96 七面鳥のこぶ

(Turkey Knob)

1960年代のカントリー・ジェントルメンの栄光を支えた一人が、バンジョー奏者のエディ・アドコックであることには疑う余地がありません。彼のあの何とも形容しがたいユニークなバンジョー奏法は、ドン・リーノウの影響とされています。

1950年代半ば、ヴァージニアのローカル・カントリー・バンド、スモーキー・グレイヴスのブルー・スター・ボーイズでバンジョーを弾いていたアドコックは、なかなかスクラッグス・ロールを自分のものにできずにいました。そこでドン・リーノウに教えを受けてリーノウ・スタイルに活路を見出し、スクラッグス・ロールを多用せずにすむ独自のフィンガリングをマスターしたといいます。

その後ワシントンD.C.にやって来た彼は、ビル・ハーレルのロッキー・マウンテン・ボーイズに加わりますが、このバンドはジャズをブルーグラスに適合させ、スウィンギーでジャジーなサウンドを好んで取り上げていた先進的なバンドでした。ここでの経験がエディに、ブルーグラスに対するアプローチを違ったものにする要因になったのだそうです。エディはこの時期、ようやく自らのスタイルを確立し、シンコペーションを強調したそのピッキングはドン・リーノウをベースにチェット・アトキンスやマール・トラヴィスのギャロッピング奏法を加味したものです。

a0038167_120348.jpgジェントルメンに加入後はさらにこのスタイルに磨きがかかり、ジョン・ダフィーのマンドリンの多様な広がりあるスケール奏法やブルーズっぽい単弦演奏とのコンビネーションもうまくマッチして、「ナイト・ウォーク」「サンライズ」「心の痛手」など、インストゥルメンタルの名曲を数多く発表してきました。そんな中でも数多くのプレイヤーに取り上げられ演奏されているのが「七面鳥のこぶ」という曲です。
The Country Gentlemen / The Country Songs - Old And New (Smithsonian Folkways)

ジョン・ヒックマンは、バイロン・バーライン、ダン・クレアリーらと行動をともにするバンジョー奏者です。彼は1969年、南カリフォルニアに移り住んだ後、ダグ・ディラード、クラレンス・ホワイト、ジョン・ハートフォード、カントリー・ガゼットらと親交を結びます。彼のバンジョーは紛れもないクロマティック・スタイルですが、基本的にはドン・リーノウの華やかさ、エディ・アドコックのバック・アップ、ビル・エマーソンのハード・ドライヴィング、ボビー・トンプソンのブルース・フィーリングを併せ持つ素晴らしいプレイヤーなのです。そんな彼のソロ・アルバムにもこの曲が収録されています。
John Hickman / Don’t Mean Maybe (Rounder)

ダグ・ディラードのアルバムの中にもこの曲があります。ここではエディ・アドコックのスタイルではなく、むしろアール・スクラッグスのロールで、しかもそこに彼独自の味付けが加わり演奏されています。ドン・ベックが弾いているドブロが変わったスタイルなのも聴きものです。
Doug Dillard / The Banjo Album (Rural Rhythm)

1970年代後半、リッキー・スキャッグスの率いる「ブーン・クリーク」のメンバー、ウェンズレー・ゴールディングのギター、ジェリー・ダグラスのドブロ、それにリッキーのフィドルのバック・アップを得て、無名のビリー・ペリーなるバンジョー弾きがソロ・アルバムをリリースしています。全体的にウェスタン・スウィング調なのはサイドメンの影響なのでしょうか?
Billy Perry / More Bluegrass Jam (KBA Records) (CD化されていません)

城田じゅんじがナターシャ・セブン時代にリリースしたソロ・アルバムにもこの曲が収録されています。彼にとってエディ・アドコックは学生バンド時代からのアイドルでした。城田はエディのプレイに忠実に演奏しています。マンドリンの坂庭省吾がこれまたジョン・ダフィーそっくりの演奏を聴かせてくれます。
城田じゅんじ / Soft Shoes (東芝EMI) (CD化されていません)

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by scoop8739 | 2005-05-15 12:06 | 不朽の名曲
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