159 心の痛手

(Heartaches)

カントリー・ジェントルメンの“ジャズ路線”つながりで紹介するのがこの曲です。これはとても古い曲で、1931年にジョン・クレナーが作詞し、アル・ホフマンが作曲したものですが、同年1月にガイ・ロンバード楽団によってレコーディングされ、4月から6月にかけてヒットしました。その後1933年にもテッド・ウィームス楽団がエルモ・タナーの口笛ソロをフィーチャーしビクターにおいて録音しています。これはルンバ風のアレンジと口笛の面白さで評判になっています。さらにウィームス楽団は1938年にも、タナーをフィーチャーしてデッカにて再録音し、この時はまずまずの結果だったようです。

a0038167_1832717.jpg第2次世界大戦がはじまり、楽団員が次々と戦地に赴くと彼はバンド活動を停止しますが、終戦を機に再編します。偶然にもこの1946年末にノース・カロライナのラジオDJが、13年前に録音された「ハート・エイクス」を気に入って繰り返しオンエアしたところ、全国的に火がつきヒット・パレードのトップに踊り出るという珍事が起こり、オールド・スタイルな彼のバンドは一躍注目の的となりました。

「ハート・エイクス」は1930年代当時としてはモダンなラテン・リズムのインストで、ノンビリしたメロディがなんとも心地いいナンバーでした。人々の耳を捉えた最大の要因は、2番のメロディをユーモラスな口笛で吹き通している点にあったのでしょう。この思いがけないヒットのお礼に、ウィームス楽団は件のラジオDJの誕生パーティーで出張演奏をプレゼントしたそうです。10年以上前に録音した曲を100万枚以上売ってくれたのですから、これくらいするのは当然ですよね。

この時期、彼はマーキュリーに所属していましたが、“インスタント・スマッシュ”を機に各社は競って彼の過去のカタログを再発します。RCAだけでなくデッカも1938年に再録音されたこの曲をリリースしています(ヒットチャートには両方のレコード番号が並記されていたようです)。再発売されたビクター盤とデッカ盤の両方がチャートに16週間も1位をマークしました。

a0038167_1842325.jpgこの曲をブルーグラス・アレンジしたのがカントリー・ジェントルメンでした。彼らはバンジョーのエディ・アドコックとマンドリンのジョン・ダフィーによるジャージーなインストゥルメンタルが売り物でした。この曲でも、エディはギターのマール・トラヴィスやチェット・アトキンスのギャロッピング奏法と、ダン・リーノウのスタイルをさらに発展させた画期的なフィンガリングを聴かせてくれます。これにジョンの華々しいマンドリン演奏が加わることによって作品をさらに完成度の高いものへと昇華させ、さらにトム・グレイの4ビート・ベースやチャーリーの刻むギターのリズムが彼らを好サポートし、よりジャズっぽさを強調させていったのでした。

この4人が同時に在籍している期間、つまり1961年の春から63年の夏までに数多くのライヴやスタジオ録音がなされていますが、中でもこの曲を収録したアルバム「フォーク・セッション・インサイド」はブルーグラスの名盤中の名盤と言っても過言ではないでしょう。

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by scoop8739 | 2006-01-02 18:05 | 不朽の名曲
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