(Bill Cheatham)
作曲家のバルトークからその名前をもらったというベラ・フレックは、1959年ニューヨークに誕生しています。彼がバンジョーに興味を覚えたのは15歳の頃でした。高校時代からバンジョーとビ・バップという意外な組み合わせに興味をひかれ、ジャズの影響も取り入れた自分のプレイ・スタイルを確立していきます。高校卒業後は、ジャック・トトルの「テイスティ・リックス」やジミー・ゴウドロウの「スペクトラム」というニュータイプのバンドに在籍し、この間の1979年には早くも初のソロ・アルバムとなる「クロッシング・ザ・トラックス」(Crossing the Trucks)を発表しています。 そして翌80年にバンジョーの革命児ビル・キースやトニー・トリシュカらとともに発表したのが「バンジョーのためのフィドル・チューン」(Fiddle Tunes For Banjo)でした。このアルバムは、バンジョーの名手3人がフィドル・チューンを三人三様に演奏するというもので、1曲目に収録されているのが標題の「ビル・チータム」です。この曲は古くからのフィドル・チューンで、フィドル弾きなら誰でも一度は演奏する曲と言われています。なお、この曲に限ってはビル、ベラ、トニーの順にブレイクをとっています。それぞれの演奏テクニックを比較するのも楽しみのひとつですね。 Tony Trischka, Bill Keith, Bela Fleck / Fiddle Tunes For Banjo (Rounder) 華麗なテクニックで美しい音色を聴かせるバンジョー・プレイヤーがベン・エルドリッジです。彼がセルダム・シーン以前に在籍していたのが、クリフ・ウォードロンのニュー・シェイズ・オブ・グラスでした。この曲でのベンは、愛器ギブソン“グラナダ”でスリー・フィンガーとクロマティックを絶妙に混ぜ合わせての素晴らしいバンジョー・チューンを聴かせてくれます。 Cliff Waldron & New Shades Of Grass / Traveling Light (rebel) (CD化されていません) フラット&スクラッグスがドク・ワトソンを迎えて制作したアルバムの中にもこの曲が収録されています。大物同士の共演という企画物っぽいリラックス・ムードでやっているかと思うと、これが全く違っていて、テンションの高いインストゥルメンタル・アルバムに仕上がっています。ドク・ワトソンが傑作ファースト・アルバムを出したのが1964年、この録音が66年ですから、まさに彼が一番脂の乗り切っている時期でした。このアルバムで彼はモダンなギター・ワークを展開し、これを受けてのスラッグスのバンジョーも最高で、他のメンバーの演奏も素晴らしいものとなっています。 Flatt & Scruggs With Doc Watson / Strictly Instrumental (County) ナッシュヴィルでのセッションには欠かすことのできないフィドラーとして、スチュアート・ダンカンと並ぶ存在となったのがオーブリー・ヘイニーです。彼のソロ3作目は、ナッシュヴィルでも近年評価が高まっているデイヴ・タルボットのバンジョーをフィ−チュアし、サム・ブッシュ、トニー・ライス、バリー・ベイルズという、これ以上にないパーフェクトなリズムにのせた見事なフィドルでその存在感を実証してみせます。アルバムの半分がケニー・ベイカーの作品でまとめるという、ベイカーへの憧憬と敬意の表われがまず目を引きますが、そこに込められた、故郷フロリダの先達チャビー・ワイズとヴァッサー・クレメンツへのオマージュが心に響いてきます。 Aubrey Haynie / The Bluegrass Fiddle Album (Sugar Hill) 人気blogランキングへ
by scoop8739
| 2005-05-03 11:31
| 不朽の名曲
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