スターディへの録音 (5)
さてジェントルメンに新しい兆しが現れます。1989年5月13日に行われた6度目のセッションにベーシストとして呼ばれたのが、のちにリズム・ワークを掌ることとなるトム・グレイでした。ただしまだ正式メンバーとしてではなく「ノーバディ・ビジネス」1曲のみの参加でした。またこの時、同時に録音されたのは、「9ポンドのハンマー」、「おとめの挽歌」(I'll Never Mary)、「トラベリング・ドブロ・ブルース」と合わせての4曲となっています。 「9ポンドのハンマー」はお馴染みのトラディッショナル・ナンバーです。この曲では、ピートがオーバー・ダビングでフィンガー・ピッキング・スタイルのリード・ギターを弾いています。「おとめの挽歌」は、カーター・ファミリーがレパートリーとして歌っていた乙女の失恋歌でした。ジェントルメンのこの曲は後にロアノークでのライヴ盤にも収録されていますが(ただしロアノークでの演奏ではありません)、長い間持ち歌にしていたようです。この曲でダフィーはオーバー・ダビングでドブロを弾いています。「トラベリング・ドブロ・ブルース」はそのダフィーのドブロをフィーチャーした曲です。 「ノーバディ・ビジネス」(邦題:ボクだけのこと)は、汗水流して働いて得た賃金を、みんな女房に取られる哀れな男のことを歌ったトラディッショナル・ナンバーです。この曲はスタンレー・ブラザーズもレパートリーとして取り上げているストレイトなブルーグラスです。なお、ジェントルメンは1961年11月6日のスターディでの11度目のセッションで再びレコーディングしています。その時の録音はエコー処理で少しモダンな仕上がりとなっています。聴き比べてみるのもいいでしょう。 なお、「おとめの挽歌」と「トラベリング・ドブロ・ブルース」はカップリングで、同月にシングル盤として発売されています。 【資料参考:King Records“Country Gentlemen / High Lonesome”(レコード番号3510-2-2)】 人気blogランキングへ
by scoop8739
| 2006-02-05 14:46
| カントリー・ジェントルメン
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