンL-5ギターを威勢よくかき鳴らしたメイベルの功績)、そして膨大な数のレパートリーにありました。

a0038167_19514815.jpg彼らの演奏した曲は、マーダー・バラード、ゴスペル、ラヴ・ソング、アパラチア地方のフォーク・チューンなどと様々でしたが、その多くは以後何十年にもわたって数多くのミュージシャンたちにカヴァーされています。この中でブルーグラス曲のスタンダードになっているものも数多くあります。この曲「恋人の腕に抱かれて」は、モンロウ・ブラザーズを初め多くのミュージシャンによってカヴァーされていますが、今日、スタンダードとして知られるようになったのはフラット&スクラッグが彼らのレパートリーに加えてからでした。
Flatt & Scruggs / 20th Century Masters - The Millennium Collection (Mercury)

ビル・モウロウの主催するブルーグラス・フェスティバル「ビーン・ブロッサム」に出演したレスター・フラットはナッシュビル・グラスを伴って歌っていました。M.C.に紹介されての登場でしたが、勢い余ってかバンジョーのハスケル・マコーミックが少々つんのめり気味に演奏しています。
Bill Monroe And His Blue Grass Boys / Bean Blossom (MCA)

デル・マッカリーは1990年代になると最も賞賛されるブルーグラス・ミュージシャンのひとりとなります。彼は1960年代前半にビル・モンロウのバンドでキャリアを重ね、その後、フィドルのビリー・ベイカー、バンジョーのビル・エマーソン、マンドリンのウェイン・イェイツらとともにバンドを組みます。この時代に彼がそのスタイルを確立したというわけではありませんが、後の成功の種子は蒔かれていました。この時代に録音されたアルバムにもこの曲が収録されています。
Del McCoury / I Wonder Where You Are Tonight (Arhoolie)

ニッティ・グリッティ・ダート・バンドの主宰する「永遠の絆」シリーズは、1971年の第1集、89年の第2集に続いて3枚ものアルバムをリリースしています。この第3集には、第1集に出演した人の子供や孫の世代が何組も登場することが特徴です。アール・スクラッグス、デル・マッカーリー、ジミー・マーティン、ドク・ワトソンらの二世、三世が登場して一世と息の合った演奏を聴かせてくれるのも楽しいものです。メーベル・カーターの娘のジューンが、渋いノドで母親の持ち歌を聴かせてくれます。ジューンのご主人のジョニー・キャッシュもオリジナル・カーター・ファミリーのサラとメーベルに捧げる自作の「ホルストン河に落ちる涙」をしっとりと歌いあげて、文字通り涙を誘います。この中で、ウィリー・ネルソンをフィーチャーしたこの曲が素晴らしい出来となっています。
Nitty Gritty Dirt Band / Will The Circle Be Unbroken Vol. III (Disc 2) (Capitol)

有名なドリス・デイの息子で、ブライアン・ウィルソン(元ビーチ・ボーイズ)、ブルース・ジョンストン(現ビーチ・ボーイズ)、ゲイリー・アッシャーといった人達と共に1960年代前半のサーフィン/ホット・ロッド・サウンドを支え、60年代中盤のフォーク・ロックの勃興にも大きな力となった重要人物のひとりであったテリー・メルチャーは、バーズと契約を結び、1965年1月に自らプロデュースした「Mr. Tambourine Man」で彼らをデビューさせ、これがフォーク・ロックの誕生となったのでした。そんなテリーがプロデュースした自らソロ・アルバムで、なんとこの曲を歌っています。
Terry Melcher / Terry Melcher (Reprice)

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by scoop8739 | 2005-03-28 19:58 | 不朽の名曲

70 サリー・グッディン

(Sally Goodin)

a0038167_1815477.jpgカントリーとロックの境界線をまたいで活躍する名フィドラー、バイロン・バーラインは、ビル・モンロー率いる名門ブルーグラス・ボーイズの出身で、60年代後半にL.A.に移り住み、ローリング・ストーンズの「カントリー・ホンク」や、ザ・バンドの「アルケイディアの流木」などで名演を残しています。他にもバーズ、フライング・ブリトウ・ブラザーズ、グラム・パーソンズ、ジェームス・テイラーなどの録音やツアーに参加し、様々なセッションを経た後、1972年にカントリー・ガゼットを結成します。

