129 MOON SONGS (2)

ケンタッキーの青い月(Blue Moon Of Kentucky)

a0038167_16121250.jpg「月」をタイトルにしている曲について書こうとすると、どうしても「ケンタッキーの青い月」は外せませんね。この曲、ブルーグラスの父ビル・モンロウの代表作とも言われています。曲の内容は「ケンタッキーの青い月よ、去っていった恋人の背中を照らしておくれ」という、単純にして明解なる失恋の歌です。

1953年に高校を卒業した後トラック運転手になったエルヴィス・プレスリーは、その年の7月5日、彼の母の誕生日プレゼントとしてメンフィス・レコーディング・スタジオというところで1枚のレコードを吹き込みました。ところがこの7インチのアンペックスで録音したレコードが新しい音楽の誕生となったのでした。

そのレコードは「ザッツ・オールライト・ママ」という曲と、裏面がこの「ケンタッキーの青い月」のカップリングでした。レコーディング・スタジオの経営者サム・フィリップスはこの若者の歌声に閃きを感じ、録音されたテープを地元局のラジオ番組に持ち込みます。D.J.のデューイー・フィリップスが番組の中でこの曲をかけるや、リクエスト電話がなんと5000本近くもかかってきたと言います。そしてその日のうちにアンコールに応えて14回も再放送されました。その後レコードはメンフィスのヒット・チャートで3位となり、自主制作盤にも関わらず20,000枚も売れたのでした。

音楽雑誌「レコード・コレクターズ」のバック・ナンバーを読んでいたら、ボブ・ディランが、「ぼくにとって自由とは、“ケンタッキーの青い月”を歌うエルヴィスだ」なんて言っています。ドラムが入っていないにもかかわらず喧騒的なスピード感のあるサウンド、エルヴィス自身が弾くギターのカッティングがとても効いています。その後のエルヴィスのイメージからすると、幾分甲高く幼い感じの声で、おどけたような極端にリズミックな歌唱から感じられるのは、野生的な反射神経と色気です。この野性味にこそ「ディランにとっての自由」だったのではないでしょうか。

元ビートルズのポール・マッカートニーは1973年にウィングスのツアーでこの曲を演奏しています。また1991年1月25日に収録したMTVの特別番組「UNPLIGGED SHOW」で演奏し、ライブ・アルバム「UNPLUGGED OFFICIAL BOOTLEG」にも収録されています。このバージョンでは前半をビル・モンロウ風に、後半をエルビス風に演奏しています。

ところで、ケンタッキーの月が青いのも、菅原都々子のヒット曲「月がとっても青いから」も、とにかく「月が青い」ことに洋の東西はないようです。つまり音楽に国境はないということなのでしょうか。(つづく)

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by scoop8739 | 2005-10-09 16:17 | 月をタイトルにした歌
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