52 「ブルーグラス音楽」を「とんこつラーメン」に例えるならば…

かなり強引な例えですが、「ブルーグラス音楽」と「とんこつラーメン」は似ています。音楽と食べ物が似ているというのも何だか変ですが、発生の仕方といい、現在に至るまでの過程といい、その両者はよく似ているのです。

とんこつは澄んだ醤油味のラーメンでも使いますが、この場合九州ラーメンの強火で豚骨をじっくりと煮込み、スープは白濁していて、こってりとして超濃厚なものを言います。一方、「ブルーグラス音楽」はカントリー音楽の仲間であるとはいえ、アパラチアン・マウンテン・ミュージックの持つ、こってりとした超濃厚なサウンドが特徴です。

現在、全国的に主流になっている「とんこつラーメン」は、九州で言うところの「博多長浜ラーメン」ですが、これは「細めん・白濁スープ」で食べやすいのが特徴です。さらに、「和歌山ラーメン」など、とんこつを「ベース」にしてはいますが、従来のとんこつラーメンとは一線を画した味を売りにするラーメンも出ています。

このことは「ブルーグラス音楽」でも比較できます。つまり現在主流となっている「ブルーグラス音楽」は、ソフィスティケイトされて耳障りの良いものです。しかし、スタンレー・サウンドのようなこってりとした超濃厚なもの(とんこつラーメンでいうところの“久留米系”)もいまだ健在です。また、「ドーグ・ミュージック」などのように、ブルーグラスをベースにしてはいますが、従来のブルーグラスとは一線を画したサウンドを売りにする音楽も出ています。

「とんこつラーメン」の作り方の基本は、「豚骨ガラ(あばら、背骨、ゲンコツ=足の骨など)」からダシをとります。この過程を経なければ「とんこつラーメン」ではありません。ちなみに、こってり系のスープを作る場合、ゲンコツを使います。このゲンコツは、大腿骨(ももの部分)、脛骨(すねの部分)に分類されることもあります。煮込む時間は最低でも6時間。その間、アクは丁寧にすくわなければならないため、繊細さも集中力も要求されます。

一方、「ブルーグラス音楽」の基本は、バンジョー、マンドリン、フィドルなどの電気を通さない弦楽器を用いることが前提となり、これ以外の楽器でどう演奏しようが、それは「ブルーグラス音楽」とは呼んでもらえません。特にバンドにはバンジョーが不可欠です。つまりバンジョーのいないブルーグラス・バンドはありません。また演奏するのには、そのスピードとアンサンブル、さらにコーラス・ワークに繊細さと集中力が要求されます。「とんこつラーメン」同様に、かなりうるさい条件がつきものです。

なお、「とんこつラーメン」が大変なブームということもあり、現在では、いい豚骨を入手するのはかなり困難なようです。趣味で作る程度なら、肉屋で買えばいいでしょう。部位にこだわらなければ、すぐに手に入ります。しかし店を構えるとなれば、特定の部位の骨を、一定量・安定的に入手できなければ商売として成り立ちませんので悩ましいところです。既存店で味が落ちたところは、こうした事情も影響しているかもしれませんね。まあ、いい豚骨でも、他の調味料や麺との相性が悪ければ台無しでしょうし、それほどでもないものでも、組み合わせ次第では美味しくなるはずです。結局は、作り手の感性によるところが大きいでしょう。

なんだか「とんこつラーメン」のことを書いていると、何でも「ブルーグラス音楽」に結びつけてしまいがちです。それほど両者には共通点が多いのです。このように「とんこつラーメン」的な見方で「ブルーグラス音楽」を聴き分けるってのも、結構おもしろい遊びではないでしょうか。

おっと、今回のテーマについては賛否両論、喧々囂々と相成りそうですね???
(次回につづく…つもり)

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by scoop8739 | 2005-02-06 22:16 | とんこつラーメン論
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