45 デヴィッド・グリスマンとドーグ・ミュージック

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9. Richochet
10. Dawg's Rag

まずリズムというのはリズム楽器だけで作るものではないとうことを嫌というほど思い知らされるアルバムです。1曲目「E,M.D.」でいきなり引き込まれていきます。ドラムがいないにもかかわらず物凄いグルーヴ感、常にどこかから聞こえて来るリズム・ノートにきっと圧倒されるはずです。

こういう風に思ってしまった時点で彼らの音楽にノック・アウトされてしまっている訳ですが、これこそ真の巨匠にのみ可能な非リズム楽器だけのグルーヴィーな演奏なのです。グリスマン・バンドの音楽は遥かな高みに達しているというのに猛烈なリズムの嵐の向こうから聞こえて来るのはなんとも美しいメロディの数々です。そして炸裂する凄いアドリブや細かくアレンジされた曲構成、アクロバティックなアンサンブルにジャズ・ミュージシャンも裸足で逃げ出すほどです。これらの要素が束になって心をわしづかみにするのですからもう大変。

3曲目「Gマイナー作品57」は、グリスマンの弾くマンドリンの独特のリズム刻みとトニ−ライスのギターが一段とシンコペーションして、名盤「ミュールスキナー」に収録されていたクラレンス・ホワイトの演奏したものよりも素直に耳に入ります。CD化に際しては実にうれしい名曲「16/16」が追加されました。本作は後にセンセーションをまきおこすドーグ・ミュージック誕生の衝撃をいつまでも伝えてくれる、そんな彼らのデビュー盤なのです。

グリスマンはジャズとの接近や他のジャンルのミュージシャンとのセッションを通じてさらに「ドーグ・ミュージック」を深く追求し、これより先、数十年に亘って新しいアコースティックを創造続け、今でも精力的にライブ活動を続けています。またD.G.Q.は新しい才能が生まれる場所にもなりました。

トニー・ライスは1979年になると自らのバンド、トニ−・ライス・ユニットを結成しより深く自分の音楽を追い求めて行きます。トニ−はこのサウンドを「スペース・グラス」と呼んでいます。またD.G.Q.卒業者ではトニーのほかにもオリジナル・メンバーだったダロル・アンガーが「タートル・アイランド・ストリング・バンド」を立ち上げ、マーク・オコーナーはグラミー賞を受賞者し、マイク・マーシャルは「モダン・マンドリン・クァルテット」を起こすなど各方面で活躍しています。またD.G.Q.はバンジョー弾きのベラ・フレックなど新しい時代のミュージシャンにも強い影響を及ぼしました。
(次回につづく)

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by scoop8739 | 2004-09-29 09:27 | ブルーグラスの歴史
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