92 ダスティ・ミラー

(Dusty Miller)

惜しくも65歳で亡くなったジョン・ハートフォードの残した功績は、ビートルズの「イエスタデイ」に次ぐ録音回数を誇る世界的ヒット曲「ジェントル・オン・マイ・マインド」を書いたことや、1968年に西海岸でザ・バーズのアルバム「ロデオの恋人」(Sweetheart of the Rodeo)の録音現場に居合わせてカントリー・ロックの誕生にかかわったこと、さらに1970年代以降のニューグラス・ムーブメントの精神的支柱となったことや、1980年代以降のオールドタイム・フィドルの研究と保存と、その教育に力を注いだことなどです。

a0038167_20181553.jpgその彼が1960年代後半、RCAレコードに残したすべてのアルバムがCD化されています。シリーズ3枚目の最後のCDは、LP3枚分を収めた2枚組となっています。RCA時代も後期になると、ジョンの才能の凄さとレコード会社の商業主義との間に大きな溝ができますが、ジョンはバンジョーへの愛着と自身の詩の世界を押し通しました。しかしRCAの旧態然とした首脳部は、ジョンの計り知れない才能を知りながらも、それをヒッピー社会のビジネスに生かせず、遂には希有の芸術家を手放すことになったのでした。

さてここで特筆すべきは、7枚目のオリジナル・アルバムとして制作されながら、今日まで陽の目を見ることのなかった幻のアルバム「ラジオ・ジョン」(Radio John)が初めて世に出たという快挙です。つまりこれは、RCAの3枚シリーズでは最もハートフォードらしい作品集だったのです。この中に収録されている「ダスティ・ミラー」(Dusty Miller)は、録音タイトルが「Dusty Miller Hornpipe And Fugue In A Major For Strings, Brass And 5-String Banjo」とあるように、モデラートなフーガ仕立てとなっています。
JOHN HARTFORD / John Hartford/Iron Mountain Depot/Radio John (BMG)

若き日のサム・ブッシュが、これまた若いアラン・マンデやウェイン・スチュアートらと一緒の作ったのが名盤「プア・リチャーズ・アルマナック」でした。ここでのサムはただただフィドルに専念し、みごとなインストゥルメンタル・アルバムを完成させています。この曲でのサムは、地味ながらもきっちりと聴かせてくれます。
Sam Bush, Alan Munde, Wayne Stewart / Poor Richard’s Almanac (Ridge Runner) (CD化されていません)

アラン・マンデは「プア・リチャーズ」の録音の後、ジミー・マーチンのバンドに加わります。そこでジミーの指導の下、右指の強いアタックを習得し、独自のバンジョー・テクニックを身につけました。その後はカントリー・ガゼットに加わりますが、その昔メンバーだったストーン・マウンテン・ボーイズのリユニオン・アルバムにも参加しています。ここでの「ダスティ・ミラー」は、「プア・リチャーズ」の頃から比べると数段パワーある演奏をしています。
Stone Mountain Boys / Reunion (Ridge Runner) (これまたCD化されていません)

アリソン・クラウスは1987年にラウンダー・レコードからアルバム「トゥー・レイト・トゥ・クライ」でデビューします。そのときの彼女はなんと15才でした。この中にも「ダスティ・ミラー」が収録されています。アリソンの華麗に透き通った声と、力強いフィドル・プレイを堪能できるアルバムとなっています。
Alison Krauss & Union Station / Too Late To Cry (Rounder)

人気blogランキングへ
[PR]
by scoop8739 | 2005-05-06 20:19 | 不朽の名曲
<< 93 アイ・ウイッシュ・ユー・ニュー 91 ラフ・アンド・ロッキー >>