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91 ラフ・アンド・ロッキー

(Don’t This Road Look Rough And Rocky)

「世界の中心でブルーグラス・ジャズを叫ぶ」とでもいうのでしょうか、世界の中心都市ニューヨークで生まれた異色のグループが「ウェイファリング・ストレンジャーズ」です。音楽ディレクターでもあるヴァイオリン奏者のマット・グレイサーを中心に、ブルーグラス・サイドからはバンジョー奏者のトニー・トリシュカとギター奏者のジョン・ミゲーン、ジャズ・サイドからはピアニストのラズロ・ガードニー、ドラムのジェイムズ・ハダッド、ベースのジム・ ホイットニー、そして3人の女性ボーカルを加えた大所帯で、ブルーグラスのスタンダード作品を素晴しいアレンジで見事なまでにジャズと融合させています。

91 ラフ・アンド・ロッキー_a0038167_2014177.jpg彼らのデビュー・アルバムではラルフ・スタンレーやティム・オブライエン、ローリー・ルイスやロンダ・ビンセントといった大物アーティストをゲストに迎え、21世紀型新感覚のアメリカン・ミュージックを披露してくれました。続く第2弾ではアンディ・スタットマンやダロル・アンガー、ジェイ・アンガーとモリー・メイソン、オールドタイムからのブルース・モルスキーなどを適材適所に配し、前作より濃い目のブルース臭が漂うバンド音楽に仕上げています。

このアルバムの6曲目にフラット&スクラッグスの名曲「ラフ・アンド・ロッキー」が収録されています。重厚なベースのイントロに続いておなじみのメロディーがゆっくりとしたテンポで歌われます。間奏に入るとヴァイオリンとバンジョー、さらにギターが続き、セカンド・ブレイクでピアノがジャズの旋律を奏でるのです。それは決して違和感がなく、なんとも言葉では表すことの出来ない不思議な魅力に満ちあふれています。
The Wayfaring Strangers / This Train (Rounder)

ジョナサン・エドワーズは出世作「サンシャイン」(72年)でスターダムに昇り上がり、ジェームス・テイラー、ニール・ヤング、ドン・マクリーンらとともにシンガーソング・ライター時代の一角を担った歌手です。彼の歌にはシンプルで透明感にあふれ、澄み渡ったような鋭い感性が感じられます。そんなジョナサンをバックアップしてアルバム「ブルー・リッジ」を完成させたのがセルダム・シーンの面々でした。このアルバムの1曲目にこの曲が収録されています。ここではフォーク・サイドへのアプローチが楽しめます。
Jonathan Edwards & Seldom Scene / Blue Ridge (Sugar Hill)

1981年に発表した「ブルーグラス・アルバム」が大好評で、そのアルバム・プロモーションを兼ねての各地のフェスティバルではひっぱりだこの人気となったトニー・ライスを始めとするアルバム・バンドでしたが、第2弾はやはり前作に引き続いてアーリー・フラット&スクラッグス・ナンバーが中心となっています。つまり、トニー流のフォギー・マウンテン・ボーイズを大いに気取ったブルーグラス“激愛”アルバムとなっているのです。ここでもこの曲が収録されています。
Tony Rice / The Bluegrass Album Vol.2 (Rounder)

この曲はもちろんフラット&スクラッグスのオリジナルで、1954年5月14日に初めて録音されていますが、この頃になりますと彼らはビル・モンロウの呪縛から解かれたかのように伸び伸びと演奏をしています。ここではカーリー・セクラーのテナーが心地よく耳に飛び込んできます。
Flatt & Scruggs / Songs of Flatt & Scruggs (Rounder)

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by scoop8739 | 2005-05-04 20:04 | 不朽の名曲
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