その後、サンダンスやL.A.フィドル・バンドなどを組んで、さまざまなサウンドに挑戦しています。このように彼は、ルーツであるブルーグラスとロック・アーティストとの交流から学んだプログレッシヴな感覚を融合し、カントリーに新たな地平を切り拓きました。現在もブルーグラスに基盤を置いて精力的な活動を続けています。

彼が1995年に発表したソロ・アルバムに、オープニング曲として収められているのが「サリー・グッディン」です。ブルーグラスの世界では"フィドル&バンジョー"っていう言い方がありますが、アメリカ開拓の頃にバンジョーとフィドルを弾きながら夜通し踊ったり飲んだりして盛り上がった、そんな雰囲気のする曲です。
Byron Berline / Fiddle & A Song (Sugar Hill)

バイロンにとってこの曲は特別な想いがあるのでしょうか、あらゆるシーンでこの曲の演奏が聴けます。カントリー・ガゼットの3枚目のアルバムB面1曲目にこの曲が収録されています。
Country Gazette / Live At McCabes (CD化されていません)

1962年に家庭用テープ・レコーダーに収録されていたクラレンス・ホワイトのプライベート・レコーディングです。このテープは彼の死後に発見され、それを元に制作されたアルバムですが、クラレンスの熱いリード・ギターが聴けます。
Clarence White / 33 Acoustic Guitar Instrumentals (Sierra)

クラレンスとはまた違った流れるようなピッキングで、高度なテクニックをこともなげに聴かせてくれるのがデヴィッド・グリアです。
David Grier / I've Got The House To Myself (Dreadnought Recordings)

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by scoop8739 | 2005-03-27 18:18 | 不朽の名曲

69 アンクル・ペン

(Uncle Pen)

a0038167_18234230.jpgビル・モンロウのマンドリンはメロディーをシンコペイトさせて弾くスタイルと、アドリブ演奏、さらにそれを支える確実なテクニックが特徴です。これらの演奏法は伝説のフィドラーである叔父ペンから、そしてもう一方に黒人ブルース・ギターの名手でフィドルもよくしたといわれるアーノルド・シュワルツの影響によるものと言われています。

そんな師と仰ぐペン叔父さんのことをビルは歌にしています。この曲「アンクル・ペン」は、4分の3小節のギターのイントロに続き、フィドルが中心となって曲全体を盛り上げていきます。ビル・モンロウの後継者の一人リッキー・スキャッグスが、2002年にリリースしたアルバムの中でも、このモンロウお気に入りのバージョンを、トラヴィス・トリット、シャロンとシェリルのホワイト姉妹、チャーリー・ダニエル&メアリー・チャプリン・カーペンターらと共演しています。
Ricky Skaggs & Friends / Sing the Songs of Bill Monroe (Hollywood)

リッキー・スキャッグスはケンタッキー・サンダーを率いても、完璧かつエキサイティングなライブ盤をリリースしています。ここでは共に22才のアンディ・レフトウィッチ(Fiddle)とコディー・キルビー (Lead Guitar)、そしてIBMA最優秀バンジョー奏者のジム・ミルズをフィーチャーし、トラッド・ブルーグラスをビッグ・サウンドに仕立て上げています。この曲もそうしたメンバーによるもので、前述のアルバムとはまた違った汗の飛び散るような演奏が聴けます。
Ricky Skaggs & Kentucky Thunder / Live at Charleston Music Hall (Skaggs Family)

カントリーの天才といえばハンク・ウィリアムスですが、それによく似た名前にハンク・ウィルソンというシンガーがいます。じつはこれ、レオン・ラッセルが変名で出したカントリー・アルバムのタイトルでもあるのです。中身の方は本格的なカントリー・アルバムとなっていて、ナッシュビルの名手たちを従えて、ハンク・ウィリアムス作の名曲「ジャンバラ」や「アイム・ソー・ロンサム・アイ・クッド・クライ」を演ったりしています。この中の1曲に「アンクル・ペン」が収録されていました。大らかなサウンドとボーカルが心地よいアルバムです。
Hank Wilson's Back! ( CD化されていません)

エリック・ワイズバーグは、60年代にタリアーズやブルー・ヴェルベット・バンドを渡り歩いたバンジョーやフィドルの名手でした。そんな彼がスティーヴ・マンデルとともに映画「脱出」の主題歌を担当したのをきっかけに、当時流行っていたカントリー・ロック・バンドを結成しました。1973年にリリースされた彼らの唯一のアルバムの1曲目に、オープニングを飾るにふさわしいこの曲を披露しています。
Eric Weissberg & Deliverance / Rural Free Delivery (Unknown Lebel)

