(Orange Blossom Special)
41歳という若さでこの世を去ったスコッティ・ストーンマンは、音楽一家に生まれ、幼少時代からファミリー・バンドで天賦の才能を発揮し、その後5回もナショナル・チャンピオンに輝いたというブルーグラス・フィドルの巨人でした。このライブ・アルバムは彼の最もエキサイティングな演奏を収録したものです。 フィドル・チューンの定番「オレンジ・ブロッサム・スペシャル」は、フィドラーならライヴの中で必ず演奏しければならない(?)という大変ポピュラーな曲ですが、彼の演奏には感嘆させられてしまいます。ケンタッキー・カーネルズをバックに、彼はまさに天才の名にふさわしく火の出るようなフィドル・プレイを聞かせてくれます。聴いているこちらまでもが熱くなってしまうくらいのエキサイティングな演奏に、スコッティを初めて聴く人は度肝を抜かれることでしょう。ブルーグラス・ファンにとっては必聴、必携のアルバムです。 Scotty Stoneman with Kentucky Colonels / Live in L.A.! (Rural Rhythm) 「マールフェス・ライブ!・ベスト・オブ・2003」は、アメリカーナ音楽集といった感じで、前半はカントリーからフォークを軸に、アスリープ・アット・ザ・ホィールやザ・ホワイツ、ウェスタン・スウィングからニッティ・グリティ・ダート・バンドまでと、とてもバラエティに富んだものです。しかし何といっても7曲目に登場する、約10分に及ぶバッサー・クレメンツの75才の誕生日を記念した「オレンジ・ブロッサム・スペシャル」には圧倒されます。バッサーに続いて、ベラ・フレック、ジェリー・ダグラス、サム・ブッシュとピーター・ローワンのコーラス、ブライアン・サットン、そしてバッサー、その間、決して緩まないサム・ブッシュのマンドリン・チョップの凄さ、さらにバックで聴こえる激しいインプロバイズの波、波、波…。 Various Artists / Merlefest Live! The Best of 2003 (Merlefest) ビートルズのプロデューサーだったジョージ・マーチンによって制作されたのが、カリフォルニアを拠点とする「シートレイン」の1971年のアルバムにもこの曲は収録されています。「シートレイン」は、ピーター・ローワン、リチャード・グリーンを中心としたフュージョン・ロック・グループでした。この中でもリチャードの飛んでいるようなフィドルが炸裂します。 Seatrain / Second Album & Marblehead Messenger (BGO) 異業種からは、「霧のカレリア」や「空の終列車」のヒットで一世を風靡したフィンランドのエレキ・インスト・グループ、ザ・スプートニクスが「夢のオレンジ号」というタイトルで演奏しています。リード・ギターのボー・ウィンバーグの早弾きは見もの、いや聴きものです。 ザ・スプートニクス / 霧のカレリア (ビクター・エンターテインメント) 余談になりますが、こんなCD-Rが発売されています。それは、20世紀最高のカントリー・フィドラー(ブルーグラスとジャズ・スウィングも含む)の一人、バディ・スパイカーが見せる「オレンジ・ブロッサム・スペシャル」のノウハウ集です。ある程度の基礎があるフィドラーには、そして超一流のアーティストの真髄(素顔も含めて)を知ろうとするシビアなリスナーやプレイヤーには、とても貴重な映像です。いいミュージシャンになるには、「見ること」、そして既に知っていることでも新しく「感じること」が非常に大切だと思います。教則モノとして良く出来たものではありませんが、ある次元にいれば様々なことを学べる作品なのだそうです。通して弾く3分と、そのコツを会話の中で説明する6分、正味僅か10分の勝負です。このCD-RはWindows95以上のPCで「ウィンドウズ・メディア・プレイ」(WMP version 7)に対応するもので視聴できます。 Buddy Spicher / How to Play Orange Blossom Special (CD-R) 人気blogランキングへ
by scoop8739
| 2005-03-23 20:52
| 不朽の名曲
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