143 クリスマス・ソングをブルーグラスで (8)

山の上で告げよ (Go Tell It On The Mountain)

ピーター・ポール&マリー(PP&M)がアメリカでデビューしたのは1962年のことでした。その当時のボクはまだ小学校6年生で、ビートルズで初めてポップスを知り、以来、中学生から高校生になるまでは、イギリスのポップスやロック、ビーチ・ボーイズやモータウンやアトランティックなどアメリカのポップスやソウル・ミュージック、さらには日本の歌謡曲やポップスなど、それはそれは雑多な聴き方をしていて、PP&Mをじっくり聴くということはありませんでした。

a0038167_2153724.jpg後年、友人に勧められてPP&Mのサード・アルバム「イン・ザ・ウインド」を買ったところ、やっと、というか、遅まきながら彼らのハーモニーの素晴らしさに感動したものでした。さて、このアルバムの中にゴスペル・ソング「山の上で告げよ」(Tell it on the mountain)がありました。歌の内容は、「ジーザス・クライストが生まれたその喜びを、山の上から世界に告げよう!」というもので、もともとアフリカ・アメリカの黒人霊歌として伝わる歌なのだそうです。

PP&Mの歌っているヴァージョンは、オリジナルのストーリーを大きくアレンジして、キリストの誕生を、モーゼに率いられたイスラエル人のエジプト脱出に変えています(Man Come Into Egyptと同じストーリー)。イスラエル人とは、つまりユダヤ人のことですが、それは、ピーター自身がユダヤ人だからそうしたのかなと思っていたのですが、その翌年(1963年)、サイモンとガーファンクル(S&G)がアルバム「水曜の朝、午前3時」の中で、この曲を原文のまま、すなわちキリストの誕生を祝った歌としてレコーディングしています。ちなみにポール・サイモンもユダヤ人なのです。

どうしてPP&Mは内容を変え、S&Gはそのまま歌ったのかな?と、単純な疑問があったのですが、キリストが神の子であることを認めないユダヤ教の信者にとっては、歌手だからといってキリストに関する歌を作ったり歌ったりすることに抵抗はないのかなぁと思う訳です。一人のユダヤ人は歌は芸術であり、宗教に縛られることはないというのです。しかし、芸術とは自分の思想を表現するものであるはずで、どうしてポール・サイモンがキリスト誕生の歌をあえてレコーディングしたのか、まだ納得がいかないボクなのです。

a0038167_21504654.jpgというところで、この曲をブルーグラス・アーティストのティム・オブライエンも歌っています。ユニット・バンド「ニューグランジ」のクリスマス・アルバム「ア・クリスマス・ヘリテージ」(A Christmas Heritage)の中で、フィリップ・アアバーグのピアノ、ダロル・アンガーのヴァイオリン、アリソン・ブラウンのバンジョー、マイク・マーシャルのギター、トッド・フィリップスのベースという超豪華メンバーを従えて、マンドリンを弾きながら滔々と歌います。とてもゴスペルとは思えないジャージーなアレンジでオシャレな曲に仕上がっています。

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by scoop8739 | 2005-11-30 21:54 | クリスマス・ソング
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