28 バーズとフォーク・ロックの誕生

ビートルズに触発されたジム・マッギン(のちにロジャーと改名)、デヴィッド・クロスビー、ジーン・クラークの3人は、ロスアンジェルスのコーヒーハウス、トゥルバドールで出会い、意気投合してジェット・セットなるバンドを結成します。その後、ブルーグラス・バンドで活躍していたクリス・ヒルマンと、ドラマーのマイケル・クラークが加入し、バーズ(BYRDS)と名前を変えて1964年にコロンビアと契約します。

ビートルズとボブ・ディランの融合によるフォーク・ロック・サウンドの確立を目指していた彼らは、フォーク・ソングの持つ温かな雰囲気と、ロックンロールのリズム感と豊かなハーモニーを融合させた独特のサウンドを創り出し、翌年にボブ・ディラン作の「ミスター・タンブリンマン」でデビューを飾ります。これがいきなり全米ナンバー1に輝いたのでした。

次いでピート・シーガー作の「ターン・ターン・ターン」をヒットさせ、この2曲でバーズは「フォーク・ロック・サウンド」という新しいスタイルを確立させました。ちなみに「ミスター・タンブリンマン」の録音では、ジム・マッギンの12弦ギター以外の楽器は、レッキング・クルーと呼ばれるスタジオ・ミュージシャンによるものだったようです。しかしクロスビー、マッギン、ジーンによる美しいハーモニーは、フォーク・ソングをポップスに変身させる大きなポイントになりました。そして彼らは、この後も次々と新しいサウンドへのチャレンジを続けてゆきます。

Mr. Tambourine Man (Columbia/Legacy )
a0038167_16574270.jpg1. Mr. Tambourine Man
4. You Won't Have to Cry
5. Here Without You
6. Bells of Rhymney
7. All I Really Want to Do
8. I Knew I'd Want You
9. It's No Use
10. Don't Doubt Yourself, Babe
11. Chimes of Freedom
12. We'll Meet Again
13. She Has a Way
14. I'll Feel a Whole Lot Better
15. It's No Use
16. You Won't Have to Cry
17. All I Really Want to Do
18. You and Me

こうして「フォーク・ロック」を築き上げたバーズですが、いつまでもフォーク・ロックに留まっていたわけではありません。彼らはメンバー交代の激しいバンドとしても知られ、メンバーの変遷と共に音楽性も目まぐるしく変化していきました。

まず1966年に、曲作りの中心的存在であったジーン・クラークが脱退した頃から、彼らはビートルズやクリームなどのブリティッシュ・ロックの影響を受け始め、テープ処理などで音を加工したり、ドラッグによる幻覚症状を音楽で再現する試みを始めます。こうした音楽は後に「サイケデリック・ロック」と呼ばれるようになりますが、バーズが試みていた当時はまだこの呼称はなく、「ラーガ・ロック」とか「スペース・ロック」などと呼ばれていました。当時の彼らのサウンドは、1967年頃から盛んになるサンフランシスコのロックに多大な影響を与えていきます。

さらに1968年には、新加入したグラム・パーソンズの影響によりバーズはカントリー・ミュージックに急接近します。それは元々ブルーグラス・バンド出身だったクリス・ヒリマンにとっても接近しやすい音楽でした。そうしてカントリーの影響を受けた彼らの音楽は「カントリー・ロック」と呼ばれ、1970年代のウエストコースト・ロックの基本となっていったのでした。なお、バンドに多大なる影響を与えたグラム・パーソンズは、半年ほどバーズに在籍しただけで脱退し、バーズのオリジナル・メンバーのクリス・ヒルマンらを引き連れて新しく「フライング・ブリトウ・ブラザーズ」を結成します。そして更に深くカントリー・ロックを追及していくことになるのです。

Sweetheart of the Rodeo(Sony/Columbia)
a0038167_16583589.jpg1. You Ain't Going Nowhere
2. I Am A Pilgrim
3. The Christian Life
4. You Don't Miss Your Water
5. You're Still On My Mind
6. Pretty Boy Floyd
7. Hickory Wind
8. One Hundred Years From Now
9. Blue Canadian Rockies
10. Life In Prison
11. Nothing Was Delivered
12. You Got A Reputation
13. Lazy Days
14. Pretty Polly
15. The Christian Life (Rehearsal-Take #11)
16. Life In Prison (Rehearsal-Take #11)
17. You're Still On My Mind (Rehearsal-Take #43)
18. One Hundred Years Form Now (Rehearsal-Take #2)
19. All I Have Is Memories (Instrumental)

バーズは1969年以降についにオリジナル・メンバーはリーダーのロジャー・マッギンただひとりとなってしまいますが、彼と新加入したクラレンス・ホワイト(元ケンタッキー・カーネルズ)を中心として、これまでに試みた音楽性を集大成し、さらにアメリカ南部の音楽などを取り入れた豊穣なサウンドを作り上げます。しかし1971年には残念ながら解散してしまいますが、彼らの切り開いた道筋は多くのミュージシャン達によって受け継がれることになります。
(この章は佐々木実さん作成のHPから一部抜粋使用させていただいております。
http://www02.so-net.ne.jp/~m-sasaki/byrds.html)

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by scoop8739 | 2004-09-02 09:54 | ブルーグラスの歴史
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