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by scoop8739 | 2005-03-26 18:25 | 不朽の名曲

68 デイブレイク・イン・デキシー

(Daybreak In Dixie)

a0038167_2054333.jpgこれはマンドリン奏者のビル・ネイピアがスタンレー・ブラザーズと活動している時代に作った曲で、マンドリン奏者にとっては古典的な課題曲とも言えます。いわゆる超アップ・テンポの早弾きを要求される曲なので、ジャム・セッションでこの曲が演奏され始めたら、初心者はそっと後ずさりしてください。
The Stanley Brothers / 20th Century Masters The Millennium Collection (Mercury)

ニューグラス・ブームに先鞭をつけたクリフ・ウォードロン率いるニュー・シェイズ・オブ・グラスは、のちにセルダム・シーンで活躍するマイク・オールドリッジ(Dobro)、ベン・エルドリッジ(Banjo)を擁する進歩的なバンドでした。しかし彼らがセルダム・シーンに移籍すると途端にオーソドックスなスタイルのバンドとなってしまいました。このアルバムでは日本人マンドリン奏者の大塚彰が「デイブレイク・イン・デキシー」を熱演しています。メロディ・ラインに日本的なニュアンスが感じられます。
Cliff Waldron & New Shades Of Grass / Bluegrass Time (Rebel)(CD化されていません)

最近、ソロ・インスト集などを発表してふたたび活躍をはじめたアラン・マンデですが、彼はバンジョー奏者にとってもっとも面白い奏法を提供してくれるプレイヤーとして有名です。右3本の指と4弦開放の"D"から1弦22フレットの"C"まで、あらゆる組み合わせを駆使してメロディーを紡ぎ出すその独自の折り目正しいメロディック・フレーズ・テクニックの数々はバンジョー弾きを常に唸らせるものです。ここでもアランが新しく結成したバンドで、ボーカルものにおける間奏やバックアップはもちろん、この曲もカポなしで弾いてしまうなどマンデ・バンジョーの世界を堪能させてくれます。
Alan Munde / Gazette (Munde's Child MCR)

1973年にジミー・ゴウドロウ(Mandolin)が、キース・ウィットリー(Guitar)、ジミー・アーノルド(Banjo)、ビル・ロウリングス(Bass)ら3人と結成したニュー・トラディッショナル路線のバンドがカントリー・ストアでした。活動時期が少し早過ぎたのか、わずか2枚のアルバムしか残さずに解散してしまいました。その1枚のライヴ・アルバムにこの曲が収録されていて、ここではタイトルが「ラルフズ・バンジョー・スペシャル」(Ralph’s Banjo Special)となっています。ジミーの正確で丁寧なマンドリンが聴かれます。
Country Store / Live! (Ridge Runner Record) (CD化されていません)

リッキー・スキャッグス&ケンタッキー・サンダーのリード・ギタリストとして、リッキー流クラシック・ブルーグラス復興に貢献してきたクレイ・へスのソロ・アルバムにもこの曲は収録されています。アンディのマンドリンとの壮絶なバトルにも、さすがトップ・バンドで鍛えられてきた実力をいかんなく発揮しています。
Clay Hess / Red Haired Boy (Lavenir Records)

アリスン・クラウス&ユニオン・ステイションのメンバーとして活躍するアダム・ステッフィー(マンドリン、ボーカル)の初ソロ・アルバムにもこの曲が収録されています。そのテクニックとセンスの素晴らしさゆえにアリスン・クラウス以外にも多くのアーティストのアルバムにゲスト参加しているステッフィーですが、この曲を始めとしてブルーグラス・スタンダードが数多く収録されています。
Adam Steffey / Grateful (Mountain Home)

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by scoop8739 | 2005-03-25 20:56 | 不朽の名曲

67 ブルー・リッジ・マウンテン・ブルース

(Blue Ridge Mountain Blues)

a0038167_21191882.jpgサザン・マウンテン・フォーク・ミュージックを母体に持つブルーグラス音楽のバラードには、曲のテーマ、または内容の発生場所として、キャロライナ、ブルー・リッジ・スモーキーなどの山小屋の背景描写が数多く使用されているのが特色です。ブルーグラスの音楽的性質上、自然とこういったムードが重要なマテリアルのひとつとなるのかもしれませんね。

