22 モダン・ブルーグラスの旗手

a0038167_1065918.jpg1960年代前半のブルーグラス界はカントリー・ジェントルメンが台風の目となって活躍します。初期の彼らは古い民謡にそのレパートリーを求めましたが、次第にエディ・アドコックのジャジーなバンジョーを中心としたソリッドなインストゥルメンタルや、ジョン・ダフィーのエキセントリックなテナーを強調したトリオ・コーラス、さらにモダンなアレンジを加えた楽曲など、感受性豊かな都会的モダニズムで新時代のストリクトリー・ブルーグラスに仕上げ、これらをレパートリーの中心とします。

とくにジャズ・ナンバーをアレンジした「サンライズ」、「心の痛手」、オリジナル曲の「ナイト・ウォーク」といったインストゥルメンタルの斬新さは、彼らの人気の最大要因となりました。

またもっと重要なのは、彼らが用いたトリオ・コーラスの手法がその後のブルーグラス・コーラスを決定づけたことです。とくにエディのバリトン・シンギングは、それまでは軽く見られがちだったバリトンの重要性をあらためて認識させました。チャーリー・ウォーラーのどちらかというとドロ臭いリードに、ジョンの強烈なテナーが被さり、そしてエディのバリトンが見事なまでにかみ合って、独特なサウンドを生み出したのです。

そしてカントリー・ジェントルメンは、1961年9月にブルーグラス・バンドとして初めてカーネギー・ホールに出演し、モダン・ブルーグラスの旗手としてブルーグラス界に新風を送ったのでした。そんな影響もあって、ボストンからはジム・ルーニーとビル・キース、そしてニューヨークからはグリーンブライア・ボーイズ、チャールズ・リヴァー・バレー・ボーイズといった都会人によるブルーグラス・バンドが続々と登場しブルーグラス・シーンを賑わせました。

さてここで、カントリー・ジェントルメンがマーキュリー・レコードに残したアルバムを紹介しましょう。このアルバムは日本で初めて紹介されるや大評判となり、当時の学生バンドのほとんどがアルバムの中の曲をレパートリーに加えていたと言われています。まず1曲目の「青い鳥が呼んでいる」は、元メンバーだったバンジョー奏者のピート・ロバーツがアレンジしたものです。そのピートとジョンがアレンジしたのが2曲目のカーター・ファミリー・ソング「せつない日」、そしてビル・モンロー・ソングの4曲目「聞こえないのかい」は大胆なアレンジと、チャーリーの圧倒的なボーカルを聴くことができます。9曲目はドン・リーノウのバンドのギタリスト、シド・キャンベル作「今朝9時に」、ジョンとエディのアレンジによる10曲目の「ダイナおばさんのパーティー」では珍しくエディのボーカルが聴けます。また全曲に亘るトム・グレイのソリッドな4ビート・ベースがカントリー・ジェントルメンのモダン・サウンドの大きなファクターとなっていることに気づくことでしょう。このアルバムではダイナミックかつエキサイティングな、彼らとしては一番油の乗り切っていた頃の演奏が堪能できます。

Folk Session Inside (Copper Creek)
1. Bluebirds Are Singing for Me
2. Sad and Lonesome Day
3. The Girl Behind the Bar
4. Can't You Hear Me Calling
5. The School House Fire
6. Nightwalk
7. The Galveston Flood
8. The Young Fisherwoman
9. This Morning at Nine
10. I Am Weary (Let Me Rest)
11. Aunt Dinah's Quilting Party
12. Heartaches
BONUS TRUCK
13. Dark as a Dungeon
(次回につづく)

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by scoop8739 | 2004-08-23 10:05 | ブルーグラスの歴史
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