37 ライヴ・パフォーマンスの名盤中の名盤

a0038167_19155510.jpgセルダム・シーンは結成以来、ブルーグラス・ファンを中心に着実に支持率を高め、ついに1974年度の米ブルーグラス専門誌「ミュール・スキナー・ニュース」の人気投票では、最優秀作品部門「Rider」、最優秀アルバム部門「Act3」、最優秀年間バンド部門、最優秀ボーカル部門、最優秀ドブロ部門〜マイク・オールドリッジ、最優秀ベース部門〜トム・グレイと計6部門の受賞をするなど、年々その強烈なパワーを沸騰させていきました。

これは彼らの持つ一貫したテーマというべき、「ブルーグラス音楽の新しい概念への挑戦」と、「音空間の細部にまで完璧さを追求する姿勢」というものが評価された結果であると言えます。

さて、そんなバンド活動が充実した彼らの5枚目となるアルバムはなんとライヴ・パフォーマンスを収録したものでした。通常ライヴ盤というとコンサートだったりフェスティバルだったりと、パフォーマーと観客との間に少し距離があるものが多かったのですが、このアルバムではライヴ・スポットという演奏者の汗や吐息までが身近に感じられるほどの狭い空間で行われており、観客との垣根を感じさせず観客とともにリラックスしながらステージを進行させています。そして聴く者すべてがアルバムを通じて彼らの飾らない日頃のステージ模様を疑似体感できるのです。

さてアルバムの内容ですが、ワシントンD.C.のライヴ・スポット「セラー・ドア」を舞台に彼らの本領をいかんなく発揮し、スリリングかつダイナミックなステージが繰り広げられます。そしてまったくきどらないスマートな上品さが漂っているのもこのライヴ・パフォーマンスの特徴でもあります。

Live at the Cellar Door [LIVE] (Rebel)
1. Doing My Time
2. California Cottonfields
3. Band Intros
4. Panhandle Country
5. Muddy Waters
6. Rawhide
7. Baby Blue
8. City of New Orleans
9. Grandfather's Clock
10. Fields Have Turned Brown
11. Hit Parade of Love
12. Will the Circle Be Unbroken
13. Pickaway
14. Dark Hollow
15. Small Exception of Me
16. If I Were a Carpenter
17. Old Gray Bonnet
18. C & O Canal
19. Georgia Rose
20. Colorado Turnaround
21. He Rode All the Way to Texas
22. White Line
23. Rider

オープニング曲、ジミー・スキナー作の「刑の終わるその日まで」はフラット&スクラッグスのスタンダード曲でブルーグラス・ファンにはすっかりお馴染みですが、ここではセルダム・シーンならではのアレンジで観客をぐいぐいと彼らのペースに引きずり込んでいきます。この曲で観客をノセた後はマール・ハガードの「カリフォルニア・コットンフィールド」でスターリングの世界に浸ってもらうといった案配でステージは進行していきます。そしてマイクの華麗なるドブロをフィーチャーした「パンハンドル・カントリー」でインストゥルメンタルの素晴らしさを、さらにダフィーがしっとりと歌い上げる「マディー・ウォーターズ」で、ついに聴衆を膝までどっぷりと彼らの世界に埋没させてしまいます。

こうなると槍でも鉄砲でもかまいません。飛んでくるサウンドはなんでもかんでも甘んじて受けてしまいましょう。ビル・モンローの「ロウハイド」、「ジョージアのバラ」、カーター・スタンレーの「フィールズ・ハブ・ターンド・ブラウン」、ジミー・マーチンの「恋のヒットパレード」といった具合にブルーグラスの名曲が次から次へとなだれ込んできます。そしてトドメは74年度のブルーグラス界の代表曲に選ばれた「ライダー」で締めくくられる、全編80分におよぶ感動と充実感たっぷりのライヴです。

そしてこのライヴ・パフォーマンスこそ、セルダム・シーンの価値を高めるアンソロジーであり、ビル・モンローの名盤「ビーン・ブロッサム」とともに、私たちに限りない感動と興奮を与えてくれるブルーグラス音楽の優れた名盤であるに違いないと、断言できるものなのです。
(次回につづく)

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by scoop8739 | 2004-09-15 19:14 | ブルーグラスの歴史
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