71 恋人の腕に抱かれて

(Rollin’ My Sweet Baby’s Arms)

1920年代後半に登場したA・P・デラニー・カーター、彼の妻のセイラ、義理の妹のメイベルのトリオはカントリー・ミュージックに決定的な変化をもたらしました。彼らカーター・ファミリーの特徴は、忘れがたいハーモニー、驚異的なギター・プレイ(これは愛用のギブソンL-5ギターを威勢よくかき鳴らしたメイベルの功績)、そして膨大な数のレパートリーにありました。

a0038167_19514815.jpg彼らの演奏した曲は、マーダー・バラード、ゴスペル、ラヴ・ソング、アパラチア地方のフォーク・チューンなどと様々でしたが、その多くは以後何十年にもわたって数多くのミュージシャンたちにカヴァーされています。この中でブルーグラス曲のスタンダードになっているものも数多くあります。この曲「恋人の腕に抱かれて」は、モンロウ・ブラザーズを初め多くのミュージシャンによってカヴァーされていますが、今日、スタンダードとして知られるようになったのはフラット&スクラッグが彼らのレパートリーに加えてからでした。
Flatt & Scruggs / 20th Century Masters - The Millennium Collection (Mercury)

ビル・モウロウの主催するブルーグラス・フェスティバル「ビーン・ブロッサム」に出演したレスター・フラットはナッシュビル・グラスを伴って歌っていました。M.C.に紹介されての登場でしたが、勢い余ってかバンジョーのハスケル・マコーミックが少々つんのめり気味に演奏しています。
Bill Monroe And His Blue Grass Boys / Bean Blossom (MCA)

デル・マッカリーは1990年代になると最も賞賛されるブルーグラス・ミュージシャンのひとりとなります。彼は1960年代前半にビル・モンロウのバンドでキャリアを重ね、その後、フィドルのビリー・ベイカー、バンジョーのビル・エマーソン、マンドリンのウェイン・イェイツらとともにバンドを組みます。この時代に彼がそのスタイルを確立したというわけではありませんが、後の成功の種子は蒔かれていました。この時代に録音されたアルバムにもこの曲が収録されています。
Del McCoury / I Wonder Where You Are Tonight (Arhoolie)

ニッティ・グリッティ・ダート・バンドの主宰する「永遠の絆」シリーズは、1971年の第1集、89年の第2集に続いて3枚ものアルバムをリリースしています。この第3集には、第1集に出演した人の子供や孫の世代が何組も登場することが特徴です。アール・スクラッグス、デル・マッカーリー、ジミー・マーティン、ドク・ワトソンらの二世、三世が登場して一世と息の合った演奏を聴かせてくれるのも楽しいものです。メーベル・カーターの娘のジューンが、渋いノドで母親の持ち歌を聴かせてくれます。ジューンのご主人のジョニー・キャッシュもオリジナル・カーター・ファミリーのサラとメーベルに捧げる自作の「ホルストン河に落ちる涙」をしっとりと歌いあげて、文字通り涙を誘います。この中で、ウィリー・ネルソンをフィーチャーしたこの曲が素晴らしい出来となっています。
Nitty Gritty Dirt Band / Will The Circle Be Unbroken Vol. III (Disc 2) (Capitol)

有名なドリス・デイの息子で、ブライアン・ウィルソン(元ビーチ・ボーイズ)、ブルース・ジョンストン(現ビーチ・ボーイズ)、ゲイリー・アッシャーといった人達と共に1960年代前半のサーフィン/ホット・ロッド・サウンドを支え、60年代中盤のフォーク・ロックの勃興にも大きな力となった重要人物のひとりであったテリー・メルチャーは、バーズと契約を結び、1965年1月に自らプロデュースした「Mr. Tambourine Man」で彼らをデビューさせ、これがフォーク・ロックの誕生となったのでした。そんなテリーがプロデュースした自らソロ・アルバムで、なんとこの曲を歌っています。
Terry Melcher / Terry Melcher (Reprice)

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by scoop8739 | 2005-03-28 19:58 | 不朽の名曲
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