214 時系列で聴くカントリー・ジェントルメン (52)

レベルへの録音 (12)

a0038167_08320674.jpg

さて今回は、アルバム「不思議な少女」(Bringing Mary Home)B面3曲目「風吹きすさぶ国」(A Cold Wind Blowing)からです。この曲もまた前スタジオ録音アルバム「ナッシュヴィルの監獄」(Nashville Jail/当時は未発表)B面1曲目に収録されるはずの曲を再度レコーディングしたものです。作者の一人、アン・ヒル・ストリーターは当時を振り返りこう語っています。「私は公民権運動に参加した折、ボブ・ディランの名曲”風に吹かれて”(Blowing In The Wind)を意識した歌詞を思いついて書き、これにジョン・ダフィが曲を付けました」と。

4曲目「スパニッシュ・ツー・ステップ」(Spanish Two Step)は、カントリー・スウィングの雄、ボブ・ウィルスの作品です。彼は1935年にコロンビア、1955年にはデッカでそれぞれレコーディングしています。またこの曲は、名曲「サン・アントニオ・ローズ」を作曲する際の基礎となったそうです。チャーリーのギター・ワークが光るインスト曲です。

5曲目「アンクル・ジョー」(Uncle Joe)もまた、前スタジオ録音アルバム「ナッシュヴィルの監獄」(Nashville Jail/当時は未発表)B面2曲目に収録される曲を再度レコーディングしたものです。エディの子供時代の想い出を、「アンクル・ジョー」を通して描いています。彼のヴォーカルも聴き逃せません。

そして最後の6曲目「光を求めて」(Let The Light Shine Down)はセイクレッド・ソングです。1955年に、御大ビル・モンロゥがデッカにて録音を残しています。「正しく生きられるように、道を踏み外さないように、神よ我に光を」と歌っています。

以上がアルバム「不思議な少女」(Bringing Mary Home)のすべてですが、実はこのセッションでもう2曲ほどレコーディングされていました。

その1曲が「罪人とバラ」(The Convict And The Rose)です。この曲はベティ・チャプリンとロバート・キングの共作で、ハンク・スノウが1958年にレコーディングしています。ハンクをアイドルとするチャーリーがこの曲をグループに持ち込んだものと思われます。ブルーグラスにアレンジされたこのヴァージョンはレベル社が1998年に、カントリー・ジェントルメンの4枚組ボックス・セット「アーリー・レコーディング19621971」を編集する際に新しく収録しています。

もう1曲は、「静かに揺れよ、愛しい荷車」(Swing Low, Sweet Chariot)です。ビル・モンロゥの1973年発売のライヴ・アルバム「ビーン・ブロッサム」(Bean Blossom)では、出演者が総出で最後の締め括りにこの曲を合唱しています。原曲は、1870年代にテネシー州ナッシュビヴィルのフィスク大学で活動していたアフリカ系アメリカ人グループ「ジュブリー・シンガーズ」(The Jubilee Singers)によって、アメリカ各地に広められた黒人霊歌でした。歌詞にはチャリオットに乗って天国へ昇る描写がありますが、これは旧約聖書に登場するユダヤ人の預言者エリヤ(The Prophet Elijah)が火の戦車に乗って天に昇っていく様子と関連があるとされています。この曲はレコーディングされたものの、マスターが紛失してしまい、残念ながら現存していません。

ということで、アルバム「不思議な少女」(Bringing Mary Home)セッションでレコーディングされた曲の解説を終わらせていただきます。
[PR]
by scoop8739 | 2017-09-07 08:35 | カントリー・ジェントルメン
<< 215 ちょっと一服、1965... 213 時系列で聴くカントリー... >>