199 時系列で聴くカントリー・ジェントルメン (38)


マーキュリーへの録音 (2)

それでは名盤「フォーク・セッション・インサイド」のA面から聴いていきましょう。

a0038167_16261433.jpg軽快なバンジョーのイントロから始まる1曲目「青い鳥が呼んでいる」(Bluebirds Are Singing For Me)は、オリジナルが南部山岳地帯のトラディッショナル曲です。この曲はマック・ワイズマンが得意としていた曲でした。しかし当時、マックはまだレコーディングしておらず、それをジョン・ダフィーとピート・ロバーツがブルーグラス風にアレンジし録音しました。チャーリー・ウォーラーの声が溌剌としています。

ギターの重いイントロから始まる2曲目「悲しく、せつない日」(Sad And Lonesome Day)は、南部山岳地帯で創造的発掘とレコーディング活動を続けていたカーター・ファミリーが大恐慌時代に創った作品でした。かつてオズボーン・ブラザーズが「Sad And Lonesome Day Blues」というタイトルで歌っていました。ジョンとチャーリーの斉唱で歌われます。

3曲目の「酒場の女」(The Girl Behind The Bar)は、スタンレー・ブラザーズの1947年の作品です。スタンレー・ブラザーズがクリンチ・マウンテン・ボーイズを結成して間もなく、リッチ・R・トーン社にレコードを残しています。ジョン・ダフィーとピート・ロバーツはスタンレーのファンであったため、機会あれば録音したいと思っていたそうです。この曲もまたジョンとチャーリーの斉唱で歌われています。

4曲目の「聞こえないのかい」(Can’t You Hear Me Calling)は、大御所ビル・モンロゥがコロンビア社の黄金時代にレコーディングした曲です。この曲にジェントルメンは大胆なアレンジを施し、チャーリー・ウォーラーによるボーカルがリスナーを圧倒します。また、エディ・アドコックとピート・ロバーツによるツイン・バンジョーも聴きごたえがあります。ちなみにビル・モンロゥ盤のデュエット相手はマック・ワイズマンでした。ジョンとチャーリーとエディによる三部コーラスが聴きものです。

5曲目は「学校の火事」(The Scool House Fire)です。ディクソン・ブラザーズのドーシー・ディクソンが書いた曲で、田舎の小学校の学芸会に起きた火事のことを歌っています。あまりに突然の出来事に逃げ場を失ない、炎に包まれて死んでいったいたいけない子供への哀惜を、ジョンが感情込めて歌っています。

ベースのイントロから始まるA面最後の曲「ナイト・ウォーク」(Night Walk)を作曲したのはメンバーのバンジョー奏者エディ・アドコックです。彼の演奏スタイルは、従来のブルーグラス・スリーフィンガーから大きく逸脱しています。マール・トラヴィスやチェット・アトキンスのギャロッピングをスリー・フィンガー・バンジョーに取り入れたとも思われるユニークなもので、ドン・レノのスタイルをさらに発展させたものでした。ジョンのマンドリンもさることながら、トム・グレイの堅実なベースが加わることによって、ジェントルメンの目指すモダン・ブルーグラスがより完成に近づいたのでした。なお、トライアングルを叩いているように聞こえる音は、レコーディングに立ち会ったフリーランド氏の提案で、ピート・ロバーツがスタジオ内にあった10オンス入りのペプシ・コーラの瓶を釘で叩いて鳴らしたものです。

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by scoop8739 | 2017-07-20 08:51 | カントリー・ジェントルメン
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