76 デビルズ・ドリーム

(Devil’s Dream)

1963年3月、ビル・キースはアール・スクラッグスに会いにオープリーにやって来たところ、そのスクラッグス・スタイルとはひと味違った斬新なバンジョー・スタイルを買われ、ケニー・ベイカーを通じてブルー・グラス・ボーイズに入団するというスピード出世を果たしたのです。

この当時のビル・モンロウは、人気者のフラット&スクラッグスに対し強烈な闘争心と反骨心をあらわにしていました。そんな彼のもとへ若い才能が飛び込んで来たのですから「渡りに船」とはこのことで、早速キースのために2回のセッションを設けて合計7曲を録音し、その中から6曲がアルバムに収録されました。この中の1曲に「デビルズ・ドリーム」がありました。

a0038167_23582213.jpgさて1963年と言うと、ビル・モンロウが初めてニューポート・フォーク・フェスティヴァルに出演した年でもあります。フォーク・リヴァイヴァル真只中とはいえ、ブルーグラスがどのように受け止められるのか懐疑的だったモンロウですが、彼が惚れ込んだビル・キースをこれほどまでにフィーチュアしたステージというのも極めて異例のことです。ここではキースの紹介やグランド・オール・オープリへの繰り返しの言及に、フォーク・ファンへのメッセージを強く意識した彼の胸のうちがよく表われているとみていいでしょう。

「デビルズ・ドリーム」はフィドル・チューンとしてはかなりポピュラーな曲ですが、バンジョーでメロディックに弾きこなすのには大変な技を要します。それをキースはいとも容易く鮮やかに弾きこなしています。
Bill Monroe / July 1963, Two Days At Newport (And More Bears)

アイルランド伝承音楽の使者チーフタンズは、かつてナッシュヴィルでニッティ・グリティ・ダートバンド、エミルー・ハリス、ウィリー・ネルソン、チェト・アトキンス、リッキー・スキャグスらをゲストに、アパラチア&アイリッシュの「アナザー・カントリー」という素晴らしいアルバムを制作し、グラミーを受賞しました。そして2003年には、再びナッシュヴィルでブルーグラスやフォーク・ミュージシャンらと共演して、その続編のようなアルバムを作っています。収録されているこの曲には、ドク・ワトソンが参加してフラットピック・ギターを聴かせてくれます。
The Cheaftains / Further Down The Old Plank Road (RCA)

ダン・クレアリーはブルーグラス・アライアンスからキャリアをスタートさせたギタリストですが、彼の弾く「デビルズ・ドリーム」のバージョンは、ドク・ワトソンの「ブラック・マウンテン・ラグ」と並んで、フラット・ピッキング・ギタリストの古典的名曲と言われるものです。途中でマイナーになるところがフラメンコ、またはスペインのクラシック・ギター風です。これはブルーグラス・ギターではめったに聴かれないフレーズです。
Dan Crary / Bluegrass Guitar (Sugar Hill)

人気blogランキングへ
[PR]
by scoop8739 | 2005-04-02 23:58 | 不朽の名曲
<< 77 ミュール・スキナー・ブルース 75 ソルティ・ドッグ・ブルース >>