さて、カントリー・ジェントルメンはワシントンD.C.で結成され、その活動基盤を都市周辺のライヴ・ハウスとしていましたが、レパートリーの多くは南部の自然に題材を求めています。この曲の他にも、「ブルー・リッジ・マウンテン」や「ブルー・リッジ・マウンテン・ホーム」といった「ブルー・リッジ」を題材とした曲をレパートリーとしていました。

そんなカントリー・ジェントルメンは数多くのライヴ・ヴァージョンを残しています。この曲が聴けるのは、1963年1月6日、オハイオ州コロンバスのコーヒー・ハウス「セイクレッド・マッシュルーム」で収録されたものです。どうも英語が苦手なので、チャーリー・ウォーラーが何をしゃべっているのか理解できませんが、雰囲気からするとどこかの訛りで歌っているのでしょう。
The Country Gentlemen / On The Road (And More)

カントリー・ジェントルメンとは仲の良いビル・クリフトンもこの曲をレパートリーにしていました。伸びのあるビルの歌声がブルー・リッジの山々にこだましそうな感じがします。
Bill Clifton / The Early Years (1957-1958) (Rounder)

1963年当時のブルー・グラス・ボーイズは、ギターとボーカルにデル・マッカリー、バンジョーにビル・キース、フィドルにジョー・スチュアートという第2期黄金時代を迎えていました。このメンバーでのライヴでも歌っています。この曲は、いわゆるビル・モンロウ・ソングではないのですが、聴衆のリクエストに応えて気持ちよく演奏しています。間奏には特徴ある突っかかるようなビルのマンドリンが聴きものです。
Bill Monroe And His Blue Grass Boys / Live At Mechanic Hall

アール・スクラッグスがエルトン・ジョンやスティング、ドン・ヘンリーといった多くのポップ・シンガーたちと組んで意欲的に制作したアルバムです。この曲をジョン・フォーガティ(元クリーデンス・クリアウォーター・リバイバル)が特徴のある声で歌っています。
Earl Scruggs And Friends / Blue Ridge Mountain Blues (MCA)

ドク・ワトソンのライヴを集めたアルバムでは、ハーモニカのイントロに続いて独特の温かい歌声と間奏のフラット・ピッキング・ギターが堪能できます。
Doc Watson / The Essential Doc Watson (Vanguard)

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by scoop8739 | 2005-03-24 21:21 | 不朽の名曲

66 オレンジ・ブロッサム・スペシャル

(Orange Blossom Special)

a0038167_2050171.jpg41歳という若さでこの世を去ったスコッティ・ストーンマンは、音楽一家に生まれ、幼少時代からファミリー・バンドで天賦の才能を発揮し、その後5回もナショナル・チャンピオンに輝いたというブルーグラス・フィドルの巨人でした。このライブ・アルバムは彼の最もエキサイティングな演奏を収録したものです。

フィドル・チューンの定番「オレンジ・ブロッサム・スペシャル」は、フィドラーならライヴの中で必ず演奏しければならない(?)という大変ポピュラーな曲ですが、彼の演奏には感嘆させられてしまいます。ケンタッキー・カーネルズをバックに、彼はまさに天才の名にふさわしく火の出るようなフィドル・プレイを聞かせてくれます。聴いているこちらまでもが熱くなってしまうくらいのエキサイティングな演奏に、スコッティを初めて聴く人は度肝を抜かれることでしょう。ブルーグラス・ファンにとっては必聴、必携のアルバムです。
Scotty Stoneman with Kentucky Colonels / Live in L.A.! (Rural Rhythm)

「マールフェス・ライブ!・ベスト・オブ・2003」は、アメリカーナ音楽集といった感じで、前半はカントリーからフォークを軸に、アスリープ・アット・ザ・ホィールやザ・ホワイツ、ウェスタン・スウィングからニッティ・グリティ・ダート・バンドまでと、とてもバラエティに富んだものです。しかし何といっても7曲目に登場する、約10分に及ぶバッサー・クレメンツの75才の誕生日を記念した「オレンジ・ブロッサム・スペシャル」には圧倒されます。バッサーに続いて、ベラ・フレック、ジェリー・ダグラス、サム・ブッシュとピーター・ローワンのコーラス、ブライアン・サットン、そしてバッサー、その間、決して緩まないサム・ブッシュのマンドリン・チョップの凄さ、さらにバックで聴こえる激しいインプロバイズの波、波、波…。
Various Artists / Merlefest Live! The Best of 2003 (Merlefest)

