100 フェアウェル・ブルース

(Farewell Blues)

「ドクター・バンジョー」として知られるピート・ワーニックは、そのニックネーム通りコロムビア大学で社会学の博士号を取得しています。彼はバンジョーの魅力を世界中に広げる伝道師のような存在で、執筆したバンジョー教則本の累計販売冊数は25万部を超え、また数々の教則ビデオも制作しています。

彼は1970年代にニューヨークで結成されたバンド「カントリー・クッキング」でキャリアをスタートさせますが、その後1980年代にはティム・オブライエンらと共に人気グループ「ホット・ライズ」で活躍しました。このバンドはグラミー賞にもノミネートされたことがあります。

a0038167_1595036.jpgその後はブルーグラス・バンジョーのスリー・フィンガー・ロールを、いかにクラリネットやビブラフォンといったリード楽器、さらにベースやスネア・ドラムのリズム楽器、すなわち初期のジャズ・コンボとマッチするかというものを模索します。誰もがイメージとして持つバンジョーやジャズという垣根を、互いに地のままぶつけ合う事でその偏見や不自然さに真っ向から挑んできました。そんな彼のソロ・アルバムに、この「フェアウェル・ブルース」が収録されています。もともとこの曲はディキーランド・ジャズのスタンダード曲だけに、ピートはそのあたりを意識したようでクラリネットのジョー・ルカシックとの絡みが巧くマッチした仕上がりとなっています。
Pete Wernick / On A Roll (Sugar Hill)

クラレンス・ホワイトが20才の時に録音したプライベート・テープをもとに編集されたアルバムにもこの曲が収録されています。録音もホーム・レコーディングとは思えないほど鮮明ですが、クラレンスのフラット・ピッキング・ギターには一音一音に込められたインパクトがたいへん強く感じられます。ちなみにバックでリズム・ギターを弾いているのは ケンタッキー・カーネルズの僚友ロジャー・ブッシュです。
Clarence White / 33 Acoustic Guitar Instrumentals (Sierra)

クラレンス・ホワイトをアイドルとしてブルーグラス・ギターを学んだトニー・ライスが1976年に発表したソロ・アルバムの中にもこの曲が収録されています。J.D.クロウのバンジョーに始まり、兄ラリーのマンドリン、ジェリー・ダグラスのドブロと続いて、いよいよトニーのギター華麗にブレイクします。モダンなサウンドの中にもトラディッショナルな雰囲気が漂う名曲です。ちなみにフィドルはリチャード・グリーンが弾いています。
Tony Rice / Tony Rice (Rounder)

上記のアルバムとほぼ同時期に録音されたのがビル・キースのソロ・アルバムでした。デヴィッド・グリスマン、トニー・ライス、ヴァッサー・クレメンツといった凄腕のプレイヤーがサポートしています。ここでの「フェアウェル・ブルース」はビル・キースがアール・スクラッグスに敬意をはらってか、見事なばかりのスクラッグス・スタイルでの演奏を聴かせてくれます。
Bill Keith / Something Bluegrass (Rounder)

先にも書いた通り「フェアウェル・ブルース」は、「ビューグル・コール・ラグ」同様に、アール・スクラッグスがディキーランド・ジャズのスタンダード曲をブルーグラス・スタイルにアレンジしたものです。ディキーランド・ジャズではこの曲に「別れのブルース」という邦題がついていますが、バンドにこの曲をリクエストすると「淡谷のり子さんにでも歌ってもらいましょう」と一掃されます。(ンなはずないか…!?)
Lester Flatt & Earl Scruggs / The Complete Mercury Sessions (Mercury)

人気blogランキングへ
[PR]
by scoop8739 | 2005-05-29 15:11 | 不朽の名曲
<< 101 バイブルを道標に 99 ミッドナイト・フライヤー >>