34 アライアンスからニュー・グラス・リバイバルへ

a0038167_10384278.jpgブルーグラス・アライアンスの音楽センスをさらに進めた形でニュー・グラス・リバイバルがデビューしたのは1971年のことでした。彼らはすぐさま母体であるアライアンスを凌ぐ実力を示し、ジェリー・リー・ルイスのロックン・ロール・ナンバー「火の玉ロック」で一気にグルーグラス界のスターとなっていきます。

中心メンバーはマンドリンとフィドルの奇才サム・ブッシュ。彼は多くのフィドル・コンテストでチャンピオンに輝いたと言う実力を持ち、1969年にはアラン・マンデらと「プア・リチャーズ・オールマナック」というセッション・アルバムを残してアライアンスに入団しています。バンジョー奏者のコートニー・ジョンソンはビル・キース・スタイルのクロマチック奏法の第一人者で、サムとの交流を通じてアライアンス入りします。ギターとドブロのカーチス・バーチは多くのバンドを渡り歩きアライアンスに入団しました。そしてベース奏者のイボ・ウォーカーはアライアンスのオリジナル・メンバーでした。

彼らはブルーグラス・ミュージシャンから受けるイメージとはほど遠く、伸び放題の長髪によれよれのジーンズ、Tシャツというスタイルでしたが、彼らの鋭く研ぎすまされた感性は、体質として持っているロック的フリーなセンスに基づいているもので、いままでのどのブルーグラス・ミュージシャンからも感じられないものでした。そして彼らのサウンドは、その大胆なアレンジと幅広いレパートリーの消化力、ピーター・ローワンを模範としたサムの若々しいボーカルと、どれをとってもロック・ファンをもブルーグラス音楽に巻き込む大きな魅力にあふれていました。

彼らはブルーグラス音楽の枠を越え、機会さえあればロック・コンサートへも出向き、またロックもそのレパートリーに取り込むといったどん欲さで大きく活動します。そんな中、レオン・ラッセルとのジョイントで1973年夏にツアーを行ない、益々ロック感覚に磨きをかけていきました。

The New Grass Revival (Hollywood)
1. Pennied in My Pocket
2. Cold Sailor
3. I Wish I Said (I Love You One More Time)
4. Prince of Peace
5. Ginseng Sullivan
6. Whisper My Name
7. Great Balls of Fire
8. Lonesome Fiddle Blues
9. Body and Soul
10. With Care from Someone

4曲目「プリンス・オブ・ピース」はレオン・ラッセルのヒット曲をサムの大胆なアレンジでグラス・ロックとして聴かせてくれます。5曲目「ジンセン・サリバン」はクロス・ピッキング・ギターの名手ノーマン・ブレイクの曲。文字どおり火の出るような演奏とボーカルが聴ける7曲目「火の玉ロック」は、1957年ジェリー・リー・ルイスのヒット曲です。このアルバムのハイライトは8曲目「ロンサム・フィドル・ブルース」です。フィドル奏者ヴァッサー・クレメンツの作曲ですが、クライマックスで聴けるサムのフィドルは圧巻です。
(次回につづく)

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by scoop8739 | 2004-09-10 10:37 | ブルーグラスの歴史
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