44 ブルーグラス界の必殺仕掛人

a0038167_1017810.jpgこの頃から俄然、デヴィッド・グリスマンがブルーグラス界の仕掛人としてその中心的存在になってまいります。大リーグ1シーズン262本の最多安打を達成したイチローのように安打製造機と化して次々とヒットを生み出していったのです。

その始まりは「オールド・イン・ザ・ウェイ」プロジェクトでした。「ミュールスキナー」プロジェクトがよほど面白かったのか、グリスマンは先のセッションで大活躍したピーター・ローワンや朋友ジェリー・ガルシア(グレイトフル・デッドのリーダー)を誘い、さらにフィドルの奇才ヴァッサー・クレメンツを加えて、またまた新たなるセッションを仕掛けてきます。

さてジェリー・ガルシアのブルーグラスのキャリアですが、1963年当時(21歳の頃)、デヴィッドやピーターとともにブルーグラスに入れあげていたらしく、翌64年には彼の弟のバンド、ニュー・ライダーズ・オブ・ザ・パープル・セイジのデビュー・アルバムの中でバンジョーを弾いているということです。彼は右手中指を詰めていて代わりに薬指を使っているためか、妙に引っかかりのある多分に感覚的なバンジョー・ロールを聴かせてくれます。

ヴァッサー・クレメンツはブルーグラスの世界に留まらずありとあらゆるセッションに顔を出すほどの名プレイヤーとして年に似合わぬ旺盛な探究心には定評があります。この当時はジャズのベーシストであるデヴィッド・ホーランドとのセッションも行っています。

このセッション企画は、そんなキャリアを持つミュージシャンを一同に集めて1973年10月8日、サンフランシスコのボゥルディング・ハウスで行われたライヴでした。アルバムでは全員がリラックスした中で次第に演奏が熱気を帯びていく模様がありのままに録音されています。

Old & in the Way [LIVE] (Bmg/Arista)
1. Pig In A Pen
2. Midnight Moonlight
3. Old And In The Way
4. Knockin' On Your Door
5. The Hobo Song
6. Panama Red
7. Wild Horses
8. Kissimmee Kid
9. White Dove
10. Land Of The Navajo

会場のざわめきの中、リクエストの「フォギー・マウンテン・ブレイクダウン」の叫びを無視するかのように1曲目「ピッグ・イン・ザ・ペン」からステージは切って落とされます。続く「ミッドナイト・ムーンライト」はピーターのオリジナル曲です。ピーターは前セッション同様にシャウトなのだかヨーデルなのだかよくわからない翔ぶようなボーカルを聴かせます。3曲目はアルバム・タイトルでセッションの名前でもある「オールド・イン・ザ・ウェイ」です。

5曲目「ザ・ホーボー・ソング」はピーターの自信作です。ボーカルは益々翔んでいます。続く6曲目「ワイルド・ホーシーズ」はローリング・ストーンズの曲ですが、フライング・ブリトウ・ブラザーズも持ち歌としていました。そして最後の曲「ランド・オブ・ザ・ナヴァホ」はピーターの作で、メロディの随所に聞き覚えのあるフレーズが顔を出します。エンディングでナヴァホ・インディアンの悲痛な叫び声が印象的です。

ちなみにこのCDには続編があり、グリスマン自身のレーベル「ACOUSTIC DISC」から「Breakdown: Live Recordings 1973」と「That High Lonesome Sound - Live Recordings 1973」の2タイトルがリリースされています。
(次回につづく)

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by scoop8739 | 2004-09-28 10:15 | ブルーグラスの歴史
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