106 エレキ・インスト(2)

a0038167_20225097.jpg1995年に日本でも公開されたバイオレンス・アクション映画「パルプ・フィクション」(クエンティン・タランティーノ/監督・脚本)のサウンド・トラックとして使用されたのが、ディック・デイルの必殺曲「ミザルー」でした。ブルーグラス・ファンには馴染みの少ないディック・デイルという人は、「キング・オブ・ザ・サーフ・ギター」と呼ばれる、アメリカでは伝説化されているほどのギタリストです。

さて、この「サーフ」という音楽は、1960年代にエレキ・インストとヴォーカル双方の伝統を受け継いで、南カリフォルニアのビーチ・ミュージックから始まっています。前述の「ミザルー」のように高速でうねるような楽曲は、文字通りサーフィンのサウンド・トラックであり、そのディックがこのジャンルの名付け親とされています。しかしアメリカ本土はもとより日本でも、一般的に「サーフ・サウンド」は、当時からサーファーリーズの「ワイプ・アウト」やシャンティーズの「パイプ・ライン」という曲の方が知名度は高かったように思えます。またヴォーカル・グループのサーフ・ソングを定義づけたのは、言うまでもなくあのビーチ・ボーイズでした。そんな訳で、残念ながら日本ではディック・デイルはあまり知られていません。

ところで、この映画「パルプ・フィクション」のヒットから火がついて、我が国の音楽シーンでは突然のように「サーフ・ミュージック」がブレイクし始めます。これはまるで、2000年にブルーグラス界を席巻した「オー・ブラザー!」現象のように、エレキ・インスト界でも同じようなことが起こったのです。そしてその中心となったのが中シゲヲ(プリンス・オブ・ザ・サーフ・ギターと呼ばれています)率いる「サーフ・コースターズ」でした。彼らは古き良きエレキの「テケテケ・サウンド」を、現代のリズム、グルーヴ感でパワフルに演奏しています。

a0038167_2019513.jpg彼らは当時、日本中を席巻したエレキ熱そのものまでも再現するかのごとく、ライヴでは必要以上に全身全霊を込め、ほとんどデス・メタル並のエネルギーで気迫あふれるパフォーマンスを見せてくれます。観客の方も、往年のモズライト・サウンドを堪能することよりも、怒涛の弾き倒し攻勢に圧倒されることを快感に多いにノリまくっています。

またリリースされる彼らのCDは、その勢いを重視する意味でどの作品もほぼ一発録りなのだそうです。かのヴェンチャーズはリズムのタイトなグルーヴ感といい、正確なピッキングといい、相当高度なテクニックを持っていたのですが、このサーフ・コースターズはヴェンチャーズの演奏レベルを維持しつつ、あの爆発力を展開しているという意味では実は相当に腕達者な連中揃いということになります。そんなサーフ・コースターズの熱いパフォーマンスに対バン張れるようなブルーグラス・バンドはどこかにいませんか? (つづく)

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by scoop8739 | 2005-07-06 20:27 | 異ジャンル交流
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