ビートルズのプロデューサーだったジョージ・マーチンによって制作されたのが、カリフォルニアを拠点とする「シートレイン」の1971年のアルバムにもこの曲は収録されています。「シートレイン」は、ピーター・ローワン、リチャード・グリーンを中心としたフュージョン・ロック・グループでした。この中でもリチャードの飛んでいるようなフィドルが炸裂します。
Seatrain / Second Album & Marblehead Messenger (BGO)

異業種からは、「霧のカレリア」や「空の終列車」のヒットで一世を風靡したフィンランドのエレキ・インスト・グループ、ザ・スプートニクスが「夢のオレンジ号」というタイトルで演奏しています。リード・ギターのボー・ウィンバーグの早弾きは見もの、いや聴きものです。
ザ・スプートニクス / 霧のカレリア (ビクター・エンターテインメント)

余談になりますが、こんなCD-Rが発売されています。それは、20世紀最高のカントリー・フィドラー(ブルーグラスとジャズ・スウィングも含む)の一人、バディ・スパイカーが見せる「オレンジ・ブロッサム・スペシャル」のノウハウ集です。ある程度の基礎があるフィドラーには、そして超一流のアーティストの真髄(素顔も含めて)を知ろうとするシビアなリスナーやプレイヤーには、とても貴重な映像です。いいミュージシャンになるには、「見ること」、そして既に知っていることでも新しく「感じること」が非常に大切だと思います。教則モノとして良く出来たものではありませんが、ある次元にいれば様々なことを学べる作品なのだそうです。通して弾く3分と、そのコツを会話の中で説明する6分、正味僅か10分の勝負です。このCD-RはWindows95以上のPCで「ウィンドウズ・メディア・プレイ」(WMP version 7)に対応するもので視聴できます。
Buddy Spicher / How to Play Orange Blossom Special (CD-R)

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by scoop8739 | 2005-03-23 20:52 | 不朽の名曲

65 ハード・ハーテッド

(Hard Hearted)

a0038167_2045211.jpg「hard hearted」を訳すと「冷酷な」とか「無情な」という意味になります。これをタイトルとする曲があって、歌っているのは美しいハーモニーが特徴的なジム&ジェシーのマクレイノルズ兄弟です。彼らは特に兄ジムの美しい伸びやかなテナーがバンドの大きな売りとなっていますが、どうも曲のタイトルと歌声のニュアンスがミス・マッチな感じがします。

さて、ブルーグラスの王道をひたすら突っ走る彼らの白熱のライヴ・ショーは、なんと1978年11月に日本で録音されました。このアルバムはジム&ジェシーの真髄が味わえる歴史的な名唱名演盤として、世界初CD化されたものです。
ジム&ジェシー / エキサイティング・ブルーグラス・ライヴ・イン・ジャパン (国内盤)

トニーとラリーのライス兄弟と、クリス・ヒルマン、ハーブ・ペダースンのデザート・ローズ・バンドの2人によるセッション・バンド、ライス・ライス・ヒルマン&ペダースンの作るアルバムは、同時代を生きた彼らの音楽的バックボーンが窺える選曲で非常に面白いものです。クリス・ヒルマンのリード・ボーカルが本当にカッコいいですね。
Rice, Rice, Hillman, Pedersen / Running (Uni / Rounder)

常にハイ・テクニックのフィドルを披露してくれるヴァッサー・クレメンツが、長年の友人でもある多くのミュージシャンを擁して作ったアルバムは、サム・ブッシュ(mandolin)、ブライアン・サットン(guitar)、ジョッシュ・グレイヴス(dobro)、ケヴィン・グラント(bass)を基本セットにして、各曲でゲスト・ヴォーカリスト、ゲスト・プレイヤーを招いての豪華なものでした。本家のジム&ジェシーが参加して「ハード・ハーテッド」をレコーディングいます。
Vassar Clements / Full Circle (Oms)

ローランド・ホワイトは昔からこの曲が好きな様子で、あらゆるバンドでレパートリーにしています。
The Kentucky Colonels / Living In The past (Live) (Hollywood)

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by scoop8739 | 2005-03-22 20:46 | 不朽の名曲