20 ロカビリーの大流行とフォーク・リヴァイヴァル旋風

アメリカ南部の白人音楽と黒人音楽とのクロスオーバーから誕生したのがロカビリー音楽です。オハイオ州クリーブランドにあるラジオ局の白人DJ、アラン・フリードによって広められますが、ビル・ヘイリー(Bill Haley)と彼のコメッツ(The Comets)は、白人ティーンエイジャーたちの間で黒人リズム&ブルースが大きな話題と支持を集めていることに気がつき、「ロック・アラウンド・ザ・クロック」という曲を発表します。これが1955年でした。この曲は映画『暴力教室』の主題歌として使用されるや世界的な大ヒットとなります。この年、黒人シンガーのチャック・ベリー(Chuck Berry)は「メイベリーン」を、ファッツ・ドミノ(Fats Domino)は「エイント・ザット・ア・シェイム」を、さらにリトル・リチャード(Little Richard)は「トゥッティ・フルッティ」を発表し、いずれも大きな反響を得ます。

とどめは何と言っても、テネシー州メンフィスのマイナー・レーベル「サン」から破天荒の契約金と共にRCAへスカウトされた、あのエルヴィス・プレスリー(Elvis Presley)のセンセーショナルな登場でした。そして翌56年に、彼は黒人音楽のノリを強くした名曲「ハウンド・ドッグ」、「ハートブレイク・ホテル」を、さらに「冷たくしないで」などを世に出し、これを連続11週もナンバー1にしてしまいました。

またエルヴィスの古巣「サン」レコードからは、カール・パーキンス(Carl Perkins)が「ブルー・スェード・シューズ」を、ジェリー・リールイス(Jerry Lee Lewis)が「火の玉ロック」を、ジーン・ヴィンセント(Gene Vincent)が「ビー・バップ・ア・ルーラ」を、そしてエディ・コクラン(Eddie Cochran)が「サマー・タイム・ブルース」をと、この1955年から57年の2年間はアメリカのミュージック・シーンが「ロカビリー」一色に染まったのでした。

ロカビリー音楽の大流行の波は、昔からの音楽のすべてをヒット・チャートの外へと追いやります。もちろんブルーグラス音楽も例外ではありませんでした。そんな中、ブルーグラス界はわずかにマーサ・ホワイトという強力なスポンサーにかかえられた「フラット&スクラッグス」だけがこの激動の波をものとせず、わが世の春を歌っている以外、御大ビル・モンローをはじめとして、あるものはケンタッキーに、またあるものはヴァージニアに、さらにはスタンレー・ブラザースのようにフロリダあたりにまで足を伸ばしてこのハード・タイムスを何とかしのいでいました。つまりこの時代は、「ブルーグラス音楽」が瀕死の状態にあったのです。

ブルーグラス音楽にとって、この暗黒の時代は1950年代が終わろうとする頃になってやっと明るい兆しが見えてきます。キングストン・トリオの出現によってブルーグラス音楽は伝統的音楽のひとつのスタイルとして認識され、北部や西部の大学、さらにコーヒー・ハウスに生息地を見出します。

1959年7月、先陣を切ってアール・スクラッグスがハイロ・ブラウンを伴って「ニューポート・フォーク・フェスティバル」に出演します。またフラット&スクラッグスとしては同年夏の「フォーク・ミュージック1959」というテレビ・ショウに出演しました。さらに翌年2月、オズボーン・ブラザーズがカントリー、ブルーグラス・バンドとしては初めてオハイオ州アンティオック大学でコンサートを行い、大成功を収めます。1960年というとアメリカではフォーク・ミュージック全盛の頃で、観客はブルーグラスをフォーク・ミュージックのひとつと認識していたのでした。こうしてオズボーン・ブラザーズのカレッジ・コンサートでの成功は、多くのブルーグラス・バンドをフォーク・マーケットに送り込むこととなります。

Newport Folk Festival:
Best of Bluegrass 1959-1966 [BOX SET] (Vanguard )a0038167_14532033.jpg
ディスク: 1
1. John Henry
2. Gathering Flowers from the Hillside
3. Love and Wealth
4. Orange Blossom Special
5. Prisoner Song
6. How Mountains Girls Can Love
7. Man of Constant Sorrow
8. Gathering of Flowers for the Master's Bouquet
9. Choo Choo Coming
10. Salty Dog Blues
11. Before I Met You
12. Cabin on the Hill
13. Jimmie Brown, the Newsboy
14. Border Ride
15. Gosh I Miss You All the Time
16. Dill Pickle Rag
17. She Left Me Standing on the Mountain
18. Pardon Me
19. Sweet Little Miss Blue Eyes
ほか全51曲
(次回につづく)

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by scoop8739 | 2004-08-19 14:52 | 同時代の音楽
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